「ジャボテンダーさんおはようございま・・・・もぎゃあああああああ!!」 朝から、ティエリアの素っ頓狂な声が聞こえた。 愛しのジャボテンダーさんは、頭に十円ハゲをこさえていた。 そこから綿がはみ出している。 「大ケガです!!」 とりあえず、寝台に寝かせるとティエリアは頭痛に効く薬バファリンをとりだすと・・・・自分で飲んだ。 「ああ、違う、こうじゃなくって!!」 ティエリアは、救急箱をとりだして、ジャボテンダーさんの頭を包帯でぐるぐる巻きにした。 首を絞めているような状態になった。 「なぁ。それ、首絞めてないか?」 椅子に座って新聞を読んでいたロックオンが、冷静につっこみをいれる。 「ロックオン!ジャボテンダーさんが頭に大怪我を!頭蓋骨を骨折した!!」 ジャボテンダーに頭蓋骨なんてあったんだぁって思いながら、ジャボテンダーを受け取る。 ティエリアはあわあわと慌てて、棚からバファリンを取り出すと・・・無理やりロックオンに飲ませた。 「げふ、ごふ、おいティエリア落ち着け!!」 「ジャボテンダーさんが死んでしまう!!」 「いや、元から生きてねーから!!」 「はやく・・・ドクター・モレノに診てもらわなければ!!」 ロックオンの首根っこを掴んで、ティエリアはドクター・モレノの診療室にいくと、チョレートをもらってソファーでそれを食べていた。 「あのな。ロックオンがいるだろうが。なんで俺のとこにもってくる!?」 「だって、ドクター・モレノは医者ではないか」 正論だ。 だが、ジャボテンダーなんて縫いぐるみをみる医者ではないだろう、多分。 ドクター・モレノは聴診器をティエリアの頭にぺちっとあてる。 「あー。ジャボテンダー病だな」 「ロックオンもか?」 「ああ、そうだ」 「それは良かった」 けらけらとティエリアは笑う。 ドクター・モレノはタンカーでジャボテンダーを手術室に運ぶと、ちくちくと裁縫をする。 「あー。趣味裁縫・・・・・どんな医者だ」 手術室のランプが消える。 綺麗に繕われたジャボテンダーを受け取って、ティエリアはにっこりを笑うとぶんとふりあげてドクター・モレノをはりたおした。 「おい・・・・・なんではりたおす?」 「ジャボテンダーさんが心から喜んでいるので、かわりに表現したのだ」 「そうか」 ドクター・モレノはスクリーングラスをかけなおすと、ティエリアに飴を与えてしっしと診察室から追い出した。 「帰った帰った」 「すまねぇ大将」 ロックオンが、ジャボテンダーを抱いたティエリアを右手で抱えて外にでる。 ぶら〜ん。 抱えられて、ティエリアはトレミーの廊下を真っ直ぐ指さした。 「さぁ、ロックオン、今からジャボテンダーさんと光合成をしにいこう。葉緑体であるロックオンの出番だ!」 「あいあいさー」 ティエリアを抱えて、ロックオンはトレミーを歩いていく。 ジャボテンダーに10円ハゲができたのは、昨日ティエリアが北斗の拳の読みすぎで、ヒコウをつく!とかいってブスブスとジャボテンダーを実験台にしていたからだ。 「僕はきっとレイの生まれ変わりだ。ジャボテンダーはケンシロウ。ロックオンは・・・・」 「俺は?」 「アミバ!!」 「ひでぇ!びでぶ!」 北斗の拳のザコキャラの悲鳴を真似しながら、二人は・・・というか、ティエリアはきゃっきゃっはしゃいでいた。ロックオンは、いつもの通りティエリアに付き合っている。 おとついはベルサイユの薔薇を読みすぎて、アレルヤに「パンがないならお菓子を食べればいい」とかいって夕飯奪ってたな。 いつでもティエリアはフリーダム。 することが唐突で謎。 でも、いとおしい。 おもしろおかしく、愉快でかわいいティエリア。 ロックオンはアミバってどんなキャラだってとか思いながら、デッキで二人して転がるのだった。 |