ウエマは牢獄の中で窓から丸いお月様をみていた。 ああ、これでも帝国騎士で貴族なのに。うまれは皇族の血も混じっている上級貴族。なのにこの扱いはすばらしく酷い。 ヴァンピールだった者の治療費を教会からくすねたとして、取調べ中だった。 「ほら、あんたも苦労してるんだな。カツどんだ。俺のおごりだ」 「うううう・・・ありがとう (>'A`)>ア゙-ッッ!!」 取調べに、素直に白状した。リエットがやったって。でも、リエットは皇帝の姉姫。その程度では逮捕できない。ウエマは帝国騎士として独立し、皇帝の姉姫にうまくとりいったと一族が近づいてくるので、自分から貴族の位を捨てた。今はもうただの平民の帝国騎士だ。 「おーら。迎えにきてやったぞ」 新しい聖書を手に、リエットが交番まで迎えにきてくれた。 「1千万リラ払った。もう釈放だぜ」 「一千万って・・・・そんな大金、お前が!?ケチの王のお前が、俺のために一千万リラも?」 感動しているウエマに、リエットは聖書を持たせて、ガッツポーズをした。 「教会の・・・・神父たちがくすねていた金全部脅して自分のものにした。2億リラはいったなぁ。この聖書は、初代ネイの妻が持っていた由緒正しきものだそうだ。うっぱらえば500万リラいくんじゃね?」 「お前はまた〜〜」 ウエマの説教がはじまる。 「へ、次の国にヴァンピールを治療にいくぞ。俺はなんたって聖職者さまさまだからなぁ」 不遜なリエットは、こわいものを知らない。 皇帝でさえ、この姉をとめることはできないのだから。 ウエマは引きずられながら、その国をあとにした。 そしてまた、次の国でお布施を自分のものにしたという横領の罪で、リエットによって牢獄にいれられるのである。 そしてその間にリエットは教会の神父や司祭を脅してくすねていた金を自分のものにし、時には教会の宝まで奪う。 ほんとにどうにかしてくれ、このハイプリースト。 でも、その金は帝国におくられ、孤児たちの生活資金にまわされていることを、ウエマも皇帝も知らない。 |