星の砂「未来を灯す光」







「ええと・・・・紹介します。僕のツインで・・・いろいろわけありで・・・僕のかわりにマイスターになってくれる、リジェネ」
「リジェネ・レジェッタだよ。君たちなんかに・・・・特にロックオン、君なんかにティエリアは渡さないんだから!」
いきなり現れたライバルに、ロックオンはたじろいだが、でもすぐに自分のペースにリジェネも巻きこんだ。
「まぁまぁ、ティエリアの夫は俺だから。はい残念」
「なにー!」
刹那とアレルヤの他に、こうしてリジェネというティエリアとシンメトリーを描く双子が居候として増えた。
「俺も紹介する。俺のかわりにマイスターになる俺の双子の弟のライルだ」
「あー。よろしく。えーと・・・兄さんのお嫁さんってことは、俺にとっては義姉さんでいいのかな?」
「義姉さん・・・・新鮮でいいな!」
ロックオンが喜ぶ。もう、本名のニールに戻ってもいいのだが、籍はロックオンの名前でいれてしまったし、ティエリアはロックオンという名前でなじんでしまっているので、それでいいかとも思った。
こうして、また一人、ロックオンの双子の弟であるライルが居候として増えた。
ずっと音信普通であったが、子供ができたと伝えるとすっとんで会いにきてくれた。結婚も祝ってくれた。
ティエリアとロックオンは、結婚式こそ挙げなかったが、籍をすでに入れていた。

もう家は狭いのなんの。ティエリアにロックオン、アレルヤに刹那新たに居候に加わったリジェネとライルの六人家族になってしまった。
「ロックオン・・・・いってらっしゃい」
「ああ、いってくるよ」
ロックオンは、マイスターを辞めてCB研究員となった。
リジェネとライルが加わったことで、マイスターも復帰となり、帰る家はアイルランドのティエリアとロックオンの場所と定めながらも、アレルヤ、刹那、それに新しくロックオンの名を継いだライルと、リジェネが新しいマイスターとしてCBに加わり、CBは再び紛争根絶のために世界に武力介入していく。
「ふふ・・・・あはははは」
「どうかしたのか、リジェネ?」
トレミーの廊下で、不思議そうにライルが首を傾げた。このリジェネという存在は、ティエリアとシンメトリーを描きながらも随分と性格がきつい。いつもつまらなさそうにしているが、こうして時折とても楽しそうにしていることもあるが、今日は随分と機嫌がよさそうだ。
「うーうん。なんでもないよ」
リジェネは小悪魔のように笑った。
その裏で、彼は人類統合の最終ボスとなるはずだったリボンズをその手で殺し、アリーを捕まえてロックオンとライルの前に引き出して、家族の仇として殺させた。
「楽しいね。人間は」
イオリアの作り上げた計画が、音を立てて壊れていく。
ざまぁないね、イオリア。
僕を後継者なんかにするからだよ。
人類は、人類の意思で一つになる。その世界の裏には、僕らイノベイドもイノベイターもいない。
イノベイターとして生まれるはずであった命も、リジェネが全て処分した。

世界に紛争根絶をというCBは、連邦政府と対立しながらも、糸を引くべきイノベイターがいないので、連邦政府はアロウズを結成したが、すぐにCBによって敗れた。
やがて、戦争のない世界をと求める人々は一つの意思となり、意思の統合を、イオリアの描いた計画とは違った形で世界に表す。
世界は、貧しい者や弱い者に優しい世界へと、ゆっくりと変革していく。
これもまた、一つの未来。
マイスターたちは、トレミーに乗りながら世界の変革を見続けている。

「お帰りなさい」
「ただいま」
アイルランドのロックオンの生家では、今日も中むつまじい二人の夫婦が暮らしている。
その二人の間には、かわいい女の子が生まれた。
ティエリアは女性となったが、子供を産むように体のつくりがなっていないため、ドクター・モレノの手によって帝王切開がなされ、9ヶ月という月たらずでうまれてきた赤子は一時は生命の安否が気遣われたが、なんとなか峠を乗り切って、二人の子としてこの世界に産声をあげた。
名前は。
「セアロティ」
少し奇妙な響きだが、そこにあるものはマイスターの絆。
セアロティのセは刹那のセ、アはアレルヤのア、ロはロックオンのロ、そしてティはティエリアのティ。
みんなの頭文字をとってつけられた名前は、希望を託されたものだ。

それは、未来を灯す光。


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