トレミーは禁煙が基本。 それを知っていながら、ライルは煙草にジッポで火をつける。 煙を吐くと、それは淀んだ空気となって消えていく。 「なぁ。傷の舐めあいだよな、ほんと」 ベッドで眠っていた人物は、目を開けてジャボテンダーを抱きしめると、裸眼の瞳でライルを睨んだ。 仕草はかわいいし、いつもは幼い表情を見せるのに、こういった時は鋭いまるで、猛禽類の鍵爪のように。 「どうとでも」 「その瞳。くりぬいてやろうか」 アニューと同じだった金色の瞳のティエリアの目が、ライルの癇に障った。 「くりぬけるものなら」 ティエリアは淡々としている。 アニューが死んで、ライルの世界は崩壊した。ティエリアがその傷を癒すようにしばらく側についていたが、それが間違いだった。 アニューの代わりになんて誰もなれないのに。 「アニューの代わりにでも、なったつもりか」 「なら、君こそロックオンの代わりにでもなったつもりですか」 ティエリアのさすロックオンとは、双子の兄のニールのことだ。 「ロックオンは、俺だ。今は俺の名前だ」 「そうですね」 ティエリアは、どうでもよさように天井を見上げた。 また、二人の間に肉体関係ができた。 とても空虚で虚しいもの。お互いの傷を舐めあっているような。そんな関係。 「兄さんは、やっぱり優しかったか」 「優しかったですよ。あなたとは比較になりません」 「同意の上だろうが」 「そうですね」 金色の瞳は、とても綺麗だ。 アニューと同じイノベイターの証の瞳。アニューを殺した仲間。 ライルは煙草をくわえたまま、ティエリアを寝台に押し倒すと、ぐっと首に手をかけて力をこめる。 「ぐ・・・・」 ティエリアは、抗うことさえしない。 煙草が、ベッドの上に落ちる。 煙草の火がベッドのシーツを焦がすのを、ライルはじっと見つめていた。 「ゲホッゲホッ」 ティエリアを解放し、煙草を始末する。 思い切り絞めてやったので、痣になっていた。 「殺さないんですか」 「殺してどうなる。アニューが帰ってくるとでもいうのかよ」 「帰ってきませんね。永遠に」 永遠にという言葉に、ライルはまたティエリアの首を絞めていた。 「僕は、死など怖くない。あの人の元にいけるから」 「どうかしてるぜ。お前の脳みそ」 「あなたに言われたくありません。アニューがいなくなたからって、僕を代わりにしようとなんて、どうかしてる」 「アニューは」 ライルもティエリアも思う。 何故死んでしまったのだ、アニュー。 愛されていたのに。愛していたのに。 「アニューは、きっとこんな現状を見たら、泣くでしょうね」 「泣くだろうな」 そうだと知りながら、自分を失わないようにと付き添ってくれていたティエリアに手を出したのはライルだ。 ティエリアは抵抗しなかった。 アニューの笑い声を思い出して、二人は噛み付くような口付けを交わした。 ********************************** 他サイトのようなライティエを。空也さんこんなかんじ? いや精神的に苛めるライルとか書いたことないよ( ´Д`) このサイトのライルが180度転換するけどこれはこれでいい |