「さて今日もピザや・・・・ぎょわあああ」 「ぎにゃあああああああ」 オーブンをあけたら、フェンリルが入ってた。 「フェンリル!何してるんだお前!」 「オーブンの中に住んでる火の下位精霊さんとお話しようとしたのだけれど、下位精霊さんは意識がなくってお話できなかったのにゃん」 「そらそうだろう。だから下位精霊って・・・・サラマンダーのサラサじゃないか」 フェンリルの背後には、炎をまとったサラマンダーの姿が。隣家アクラシエルのホームに住む、サラマンダーのサラサちゃん、女性。人型をとったときは少女になる。最近のフェンリルの彼女ではないかと噂されている精霊だ。でも、フェンリルが愛する人はただ一人、ティエリアだけ。ティエリアを伴侶に迎えたいのだ。 「オーブンでクッキー焼いたのにゃん。サラマンダーのサラサちゃんが焼いてくれたのにゃ。オーブンに宿っては火の精霊は逃げちゃったにゃん」 「ちょ、お前それオーブン故障したじゃねぇか!!」 「僕とサラサちゃん入れて焼いていい?って主に頼んだらOKしてくれたにゃん」 「ティエリアあああ」 炎の耐性をもつフェンリルとなら、オーブンで一緒に焼かれても平気だ。フェンリルはハイサラマンダーの精霊王の血をひいている。数千度、数万度という高温にだって耐えれる。 「呼びましたか?」 「クッキー焼くのになんでサラマンダーとフェンリルなんだ!」 「ああ、昨日からオーブンが故障していて。アクラにサラマンダーかりてます。臨時オーブンです」 クッキーをとりだすと、絶妙な火力具合で焼けていた。 「成功です。ふっふっふ、サラマンダーの火でもクッキーは焼けることが証明された!」 「つか、オーブンの中の下位精霊逃げたってフェンリルが」 「はい、もう修理の人を呼んであります」 「はやいな」 フェンリルはオーブンから飛び足して、ティエリアの頭の上に乗る。 「修理に窺った・・・」 サラマンダーのサラサは、主人アクラシエルの流れる絹のように美しい髪にまとわりついた。 「おい、アクラ。なんの真似だ。そんな怪しい格好しても前だってばればれだぞ」 「ネイ、無料で修理してやろうというのだ。気持ちはありがたく受け取っておけ・・・・修理道具を・・・おええええ」 やっぱり、この精霊はなんでも吐く。 修理道具を吐いて、中の欠陥を調べて機械に不調はないことを確認すると、火の下位精霊を呼び出してオーブンにまた住まわせた。 「これで問題なし」 「いやあるから!そこに、お前の心臓ピチピチはねてるから」 「いけない。またやってしまた。心臓よ戻れ」 魔法で体にすいこまれていく心臓。 どうなってんの、この精霊の体。 「アクラ、ありがとう。クッキー食べてく?」 「食べていく」 にっこりと、昔では考えられなかったような微笑を浮かべる精霊。 「にゃにゃー、ロックオンのクッキーをパクリだにゃ! 「NOOOO」 「二人とももちょっと静かに仲良く」 まるで引率の先生の気分なティエリア。 |