いつか







ティエリアは、その日じっとジャボテンダーさんを見つめていた。そして、ぎゅっといつものように抱きしめると頬擦りをして愛しそうにしている。
「どうした、ティエリア?」
「どうして僕はジャボテンダーになれないんだろう」
「あい?」
ロックオンはまた、ティエリアの不思議生物のフリーダムがはじまったと思った。
「ジャボテンダーになれたら・・・・毎日ロックオンに針万本して、ロックオンを追いかけて、ロックオンを担いで鍋に入れてジャボテンダーになれるように魔法をかけるのに」
「いや・・・お前な」
くすっと笑ったロックオンに、往復ビンタ一丁!

「僕は本気なんです!!」
涙を零して、ジャボテンダーを抱きしめる。
「ジャボテンダーになれたら・・・・ロックオンもジャボテンダーになれたら・・・何も、憂いなんてない。二人だけで永遠に、在れる」
発想はおかしいが、ようはずっと二人だけで居たいということだろう。
「バーカ。ジャボテンダーにならなくても、俺はずっとお前の傍にいるよ」
「本当に?」
「ほら、なんのためにペアリング買ったんだ」
「うん・・・・」

ロックオンに抱擁されて、ジャボテンダーを抱きしめながら、ティエリアは目を閉じる。
「好き・・・・」

久しぶりの展開だ。このまま・・・・。
ティエリアはジャボテンダーを振り上げると、ロックオンを張り倒した。
「ジャボテンダーさんで殴りまくるほと好きです!!」
「いや、殴らなくていいから!!」
はしっと、ジャボテンダーを白羽取りして、ぽいっとソファーベッドに投げ捨てると、ティエリアを抱いてベッドに縫い付ける。
「あ」
「どうした?」
「ジャボテンダーさんが見てる」
「いつでも見てるだろ」
「うん」
二人は唇を重ねると、そのままベッドで・・・・ティエリアは眠った。
スースースー。
「どうせこういうおちだろうと思った」
ちょっとがっくりしたロックオンは、ジャボテンダーをティエリアに持たせてから、同じベッドで眠るのであった。

隣で寝るロックオンを見て、ティエリアはジャボテンダーをきつく抱きしめると一言。
「バカ。狸寝入りなのに」

天井を見上げる。
いつまで、この幸せは続くのだろう。
戦闘がどんどん不利になっていく厳しい世界の中、二人の愛はいつも穏かに。
いつか、僕は。

それは予感。
いつか、僕は大切なものを失ってしまうのかもしれない。