そのじゃがいもは、はぐれてしまいました。 じゃがいも男爵です。 ・・・・・ニールは、ミレイナとティエリアそしてライルとのあまりの仲のよさに、珍しく焼餅を焼いていた。 いつもは、心広く受け入れるニールだったが、ここ1週間ずっとミレイナとティエリアは一緒にいるのだ。そしてライルもその中に混じってくる。 ニールと同じ部屋で寝ることもなく、最近のティエリアは自室で寝ていた。 流石に、恋人をとられたのではないかと思い始めていた。 「でね、ここのスィーツがとってもおいしいんですぅ」 「へぇ。今度、一緒に食べにいこうか」 「うわぁ。とっても嬉しいですぅ!!」 「スィーツなら、俺が作ってやるぜ!」 「おお、じゃがいも男爵ですぅ!」 ミレイナは、ニールのことをロックオン一号と呼んだり、ジャガイモ男爵と呼んだりする。彼女なりの親しさの表れだろうか。 ちなみにロックオン二号はライルだ。 「だから、食べに行かなくても俺が作ってやるぜ!」 「そうですか。ありがとうございます」 「ち、デートの誘い失敗しましたですぅ」 「何か言った、ミレイナ?」 小声で呟いたミレイナの声があまりにも小さかったので、ティエリアもニールも聞こえなかった。 「なんでもないすぅ。ロックオン一号さんの作る料理やお菓子はおいしいので、楽しみですぅ!」 「任せろって!」 会話をしているうちにニールも二人のペースに巻き込まれて、結局は仲良く笑いあってた。 次の日からはティエリアはライルとも仲良く過ごしていた。 ニールはまたもはぐれじゃがいも男爵になっていた。 「かわいい教官殿、今日もかわいいな」 「冗談はほどほどにしてください」 目の前でいちゃつく(ニールの目にはそう見える)二人にもう我慢することができず、会話にはミレイナも混じっていたが、ティエリアを抱き上げるとかっさらっていってしまった。 二人は、目を見合わせて親指をたてる。 作戦成功。 ニールに焼餅を焼かせることができたら、ミス・スメラギがなんでもおごってくれるといったのだ。ニールなら、焼餅なんて焼かないだろうとミス・スメラギは思っていた。 でも、ニールだって恋人が自分をほったらかして他の人間とずっと仲良くしていれば、焼餅だってやきたくなるものだ。 「どうしたんですが、ニール?」 首を傾げるティエリアに、ニールは自分の部屋のベッドにティエリアを座らせて、ため息をついた。 「お前、ほんと天然だから参る」 「は?なんのことでしょうか」 「俺だって、お前が他のやつばっかりと仲よくしてれば、焼餅だって焼きたくなるってこと」 ティエリアはきょとんとしてから、それからジャボテンダーを抱きしめて笑ってベッドの上に転がった。 「あなたは、大人になって、まで、こんなことで焼餅など。あはははは」 「笑い事じゃねーって」 「はい。ほったらかしにしておいてすみませんでした」 ティエリアは、ロックオンの額にキスをする。ティエリアを抱きしめて、ロックオンは悦にひたる。 「やっぱティエリア最高。いい匂いがする」 ティエリアはニールとキスをして、手を繋いで一緒のベッドに転がった。 もう見飽きた天井が見える。 「明日、地上に降りましょうか」 「珍しいな。地上嫌いなお前さんから誘ってくれるなんて」 「デートしましょう。あなたの恋人は僕です。僕の恋人はあなただけです。変わりませんよ。浮気なんてしません。ただ、ちょっとデータ解析を夜中にしているので、眠りを妨げては自室で寝ていただけです。ミレイナとは昔からあんなかんじでよく話しますし。戻ってきたばかりのあなたがまだなれないのも仕方ないですよね」 「ごめんな、ティエリア。気を使わせちまって」 「いいえ。ミレイナといくことになっていたケーキ屋さんにいって、ミレイナとライルにもお土産を買ってあげましょう。アニューが最近仕事が忙しくてライルも寂しいそうで」 「みんな大変なんだなぁ」 二人は、手を握りあって、向かい合って額を合わせる。 「浮気なんてしません。あなたが浮気をしないように。だから、安心してください。不安要素があるのであれば、極力排除します。ミレイナやライルとも、もう少し距離をおきましょう」 「いや必要ねぇや。ありのままのティエリアが、俺は好きだから」 「そうですか。僕も、あなたがフェルトやミス・スメラギとばかり仲良く話しているのを見て、実は焼餅を焼いていたの知ってますか?」 「知らなかった」 「人間って、そんなものですよ」 「そうだな」 二人は、いつの間にはうとうとと眠ってしまった。 恋人になってもう何年になるだろう。 リジェネの手によって救われたニールは、スペアの肉体に宿ったティエリアと再会した。 4年の空白はあるが、恋人になってもう6年以上か。 長いようで、ニールが死んだと思っていた4年のブランクは辛いものだった。 どうか、この愛しい人がもう消えることがないようにと、世界にティエリアは祈る。 ティエリアは神を信じない。 それがティエリアの生き方。 「あなたに、幾億の愛と感謝を」 ティエリアはまどろみながら、ニールの手を両手で包み込んでいた。 ******************************* 空也様リクエスト、ライルかミレイナと仲良くて嫉妬ニール。 3期でしか無理な構成ですねw こんなかんじでよろしかったでしょうか。 ちょっと違うきもするけれどw |