「ふあー。朝食にすっか。つくりおきのカレーが・・・」 カレーの蓋をあけてロックオンはまた蓋をした。 でも、確かに鍋の中にフェンリルがいた。 カレーは綺麗にフェンリルが食べてしまった。白銀の毛をカレー色にして、茶色の子猫に見えた。 「ふにゃーロックオン、とじめるにゃー!!」 「このままことことじっくり煮込んでやるーー!!」 「お前を僕が煮込んでやるにゃー!!」 「カレー3人分はあったんだぞ!一人でかってに食うな」 「そんなこといわれてもお腹がすいて僕のお腹が悪いんだにゃ。僕のせいじゃないにゃ」 屁理屈をこねるフェンリルを鍋から出す。 「カレーくさっ!」 ロックオンをフェンリルの首根っこをつまんで、シャワールームにいくと熱いお湯を被せて全身をシャンプーで洗った。 「いい気持ちなのにゃん。下僕ロックオン」 「だーれが下僕だーー!!」 「ひゃふふふふ。主の命令に逆らえないなんて下僕だにゃ。このひも男め、だにゃ。無職!ニートだにゃ!」 痛いところばかりをつかれて、ロックオンは冷水をフェンリルに浴びせた。 「ぎにゃー!冷たいのにゃー」 リビングルームで小説を読んでいたティエリアは、また騒ぎにかけつけて、フェンリルをロックオンから奪うとお決まりの台詞。 「もう、仲良くしてくださいってあれほどいってるでしょう。フェンリルをいじめないでください」 「いや、そいつがカレー全部くって、カレーの鍋に入ってた」 「・・・・・・確かにカレー臭い。でも、フェンリルはかわいいから許しちゃう」 ロックオンをどかせて、丹念にシャンプーで体を綺麗にしてもらって、フェンリルはご満悦。 「ちくしょう、俺だって、俺だってかわいい・・・・」 「無理があるぞ、ネイ」 茶をすすっていたリエットは、がっくりうなだれたロックオンに神の祈りを捧げる。 「汝を神は救いたもう。カレーの神はこういった。カレー食いたい、今すぐ作れ」 「それ、神の言葉じゃなくてお前のわがままだろうが!」 リエットはロックオンを蹴り倒した。 「いいからつくってこい。フェンリルに食われたのなら、また作ればいいだけだ。そうじゃないと、パンツ一丁にして顔文字ロンドで町内一周させるぞ」 「全身全力をもってカレーをつくるであります、作るぞおおおお」 帝国騎士のウエマは、その頃リエットの手で牢獄に入れられていた。 ヴァンピールを治したお布施は教会にいくのだが、リエットがねこばばしたのだ。その罪を友人に被せる鬼畜ハイプリースト、これでも聖職者。 「にゃー。ふにゃーいい気持ちにゃー」 「おう、ジュースでも飲むか?」 「飲むにゃー」 ストローからオレンジジュースを飲んで、フェンリルがゲロをした。 「おええええ」 「おい、どうした!」 「まさか、そのジュースの中、阿片入ってる? ティエリアがきくと、リエットは頷く。 「やっぱり。フェンリルはなぜか阿片を体の中にいれると吐くんだ」 吐いたというっても、わざとロックオンの頭によじのぼってカレーの中身を吐いた。 「ああもうフェンリル、その皮はぎとって肉を燻製にすんぞこらー」 カレー臭くなったロックオンは怒ってお風呂に入ったあと、こき使われるように朝食からずれて昼食になるであろうカレーをいそいそとつくるのであった。 |