「・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・」 ティエリアとリジェネは、同じ紫がトレードマークの制服を着て、食堂の椅子に座り、Aランチを注文して、そしてほとんどを食べ終わったのにその物体を睨みつけていた。 緑の、それ。 名前をピーマンという。 苦い味で有名だ。 子供の嫌いな野菜ではベスト5に入るかもしれない。 「ほら、ティエリアもリジェネも好き嫌いはよくないぞ。ちゃんと食べろ」 ニールも同じAランチ定食を注文したが、ピーマンは全部食べてしまった。 ティエリアとリジェネは、耳打ちでこそこそと会話をはじめて、そして行動にうつった。 自分の皿に乗っていたピーマンを、全てニールの皿にうつしたのだ。 「こらあああ!!」 二人は、手を繋いで逃げ出した。 「僕の分までよろしく、ニール!」 リジェネが逃げ出す。 「そういうことですので、それではお先に」 ティエリアも一緒になって逃げ出す。 おいていかれたロックオンは、仕方なしにピーマンを二人分食べるのであった。 「うえ、にげぇ」 実はニールもピーマンはあまり好きではない。 嫌いというほどではないが。 「やっぱ、じゃがいもだよな。じゃがいもが一番だよ」 ジャガイモ男爵とかわけの分からないあだ名をもつニールは、ポテトを注文した。どこまで食べる気なのだろうかと、観察していた刹那はメモを残した。 Aランチ二人前にポテト、サラダとフルーツ盛り。よく食べるニール。 でも、体重は変動しないし、まして横に太ることなどない。男性としての魅力が素晴らしいと、友人のティエリアはメロメロだ。まぁ、分からないでもない。16歳の頃は、このニールに自分も憧れたものだ。 でもよく観察するとおっさんくさかったりするし。ライルといい勝負だ。この双子は、本当にものぐさというか・・・・黙って立っていれば顔はいいのに、言動で全てを崩壊させている。 ニールは表情に引き締まりがないし、ライルはセクハラ言動が問題ありすぎる。 ライルだけでなく、ニールも雲の上を歩いている人種だと、刹那は思うが、それを教えるとティエリアは断固として否定し、素晴らしい男性なのだと熱く語る。 それを横でききながら、リジェネはニールをからかって遊んでいる。 まるで、5年以上前の、16歳だった頃の刹那のように。リジェネは子供っぽい。同じティエリアの容姿も、ここまでくると悪戯小僧か。ティエリアもティエリアで相変わらずフリーダムで天然アホだ。 三人の観察をするのが、刹那の最近の楽しみであった。 |