ロックオンは、デュナメスのコックピットから出ると、ハロにデュナメスの機体をトレミーに収容するように託した。 「あばよ、相棒」 宇宙を漂う。ビームライフルを手に。 「何やってるんだろうな俺は・・・けどなこいつをやらなきゃ、仇をとらなきゃ・・・おれは前に進めねぇ、世界とも向き合えねぇ」 アリーの乗るガンダムスローネに向けて、銃の照準を合わせる。 「だからさぁ、狙い撃つぜぇ!」 引き金を、ためらわずに引いた。 発射される。 襲いかかる衝撃。 体が吹き飛ぶ。 砕ける。 壊れる。 「父さん、母さん・・・エイミー・・・・・分かってるさ、こんなことしても変えられないかもしれないって。元には戻らないって、それでも、これからは・・・・・明日は、ライルの生きる未来を・・・・」 エメラルドの光が落ちていく。 闇に向かって、ロックオンの体は堕ちていく。 キラキラと、エメラルドの光を、欠片を零しながら、ロックオンの体はエメラルドの光に包まれる。 隻眼のロックオンは、血を吐きながら宙を漂っていた。 「よう・・・お前ら、満足か、こんな世界で」 宙を漂い、遠くに見える地球を見る。隻眼にうつる地球は、青く美しかった。 人が生まれた母なる大地。 そっと、手を伸ばす。遥かなる地球に向かって。 その手は、伸ばされたまま。 「おれは嫌だね」 指で、銃の形をとって、BANG!と撃つ真似をする。 「ごめんな、ティエリア」 ごほりと、血を大量に吐いた。 もう、どうにもならない。後には戻らない。 アリーを見た瞬間、血が沸騰して未来のことは血で塗りつぶされた。ロックオンにも、譲れないものがある。それが、家族の仇。 愛で壊れていくティエリア。一人残される。どうなるのだろうか。 やっぱり、壊れてしまうのだろうか。 「ロックオーーン!!」 その頃、ティエリアは泣き叫んだ後、ヴァーチェで限界まで近づくと、コックピットのハッチを開けた。 レプリカの心臓が、神経回路がもう限界なんだと告げていた。 置いていかれる。このままでは。 宙を、背につけた簡易エンジンだけで、障害物を避けてロックオンが沈んでいく場所へと飛んでいく。 「ロックオン!!」 見つけた。 私だけの、愛しい人。愛で壊れる覚悟はある。一緒に、眠ろう。 「ティエ・・・・リア?なんできた・・・バカ、お前・・・」 「約束したでしょう?ずっと一緒にいるって」 ロックオンを抱きしめて、背のエンジンを切り離す。二人は宇宙を漂いながら、蒼い地球を見ていた。 「愛で、僕は壊れていくことを望む。あなたの愛で、壊れることを望む」 「ティエリア・・・・愛してる」 「僕も、愛しています」 血を吐き続けるロックオンを抱きしめて、二人はエメラルドの光をまとって深淵に落ちていく。 真っ白な雪のような世界が、二人を包み込んだ。 「なんだろ・・・暖かい」 「ロックオン・・・・一緒に。僕は、置いていかれるなんて嫌だ」 「ティエリア・・・・生きて、欲しかったのに」 「どのみち、あなたを失ったショックで僕は完全に壊れる。もういいんです。ロックオン・・・重荷を背負わせてしまって、ごめんなさい」 「泣くなよ」 二人は涙をヘルメットの中で煌かす。 無重力の世界の中で、二人とって絶対永遠が訪れる。 「ティエリア・・・愛してるよ」 そう言葉を発したまま、ロックオンは動かなくなった。 瞼を閉じたロックオンに、ティエリアは地球に向かって手を伸ばしながら残った片方の手でロックオンの体をかき抱く。 「愛は・・・・永遠だから」 ティエリアの石榴の瞳から、光が失われていく。 記憶回路を閉じた。生命を司る部分である記憶回路を。レプリカの心臓が鼓動を止め、呼吸も止める。 「ロックオ・・・愛して・・・・る」 最後に、涙を一粒だけ流して、ティエリアも目を閉じた。 散り行く命の炎。 残炎は白く、二人を包んでいく。 人工アンドロイドであるティエリアは、プログラムされていない、命の自己停止を行った。壊れる前に、壊れてしまえ。 ロックオンの愛で、壊れることを私は望む。 それは、二人だけの永遠の絆。 愛し合う二人を結ぶ、愛という名の永遠の絆。壊れても壊れても。忘れられても。また、巡り合う永遠の絆の物語。永遠の絆の物語は、ひっそりと幕を閉じる。 二人はゆっくりとゆっくりと、宇宙の海に沈んでいった。 永遠の絆 The End presented by Masaya Touha ********************************** 久しぶりのシリアス小説。 なんかかってがうまくいかん。 終わりとだいたいの内容は決めていて。 題名決めて・・・友人の意見取り入れたり。 ラストはありきたり・・・。もういろいろ本編ネタは書きつくしたよ! ちなみに、この後新しいティエリアが派遣されて、CBを立て直していきます。 |