血と聖水\−U「また、彼らと出会う日を」







「主にかわって成敗なのにゃ!!」
風呂から上がって、ティエリアを寝かしつけたロックオンに、フェンリルは氷のブレスを吐いて頭にがじがじとかみついた。
「いええええ!!つめてえええええ!!」

「ネイ」
「ライフエルにアクラ?どうした」
「我はそろそろ精霊界にもどるよ」
「そうか。アクラはどうする?行く場所ないなら、もっといてもいいんだぞ」
「ネイ、お前は優しいな。ティエリアと、殺し合わせたのは私なのに」
アクラシエルは哀しげに目を伏せる。オッドアイがとても綺麗だった。
「俺、過去のことにとらわれない主義だから。ティエリアもお前のこと許しただろう?」
「そうだな。ネイ。近くに家をかりることになった。そこで生活をはじめ、ヴァンパイアハンターをしていく」
「そうか。じゃあ、ライフエルとっとと帰りやがれ。アクラ、いつでも遊びにきてもいいからな」
「ムキー!!なんじゃその違いは!!」
「元恋人と、ただの腐れ居候の違い」
ライフエルは沸騰して、ロックオンの頭を削いだ。
「ネ・・イ」

「ぎゃあああああああああ!!俺の髪がああああああああ!!」
十円ハゲのできたネイに満足したのか、ライフエルは精霊界に戻った。
「NOOOOOOO!!俺のカッコイイ顔が台無し!!」
「ネイは変わったなぁ。どれもティエリアのお陰か」
アクラシエルは呪文をとなえると、ロックオンの十円ハゲの部分に髪を生やしてやった。

「ロックオ・・・ぎゃあああああ!!」
ティエリアが、絶叫する。
わさわさと、10円はげになった部分だけ髪が伸び続けているのだ。
「増えるわかめよりこわいいいい!!」
「にゃああああああああああ!おばけにゃ!髪のおばけにゃ!!」
「ちょ、アクラとめろ!!」
「有か無か。選択は二つに一つだ。ハゲか、伸び続けるか」
「んなのありかよおおお!!」
結局、ロックオンは無、十円ハゲを選んだ。
「ゲラゲラゲラゲラだにゃ!ハゲだにゃ!!」
毛細に再生を促して、数日で元に戻ったのだが、それまでフェンリルにはハゲとからかわれ、ティエリアもロックオンの顔をみるたびに吹いていた。

アクラシエルは精霊種族となり、ティエリアの契約精霊もなった。
ティエリアが所属するハンター協会にハンターの登録もした。

ティエリアは一度放棄したロックオンとの永遠の愛の血族の放棄を更に放棄して、永遠の愛の血族は復活した。二人は、フェンリルと共にホームで穏かに過ごしながら、刹那やリジェネと一緒にヴァンパイアハンターを続ける。

「おっしゃああ、ぶっぱなすぜハイサラマンダー!!」
協会から駆除命令をうけたロードヴァンパイアに、ロックオンがハイサラマンダーを召還して炎を浴びせる。
逃げようとする先を、ティエリアが阻む。
「無の精霊アクラシエル、無を与えよ!」
相手の生命力を大幅に削る魔法を、アクラシエルは使う。
「フェンリル、炎のブレスを」
「はいだにゃーーーん!!ヘルブレス!!!」
業火の吐息に包まれ、ロードヴァンパイアは黒焦げになった。
「ロックオン!」
「はいよ!」
ティエリアが取り出したビームサーベルに真紅の血となってまといつくロックオン。
「血と聖水の名においてアーメン!!」
ロードヴァンパイアを真っ二つに切り裂いて、そこにフェンリルが炎のヘルブレスを吐く。
サラサラと灰になっていくヴァンパイア。

今日もまたどこかで、二人と一匹はヴァンパイアハンター稼業を続け、涙もあれば笑いもあり、エロもありな物語を紡いでいく。
ティエリアの胸には5つ星の紋章が光る。
七つ星までまだまだ。

彼らといつか、出会える日がまたくるかもしれない。


                  血と聖水シリーズ\−UEnd
                                            Presented by Masaya Touha

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長い間ご愛読(?)下さいありがとうございました。
本編ファーストシーズンこれにて最終章となります。
セカンドシーズン開始まで、しばしお待ち下さい。
にしてもありがちな展開。王道。