ピーマン







ティエリアは、いつものように、昼食の皿に乗っていたピーマンを睨んでいた。
「こら、ティエリア。ちゃんとピーマンも食え。好き嫌いはいけないぞ」
「ピーマンが悪いのです!なぜこんな苦い野菜があるのですか!」
ティエリアは、ピーマンに食べれない責任を押し付ける。
ロックオンは、自分のフォークでピーマンをさすと、それをティエリアの口元にもってくる。
「ほら、あーん」
後ろでは、アレルヤと刹那がシラーっとした雰囲気で食事を続けている。
このバカップルに関わるな。
ろくなことがないから。多分。

「あーん」
「う・・・・」
「食べたら、新しいジャボテンダーのグッズ買ってやるぜ」
ロックオンも、どこまでも恋人のティエリアに甘い。
ティエリアは雛鳥のように口をあける。
そして、ピーマンを噛まずに飲み込んだ。
それでも目に涙を浮かべて、大好きなメロンソーダで口の中の味をとる。
「ピーマン、まだたくさん残ってるぞ」
「もう1つ食べましした!食べたから約束は果たしてくださいね!」
「おい、ティエリア!!」
ティエリアは、背中にランドセルのようにしょっていたジャボテンダーリュックから、いそいそとミニジャボテンダーを取り出す。
「あとは、このミニジャボテンダーさんが食べてくれるそうです」
ちなみに、本当のジャボテンダーはまるで赤子のように、ロックオンが背負っていた。昼寝中ですのでと、ティエリアの手によって背中にくくりつけられたのだ。それを真面目に背負うロックオンも相当頭にジャボテンダー菌がまわっているらしい。
「では、僕はこれにて・・・・・」
「ダーメ」
手首を捕まえられて、ティエリアはわざと目を潤ませてロックオンを見上げる。
「そ、そんな顔してもだめだぞ。食べないと」
皿に残っていたピーマンは、いつの間にかやってきた刹那が食べてしまっていた。
「刹那!」
「ジャボテンダー王国を、築くのだろう、ティエリア。これくらいでへこたれるな。さぁ、約束していたゲームをしに戻るぞ!」
大切なロックオンから奪ったティエリアとの時間を、無駄にするわけにはいかない。
「こら、この子猫二人!」
「にゃー」
「にゃー。ロックオンのばかめ、にゃー」
二人は、猫の真似をして逃げだす。
それに萌えてしまったロックオンも、人間終わってる。いや、元からかなり終わっているので終わっていてもなんの問題もない。

「全くあの二人は。あとで説教だ!」
「ロックオン・・・・頼むから、目をハートマークにしながら真剣な台詞言わないで。アホに見えるから」
「鼻血は我慢した」
「そうだね。えらいよ」
なでなでと、アレルヤがロックオンの頭を撫でる。

ああ、マイスター四人はいつでも仲良しで、そしていつでもアホである。