蒼い薔薇はここにある







「綺麗な薔薇」
日本の経済特区東京で刹那とティエリアの家で過ごしていたマリナは、風邪をこじらせて入院してしまった。
蒼い薔薇をもって、刹那が見舞いにきてくれた。
「マリナ・ブルーローズ」
「私の名前?」
「そう。俺が品種改良で世界ではじめて蒼い薔薇の誕生に成功した。この蒼い色を見たとき、マリナのブルーサファイアのその瞳の色を思い出したんだ」
「とっても綺麗」
花瓶に生けられた蒼い薔薇は、今では世界に流通しているが、薔薇の中でも珍種で高いものとして有名である。
「刹那は、マリナ姫には甘いな」
椅子に座っていた、同居人のティエリアが、リンゴの皮を向きながら微笑んだ。
「俺は、ティエリア、お前にも甘いぞ」
「まぁ、刹那ったら」
ベッドの上で、マリナが笑う。
「二人とも好きだ」
刹那は傲慢だと自分でも理解している。恋人の関係だったティエリアと別れることができず、そして恋をしてしまったマリナとも関係を持ってしまった。
二人とも愛していた。
二人とも失いたくなかった。
戦争が終わり、故国に戻ったマリナは皇女として力を尽くした後、一般人に戻って刹那とティエリアが住む家で一緒に暮らすようになった。

奇妙な三角関係。
人が見たら、そう思うだろう。
ティエリアは男性ではない。女性の近い中性だ。
ロックオンを、ニールを失った分を埋めた刹那。ティエリアも刹那を愛していた。恋人同士になった。禁断の場所まで、二人はきてしまった。マリナはそれを承知の上で、刹那を愛しているのだ。
本当に奇妙な関係だ。
マリナは家族として、ティエリアも愛している。ティエリアも同じようにマリナを家族として受け入れた。
どちらを選ぶのか。悩んだ挙句、結局どちらかを選ぶこともできなかった。
傲慢でもいい。
俺がいなければ、この二人は一人になるのだから。

「早くよくなってくださいね」
ウサギ型にカットしたリンゴを、マリナの口元にティエリアは持っていく。
「ええ。よくなったら、みんなでまた散歩に出かけましょうね」
夏風邪はこじらせるとややこしい。
「早くよくなれ」
ティエリアはプログラマーとして、刹那はCB研究所の研究員として何故か花の栽培をしている。改良に成功した花にはガンダムの名をつける変な人で有名だ。
そして皇女であったマリナは、今は一般人の一人の女性として生きるのだ。
「はやく、よくなれよ」
刹那が、ティエリアがマリナのためにカットしたりんごを食べてしまった。
「こら、刹那!」
「まだまだりんごはいくらでもあるだろう」
「だからといって、君は。全くもう」

三人は、幸せだ。だから、奇妙な三角関係でもいいのだ。
お互いが幸せであれば。

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昔なつしの未来パロ刹マリ刹ティエシリーズだ。
( ´Д`)