「ふ〜ふ〜ん」 機嫌よく湯船に使っていたロックオン。 脱衣所で、ごそごそと音が聞こえるが、ロックオンは気づかなかった。 頭にタオルを乗せて、ゆずの湯にして今日も温泉気分だ。 「ロックオン、背中を流してあげます!」 ガラリと入ってきたティエリアに、ロックオンは悲鳴をあげた。 「ぎゃあああああああああ!!!」 あたふたと、タオルで股間を隠す。 恋人同士とはいえ、ロックオンは風呂場では隠すというポリシーを持っている。 とうのティエリアは、潔く裸。 潔すぎて、ロックオンは涙が出そうだった。 「ティエリア・・・・頼むから、一緒に入るときは胸までバスタオル巻いてくれ」 ここは大浴場。 ザッパーン! ジャボテンダーと息子のミニジャボテンダーを大浴槽に投げ込むティエリア。 ジャボテンダーは耐水ではないので沈む。ロックオンのつくったミニジャボテンダーは耐水なので浮く。 プカプカと浮くジャボリー君を見ながら、ロックオンは背中流された。 お決まりのジャボテンダーで。 「仕返しだ」 ジャボテンダーで背中を洗われて、ティエリアは楽しそうだった。 二人で湯船につかって、水鉄砲とかうって遊んでた。 風呂からあがると、ティエリアはティーンズ用の女の子の下着をつけて、そのうえからなんと浴衣をきた。 「そ、それ・・・・」 「刹那にもらった。お揃い」 おのれ刹那。いつの間に。 間違った浴衣の着方を直してやる。 「ロックオンの分もあるぞ」 それを受け取って、ロックオンも浴衣に着替える。 「は〜。なんか、夏ってかんじだよなぁ」 「では、今からデッキで線香花火だ!」 「何それ」 なんでも、刹那が地上に降りた時に夏祭りをしていて、くじであてたらしい。刹那はそんなのする気がないので、ティエリアにあげたのだ。ロックオンとすればいいと。 濡れたジャボテンダーをかわかしながら、二人はデッキで線香花火をした。 ロックオンは一本に火をつけて、儚い花火をみていたのだが。ティエリアは。 束になっていた線香花火全部に火をつけた。 バチバチバチ・・・・・ぼと。 「漢たる者、やはり勢いがなくては!!」 ティエリアは、花火を楽しむというよりなんというのか、ほんとに勢いで終わった。 ロックオンが次の線香花火に火をつけて、ティエリアを抱き寄せる。 「ロックオン?」 「ほら・・・・一本のほうが綺麗だろ?儚い。ティエリアみたい」 「僕はこんなに弱弱しくない。どちらかというと・・・この、爆竹のような」 「ちょ、まて!!」 ティエリアは、問答無用で爆竹に火をつける。 「あちゃちゃちゃ!!」 ロックオンは飛び跳ねる。 ティエリアは、平気だ。 「漢たる者、凛々しくあれ!!」 夜空に向かって、ティエリアは叫ぶ。 「ロックオン、復唱!!」 「ああ、えーと凛々しくあれ!!」 ロックオンよりよほど凛々しく漢らしい性格をたまに見せるティエリア。 でも、いつもは乙女。 「今度、二人で夏祭りいこうか」 「はい」 頬を染めて、すぐにティエリアは陥落する。 ロックオンのエメラルドの眼差しに見つめられると、乙女になるティエリア。 おもしろおかしい生物だ。 ティエリア観察日記をつけてみると、おもしろいかもしれない。 「ロックオン。花火をみるとき叫ぶ言葉をならいました。きんたーまーやーー!!」 ロックオンはこけた。 「誰が教えた、誰が!!」 「刹那」 「お前ら子猫二人は・・・・」 頭をおさえるロックオン。 「いいか、きんたーまやーじゃない。それだと下品だろう。たまやーと叫ぶのがふつうだ」 「そうなのか。でも、別にきんたーまやーでもいいような?」 「よくないから!よくないから!!」 女より美しい顔で、平気でそんなこと口にするティエリア。 純心なので、愉快なのだが。 パチパチパチ。 最後の線香花火が落ちる。 「ロックオン?」 ロックオンはティエリアの顎を上向かせると、舌が絡むくらいに深いキスをする。 「続きは・・・ベッドの上で」 「バカ!」 真っ赤になったティエリアは、すっかりかわいたジャボテンダーとミニジャボテンダーを手に先に帰ってしまった。 「かーわいいの」 ロックオンは、花火のあとかたづけをしながら、星空を見上げた。 *************************** ジャボテンダー・・・・ギャグに・・・ならなかったオチ |