「あーもう、だからなんでお前裸なんだよ!」 「うるさいな!いちいち、君に指図される覚えはない!」 ヴェーダとアクセスを、ハロを経由してすると、ハロからティエリアの意識体が飛び出してくるのだ。 みんなの目に、はっきりと見える。 透けているけど、確かにティエリアだ。 言葉だってちゃんと話す。 「アーデさん、美人ですう!!ミレイナ、いつもドキドキですう!!」 「ティエリア、女の子が裸なのはどうかと思うわ。服はきれないの?」 「めんどくさい」 その言葉に、みんな呆れた。 「ティエリア、服を着ろ」 「刹那まで、そういうか。別にいいだろう。いちいち、イメージを構築するのがめんどうなんだ。ヴェーダにアクセスしなおして、衣服の容量を計算して・・・刹那、君がかわりにやれ」 「やはりそのままでいろ。裸はいい。体にいい」 刹那は、自分にお鉢が回ってくると、前言撤回をした。 その速さに、やはり刹那とティエリアだなぁと、みんな笑う。 「教官殿。さよならっていっちまったよ、俺。あんた、全部知ってたのか!?こうなること」 「いいや。僕も、知らなかった。でも、肉体を捨てることは最初から決めていた。その後、多分意識体になるだろうが、まさかヴェーダと一体化するとは・・・・」 ティエリアはふわふわと宙に浮きながら、ライルの隣にきた。 そして、ライルがしていた、火のついていない煙草を、なんと手で取り上げたのだ。 「トレミーは、禁煙だ」 「ちょ、触れないのに、触れるのかよ!」 「イメージをクリアにすれば。君たちでも触ることができる。でも疲れるので、しない」 「なんだよ・・・・泣いて、損した」 「地球には、僕のスペアの肉体があるようだし・・・すでに、リジェネはそれに宿っている。多分、僕もそうなるんじゃないのかな。このままでは、あまりにも不便だ。いちいち、一日に何度も君たちに呼ばれて、ヴェーダから飛んでこなくてはいきない。地球のこの距離を、ヴェーダとの距離を考えてみろ!」 「そりゃ疲れるわなぁ、ご苦労なこって」 「肉体がないほうが、便利かと思っていた。実際なくして、便利だと思った。でも、なかなかものに触れないし、ヴェーダとのアクセス権は取り戻した。肉体があったほうが便利だ。何より、いちいち呼び出されない」 「じゃあ、ティエリアの肉体を取り戻しに、トレミー全速前進!!」 「刹那、まだポイントを告げていない」 「お前とシンクロしたとき、読み取った」 「な、卑怯だぞ、君というやつは!!」 「こんな形をとるティエリアのほうが卑怯だ」 「そうですう!!みんな、泣きまくりましたのですう!アーデさんが死んだって!!」 「生きてて何よりだよ、ティエリア」 アレルヤが喜びに、また泣き出した。 「アレルヤ、いい加減泣くのやめたらどうだ。泣きやすいな、君は」 「だって、だって・・・・」 「ライルも泣きまくっていたぞ」 刹那の言葉に、ライルは首をふって刹那の口を手で塞いだが遅かった。 「ば、ばかそれを言うな!」 「それはどうも。哀しんでいただけたようで・・・すまなかった」 ティエリアは、ペコリとおじきをした。 「それから。忘れな草の花をありがとう」 「な、知ってやがったのか!!」 「刹那が教えてくれた」 「刹那、てめぇまちやがれ」 刹那はブリーフィングルームを逃げ出した。 みんな、クスクスと笑い出す。 「さて、僕はもう少しここにいるとしよう。また呼び出されたら、たまらない」 僕は、世界に、全てに許されたと思うんです。 ロックオン。 宇宙で、あなたには出会えなかったけれど。 ヴェーダの記憶のロックオンに出会い、ティエリアはまた変わった。 「僕は、生きます」 そう、ロックオンの分まで。 僕は、許されるために、生きるんだ。 それが、許される唯一の方法。 あなたを、失ったことへの贖罪。皆への。自分への。世界への。 神には、許しはこわない。 僕は神を信じていないから。 「あ〜〜あああ〜〜」 意識体のティエリアは、遙かなる歌姫の歌を歌い出す。 その綺麗にな声に、トレミーの皆が耳を傾ける。 許されるために、生きる。 後のことは、また後で考えよう。 戻ってきたライルは、刹那の首根っこを掴んで、引きずっていた。刹那はしかめっ面だ。 まるで、5年前の光景見ているようで、懐かしすぎてティエリアは歌を歌ったまま手を胸の前で祈りの形に組んだ。いつも、悪戯がすきな刹那は、ロックオンに説教されてああして引きずられていたっけ。 「これかもよろしな、教官殿・・・・じゃなかった、ティエリア」 「はい、ライル」 名を呼んでくれるようになったライルを頬をさらりと撫でて、ティエリアはまた歌を歌った。 遙かなる、歌姫の歌を。 タイトルは「私は生きて、許される」 許されたい The End **************************************** ちょっといつもと違うかんじで暗く・・・でも最後はやっぱり明るかった。 暗いままかけないや( ´Д`) 久しぶりのライティエ・・・しかも長編 |