星の砂「家族」







それからが慌しかった。
何せ、マイスターが二人になるということで。いっそのこと、もう休業だって、ミス・スメラギも躍起になって、CBはティエリアが無事出産するまで、完全に機能を停止し、世界への武力介入もやめた。

ティエリアはロックオンの生家で、ロックオンと一緒に暮らし始めた。
「んー。やっぱ、故郷だろ、故郷」
「ロックオン?こんなところにいたんですか」
「こらー」
「わっ」
「寝てないとだめだろ。お腹にさわる」
「いえ、あの、僕まだ妊娠三ヶ月ですよ?」
「それでもだめ!」
「は、はぁ・・・・」
ベッドに戻って、ティエリアは布団を被って横になるが、やっぱり暇だ。
ピンポーン。
「はいは・・・」
「刹那、きてくれたんだ!」
「アレルヤも一緒だ」
「ありがとう、嬉しい」
ロックオンを踏んづけて、ティエリアは対応に出ると、刹那とアレルヤを家の中に案内すると、紅茶を入れた。ティエリアの大好きなアッサムの高級品。
「懐かしいな、この味。やっぱ紅茶をいれてもらうなら、ティエリアだよね」
「俺も、ティエリアのような奥さんが欲しい。ロックオン、くれ」
「誰がやるか」
「額に肉とかいてやる!」
「じゃあこっちはガンダムバカって書いてやるよ」
きしゃあああああああ。
ロックオンと刹那は、いつものようにいがみあって、追いかけっこをはじめる。
「生活はどう?もう慣れた?」
「うん。ロックオンが本当に・・・いろいろよくしてくれるから」
「そう。よかったね。でも、ティエリアが女の子になるとは驚きだなぁ。確かに、前から女の子みたいだなーって思ってたけど、中性ってきいてたし」
「僕も、自分でもびっくりしている。性別が分化したんだ。生物学上、普通ならありえないけど、僕は人ではないし」
アレルヤは、ティエリアの額にデコピンをした。
「アレルヤ?」
「人じゃないって、そういう言いかたは止めたほうがいいよ。ロックオンも哀しむ」
「うん、そうだね。ロックオンも、人間だって言ってくれてる」
「そうだよ。ティエリアは立派な立派な人間で・・・・今三ヶ月目だっけ」
「うん」
「あと七ヶ月したら、ママになるんだよ」
「ママ・・・・なんか、実感しないな」
「ゆっくり、ロックオンと歩んでいけばいいさ」
「うん」

ぎゃーぎゃーわめきながら、互いに油性マジックで額に肉と書かれたロックオンと、ガンダムバカって書かれた刹那が戻ってきた。
そして、ティエリアがいれた紅茶を飲み干すと。
「このがきゃあああ!犯す!」
「上等だ、俺が犯す!」
ぎゃいぎゃいいいあって、互いに上下になって転がりあって、衣服を脱がせて、そして。
「やめた。虚しい」
「俺もやめた。ティエリア〜。お前の旦那が苛める」
泣き真似をして、刹那がティエリアの影に隠れる。
「ロックオン。夫でそして父親になるんですから、もっと大人らしくしてください」
ティエリアの後ろで、刹那はべーっと舌をだしていた。
本当に、この二人は実の兄弟のようにじゃれあうのが好きだ。
「紅茶、もう一杯いただけるかな?」
「どうぞ」
ロックオンの家は、こうして居候二人を迎えて、誰も住んでいなかった空間に彩ができ、生活している空間ができあがっていった。
「まるで・・・・マイスターの僕たち、本当の家族みたいですね」
「家族か。それはいいな。俺が旦那で、ティエリアが嫁さんで、アレルヤが長男で・・・・刹那は近所のガキ」
「何をおおおおお!!」
また油性マジックをもちだして暴れる刹那を、ロックオンが追っかけていく。
アレルヤとティエリアは、そんな二人をみて笑っていた。
とても、明るく。


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