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オルガンの音が聞こえる。
ああ、俺は、確かリボンズ・アルマークにあって・・・・アリー・アルサーシェスに腕をうたれて、それで。
朦朧とした意識のまま、ダブルオーライザーを飛ばして、そしてマリナの腕の中で倒れた。
目を開けると、オルガンをマリナがひいていた。
子供たちと一緒に、歌っていた。
「俺は・・・」
「まだ起きてはだめよ、刹那」
「つ・・・・」
頭がズキリと痛んだ。
「マリナ・・・・俺は・・・・ハム仮面は?」
「何を言っているの?ここはカタロンのアジトよ。あなたは、私の目の前で倒れたの」
「そうか」
またオルガンをひき出すマリナ。子供たちも一緒になって歌い出す。
この歌はマリナ・・・先生が作った唄。
「子供たちはみんなゲストでーす」
マリナ先生は、にこりと笑った。
一緒に歌っていた、どう見ても子供に見えない男が、子供の格好をして刹那の足をひっぱる。
「お兄ちゃんも歌おう」
「ああ・・・・・・・」
刹那は、マリナ先生に、出張ご苦労様と労わった。
「ええ、ここまでくるの、ほんと苦労したわ。ハム先生に頼まれたのだけど・・・ほら、私ってばあまりこのシリーズじゃ出番少ないから」
「マリナ様〜かえろ〜」
「あ、みんなもういいわよ〜。さぁ、侯爵家の自家用ジェット機で帰りましょうか」
マリナ先生は、子供たちをひきつれて帰っていった。
主張のゲスト費用も払ってもらって、マリナは笑顔で帰っていった。
「少年・・・歌おうではないか」
オルガンを、ハム仮面は綺麗にひいて、でも音痴な声で歌っていた。
その場にニールがいたら「だから勝手に殺すなって」と怒り出しそうだ。
ハム仮面にベッドに押し倒され、頭突きをしたはいいがこっちまで意識を失った。その間にこんな小細工とは。しかもまたマリナ先生を、こんな南の島に・・・ゲストの子供まで雇って。
「ハム仮面」
「なんだね、少年!!」
刹那は、少年の格好をしたグラハムをベッドに押し倒した。
ドキドキしたハム仮面は、真面目な表情になる。
「しょうね・・・せつ、な」
刹那の黒い髪に手を入れる。すくと、わりと柔らかかった。
刹那は、ハム仮面の股間の硬いものを切ろうとしていた。鋏で。
「っちょ、ちょおおおお、それだけはああああああ!」
「ハム仮面、ハム子にうまれかわってこいいいいい!!!!」
「もぎゃああああああああ!!」
刹那はハム仮面の服を引き裂く。そして、ちょん切ろうとする。
「あぎゃああああああああ!!!」
はむ仮面は、ふんどし一丁で、股間からちょっと血を滲ませて窓から身を躍らせて去っていった。
「ぜーぜーぜー・・・・・・・」
刹那は、そのままベッドにうつぶせになった。
「つ」
チリっと、首元が焼け付いた。まさかと思って鏡をみると、首筋と鎖骨に明らかなハム仮面のものと思われるキスマークがあった。
「ち。変態仮面が!」
貞操を奪われなかっただけ、ましか。
「少年・・・・無理強いするのが大好きなように私は見えるだろう。でも、私は、少年、君を無理やりものにしようとは思っていないのだよ。なんて大嘘だ!あと起きるのが5分遅かったら襲ってた!あはははは」
ハム仮面は、別荘でかわれているドーベルマンにおいかけられた。
「のおおお、話せば分かる、ドーベルマンの諸君!!」
ドーベルマンの一匹が、ハム仮面の股間に噛み付いた。
次の日、浜辺に全裸のハム仮面が股間をおさえて打ち上げられていたという。現地の人々にシャークマンとして救出され崇められ、夏休みが終わっても、ハム仮面は南の島にいた。
「たーすけてぇぇぇ」
「シャークマン、シャークマン!!」
拝む人々を前に、ハム仮面はシャークマンの格好をさせられたまま、助けを求める。
「だから、私はシャークマンじゃないってばああ!!」
刹那は、数週間の間だけ、ハム仮面のいない平和な学園生活を送ることができたという。
The End
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