ママチャリでデート







ティエリアは、ジャボテンダーにおしゃれをさせているつもりか、リボンを結ってあげた。
ティエリアもそのリボンで、ロックオンによって髪を結われる。
ジャボテンダーとティエリアの関係は親友。
ジャボテンダーの言葉を理解できるティエリア。
きっと、宇宙からの電波も受信できるに違いない。

「ロックオン、ジャボテンダーさんがデュナメスに乗りたいといっています。さぁ、乗りにいきましょう!」
「今調整中だろ」
「コックピットに入るだけでも違います。さぁさぁ。私の言葉はジャボテンダーさんの言葉です。さぁさぁ」
ロックオンをずるずる引っ張って、ティエリアは格納庫までくると、デュナメスに乗り込む。
ロックオンの膝の上に乗ったティエリアは、ジャボテンダーを自分の膝の上に座らせた。
「ロックオン。ジャボテンダーさんが冷たいメロンを食べたいそうです」
「いや、それ食べたいのはティエリアだろ」
ティエリアはメロンが大好きだ。
メロンソダーダも好きだ。
子供っぽい部分が多く残っている。
「いえ、ジャボテンダーさんです」
きっぱりと断言するティエリア。
「冷蔵庫にあったかなぁ。なかったきがするなぁ。このまま買い物にいくか」
ロックオンは、デュナメスを発進させる。
調整はイアンの手によって、もう終わっているらしかった。
一番近くの国に降りて、デュナメスを隠すと、ロックオンとティエリアは何故か、ロックオンが購入したママチャリに乗ってスーパーに向かう。

チリンチリン。
ベルを鳴らしながら、軽やかにママチャリを乗りこなすロックオン。
後ろにはティエリアも乗っている。
籠にはどーんと折りたたまれたジャボテンダーが、まるで籠から外の世界をみるようにはみ出していた。
「ロックオンはママチャリが好きですね」
「あ?そんなことないけどな」
「でも、よく乗っているではありませんか。主夫が似合っています」
「マイスター辞めたら主夫になるかぁ」
二人の軽やかな笑い声が、空に吸い込まれている。
「なぁ。これってデートだよな?」
「え、そうなのですか。ジャボテンダーさんの散歩ではないのですか」
「いや、ジャボテンダーも入れたデートだ。うん、デート」
チリンチリンとベルを鳴らしながら、スーパーにつくと、ティエリアはいつものようにジャボテンダーを抱きしめる。あいた手をロックオンと握って、ロックオンはスーパーの籠をもって、メロンを多目にかって、菓子類もたくさんかいこんでレジに進む。
「いらっしゃいま・・・・げ、ロックオン」
「刹那・・・・最近見かけないと思ったら、お前は何をしてるんだ!!」
ここは日本だった。
ロックオンに見つかった刹那は、真面目な顔で。
「ミッションだ」
「はぁ?」
「ミス・スメラギが使う金がないというので・・・・・ミッションで、レジのバイトをして金をためること。ミッションだ。バイトが全て終われば、王留美があの伝説の、ガンダムシリーズのプラモデル完全版を、保存用、実用用、観賞用と3つおくってくれると約束した!ふふふふふ・・・・。これで全てのガンダムのプラモデルがそろう」
このガンダムバカに、プラモデルやらガンプラをちらつかせれば、簡単にひっかかってくれる。
「王留美は、ミス・スメラギに口座を開いていないんだな。なぜだ?」
「決まっている。あのブランドスキーは、ブランドものから宝石まであれこれ買いまくって、すぐ口座の金を浪費するからな」
「それは確かに」
ロックオンも、酒癖の悪さのほかにブランドものを鬼のように買い漁るミス・スメラギは金の浪費が凄まじいので、自分用にもたされた口座を王留美の手によって閉められた。だからといって。CBの資金を使うわけにはいかない。ティエリアを相方として同人誌をかいて、イベントで売りまくって、その金で主にブランド品を買い漁っているミス・スメラギ。
在庫の本が切れたので、ミッションとして暇な刹那をこうしてこき使うことにしたのだ。
なんたるミッションだ。
刹那も、条件の提示をのんで、このばかげたミッションを真面目に、バイトしている。

「まぁ・・・・レジ頼むわ」
「かしこま・・・りまし・・・た、お客、様。350円が、1点、500円が1点」
無理やりつくった笑顔が苦しそうだ。
それまでは、普通にまるで別人のように笑顔を浮かべてレジをしていたのに。
ロックオンが相手となると、刹那も地を取り戻して、笑顔はひきついっている。
「ははは、なんだその顔。笑顔だろ、笑顔。俺は大切なお客様だ」
「ぐ・・・うぬれ、覚えていろ、ロックオン・ストラトス。この屈辱、いつか10倍にして返す!!」
ママチャリに乗って、デュナメスのところまで戻ると、デュナメスに乗り込んで二人とジャボテンダー1匹は帰還する。
こんなデートも、たまにはいいかもね。