紅色のお姫様(後編)







(後編/18禁注意。軽いので15歳禁でも平気かも(オイ)
描写はあまりリアルにかきません。それが冬葉流・・・・。

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そのまま、二人で店を見物しながら歩く。
「よってらっしゃー。お、そこのお似合いのカップルさん、どうだい」
店の出し物の主人が、目立つティエリアとロックオンに目を止めて声をかける。

出し物は、作り物銃をうって、そこからでたダーツで並んだ商品を当てるという、当てゲームの一種だ。
「おっしゃ」
ロックオンが、腕まくりをする。
しても、すぐに着物の腕は元に戻ったが。
店の主人からつくりもの銃を受け取って、それなりの距離が離れているのに、本領発揮とばかりに次々と、ロックオンが並べられ商品にダーツを命中させた。
「うはぁ。こりゃ見事」
かなわんとばかりに、ロックオンの腕に舌を巻く。
ロックオンは銃の名手だ。
これくらい朝飯前だろう。

そういうティエリアも、同じようにつくりももの銃を受け取ると、次々に商品にダーツをあてていく。
ティエリアも、ロックオンに負けないくらいの銃の名手である。
自分の肉体が、無性の中性体であり、男のように筋肉のつかぬ体に後ろめたさのあるティエリアは、銃に固執するようにガンダムマイスターになってからその腕を磨いた。
ロックオンと並んでも、決してひけはとらない。

店の主人は、次々と商品を命中させられて、あんぐりと口を開いていた。
「すまんね、お客さん。いっぱい命中しても、商品は一個だけだ。全部あげると、お兄さんの店がおしまいだ」
当たり前の説明をする店の主人に、ティエリアも分かっているという顔をしていた。
同じ、ロックオンも。
商品が欲しくてやったのではない。
銃をつかった遊びだからしたのだ。
「兄ちゃんは、何がいいかね?」
店の主人が、ロックオンを見て、あてられた商品を並べる。

その中から、ロックオンは迷いもせずに、最新のエクシアのガンプラを選んだ。
ゲームの初回特典だそうで、普通ではまず手が入らないガンプラだ。
ネットオークションでは、10万をこえる値段がつけられている。

それに、店の主人はあいたたという顔をしながらも、丁寧に梱包してくれた。
「お嬢ちゃんは?」
店の主人が、今度はティエリアが当てた商品を並べる。
ティエリアの当てた商品の中にも、同じエクシアのガンプラがあったのだが、それを選ぼうとする前にロックオンが先に選んでしまった。

「僕は・・・・」
いらないと言おうとすると、優しいエメラルドの瞳が笑った。
「いいから、好きなの選んじまえ」
「はい」
少しの戸惑いの後、ティエリアは少し大きめのうさぎのぬいぐるみを指差した。
「はいはい、これね」
店の主人が、その大きさに、困ったという表情をした。
「お嬢ちゃん、ちょっと大きすぎて梱包できないんだけど、いいかな?」
「はい。そのままもって帰ります」
「じゃあ、はい」
うさぎのぬいぐるみを手渡される。

大きさのわりに、案外軽い。
それを、子供を抱きあげるようなかたちで抱き上げる。
ロックオンが、笑っていた。
「あっははは。うさぎのぬいぐるみかぁ。振袖とのアンバランスがこれまたいいな」
楽しそうに、うさぎのぬいぐるみを抱きかかえたティエリアを見つめる。
「変ですか」
「いいや、現代のお姫様らしくていいぜ」
お姫様お姫様と、子供にもいわれ、着付けの店の人にいわれ、そしてロックオンにまでいわれる。
この国の昔のお姫様は、こんな格好をしていたんだろうかと、ぼおっと思った。
着付けの部屋にはいろんな着物があった。
着物をきた写真もいっぱい飾られていた。

中世時代のヨーロッパのお姫様がきるドレスとは全く違った衣装をまとったその姿に、ティエリアも遠い思いをはせながらも、この国の昔の時代のお姫様は神秘的だったんだなぁとしみじみ感心する。

そのまま、ティエリアの手から、ロックオンがうさぎのぬいぐるみをさらって、持ってくれた。
重くはなかったが、歩くのに邪魔だった。
手が塞がって、手をつなぐことはできなかったが、気にしない。

そのまま、二人は歩いて刹那の家まで帰った。
「はー、楽しかった」
「良かったな」
ロックオンに髪を撫でられる。
綺麗に結われたままの髪からかんざしを抜き取る。
「ロックオン?」

「ちょっとこっちにきてくれ」
荷物を全部、ダイニングルームに置いて、奥の寝室まで手をひかれた。
そこは和室になっており、部屋は広かった。
ロックオンの手が、完全に結っていたティエリアの髪を元に戻す。
クセ一つついていない。

ロックオンの手が、腰の帯にかかった。
そのまま、パラリと外される。
ティエリアは、くるくるとまわって、声をだした。
「あーれー」
「よいではないか、よいではないか」
くるくるくる。
そのまま、ティエリアは振袖を脱ぐと、あらかじめ用意されていた私服に着替えた。
ロックオンも、着物を脱いで私服に着替える。

「あははははは」
「ははははは」
二人して、笑いあう。
「やっぱり、刹那が見ていたドラマでは、こういう展開で出す言葉は決まっていますね」
「のりがいいな」
ロックオンが、背後からティエリアを抱きかかえた。
「甘い花の香りがする。このまま食っちまってもいいか?」
「どうぞご自由に」
抱き合ったまま、畳の上に倒れる。
口付けをかわす。
ロックオンはとても優しく抱きしめてくる。
そんなロックオンに、ティエリアは自分から口付けする。

「あなたには、悪のお代官さまは似合いませんね」
「ティエリアは、お国の姫がよくにあってるぜ」
深く重なる唇。
乱れる呼吸。
白磁の肌がピンク色に染まっていく。
「ロックオン」
求めるように唇を重ねあう。
輪郭をなぞるように、ロックオンが唇をはわす。
「は・・・あ!」
白く仰け反る肢体。
乱れる息。
ロックオンの手が、ティエリアの胸に伸ばされる。
「ああっ」
僅かな膨らみを優しく愛撫する手は止まらない。

そのまま、下肢にまで手を伸ばされる。
「あああああっ」
内部を蠢く指に、ティエリアが翻弄される。
ひきぬかれていく指のかわりに、重量のある存在がティエリアを引き裂いた。
「いやあああぁぁぁ」
「いや、か?」
ティエリアは、涙を零しながら、首をゆるくふった。
サラリサラリと髪が零れ落ちる。
ティエリアの髪にロックオンは口付ける。
「あああああ、壊れてしまう」
内部を摩擦する熱に、ティエリアが透き通った涙を零した。
「愛している」
「愛してます・・・」

互いに口付け会う。
そのまま、熱い熱は、ティエリアの中を駆け抜ける。
引き裂かれ、痛みに翻弄されながらも、ティエリアはロックオンの首にしがみついて離れなかった。

「うあっ!」
最奥を突かれ、ティエリアの白い足がたたみの上を泳ぐ。
頭が真っ白になる。
仰け反る白い肢体。
乱れる呼吸。
「愛して、い、ます」
ティエリアの桜色の長い爪が、ロックオンの背中をひっかく。
ティエリアは、自分を翻弄する熱から逃げるように、ロックオンの肩に噛み付いた。
いくつも所有の証を刻まれる。

「はぁ・・・・・」
二人で勝手に刹那の家の風呂をかりて、身を清め、また着替えた。
ティエリアは、余韻でぐったりとしている。
半ば、気を失いかけていた。
ティエリアの体は、無性の中性体だ。こんなことをするようにはできていないと知りつつも、一度愛してしまった体を手放さすことができないように、お互いに求め合った。

「愛して、います」
「俺もだ」
深く口付けしあう。


「ただいまー!」
アレルヤの声が玄関からした。
「最新のエクシアのガンプラ!」
ダイニングルームで、ロックオンの刹那へのお土産を見つけた刹那が、目を輝かせて奥の部屋にいる二人のところにやってくる。
「ありが・・・・・」
くるっと、刹那は踵を返した。
ほんのり桜色に染まったティエリアの白い肌、呼吸はまだ余韻を残している。
畳の上にうつぶせに倒れ、その上から着物がかけられていた。
白い両足が、かけられた着物の隙間から見える。
珊瑚のかんざしは放り捨てられ、かなしげに畳の上に転がっていた。
着物の帯は完全に解かれて、ティエリアのかけられた紅色の着物の上を泳ぐような形になっている。
ロックオンは、ティエリアの髪を撫でながら、けだるげにしている。着物はちゃんとたたんで、いつもの服ではない違う私服をきているが、シャツは全快で、髪はぬれたいた。
ティエリアの髪もぬれている。ティエリアは、着替えたといっても、ロックオンのシャツ一枚を羽織ったような格好で、その上からティエリアの体を隠すように、紅色の着物がティエリアの体を覆っていた。

刹那の目から見ても明らかな雰囲気に、刹那はまわれ右をして、ダッシュで部屋をあとにすると、開け放たれたままだった無防備な部屋の襖を閉める。
「あれ、刹那、ティエリアとロックオンは?」
「あーれー、よいではないかごっこをした後だ」
「はぁ?」
分からないとばかりに、アレルヤが間抜けな声をあげた。
襖をあけようとするアレルヤの手を、刹那が止める。
「手篭めにされた姫君と、城の殿」
その言葉の意味に、アレルヤは顔を真っ赤にさせた。
そうだ、二人は恋人同士なのだ。肌を合わせることもあるのだ。

「せ、刹那、カラオケ行こうか」
「本当か!?」
刹那が声を輝かせる。
同じ家に、刹那を置いて置けない。
アレルヤは、刹那の音痴を知っていながらも、ティエリアとロックオンを二人っきりにするために、刹那と一緒に前にいったカラオケルームに出かけた。

その声を聞きながら、けだるげな表情をしたまま、締め切られた部屋でロックオンが口を開く。
「ありがとな、アレルヤ」
「ん・・・・・」
髪をすいていた手がとまって、ティエリアが起き上がろうとする。
ロックオンは、それをとめて、押入れから布団を取り出すと、ティエリアを寝かせた。
ティエリアは、大人しくロックオンのされるままになっている。
そのまま、ベッドではないが、二人はけだるげな雰囲気を残したまま眠りについた。

紅色のお姫様は、エメラルドの優しい瞳を確認してから、白い肌をほんのり桜色にそめたまま、意識を失った。


「ほげ〜ほげ〜ほげほげ〜〜」
「ぎゃあああああ!アレルヤぁ!後で覚えてろおおぉぉぉl!!」
カラオケルームで、勝手に眠ってしまったアレルヤの変わりに刹那の歌声を聞かされながら、ハレルヤが叫んだ。

「ほげ〜ほげ〜〜ほげほげ〜〜〜」
刹那は、見てしまった二人の大人の世界をわすれるために、熱唱し続けた。
無性の天使は、ロックオンの手によって堕ちた。

それでも、天使は美しく可憐なのだ。
それが、ティエリアという存在である。