微エロ・・・・ ************************************* 食欲の秋、芸術の秋、スポーツの秋。 そんなもの、ティエリアには関係ない。芸術だけは、同人誌をミス・スメラギとペアで発行しているので、年中芸術なのだが。 体重計にのって、じっとその数値を睨むティエリア。 なんたることだ。 毎日毎日、おかしだってばくばく食べてたけど、運動は筋肉トレーニングしてたし、確かに最近は運動なまけてたけど。 そんな、まさか、この僕が。 この僕が太るなんて! 蒼白な顔で、何度も体重計に乗るティエリアを、後ろから空気を読めていないロックオンががばっと抱きついてきた。 「どうしたー。最近食いすぎだよな、ティエリア。まさか太ったとか」 「ぶべ!」 裏拳を叩き込まれて、その場でロックオンは沈黙して床に沈んだ。 いつも食が細いからもっと食べろとか言われるティエリア。 確かにティエリアの食は細い。限界以上食べると時には嘔吐するので、食欲旺盛とはいいがたいが、トレミーの乗ってもうどれだけ経つのだろうか。 細いといわれていた食も普通になり、残すことも少なくなった。 不健康だからと、間食はとらなかったのに、ロックオンのせいでいろいろと一緒に間食を食べまくって、ロックオンは夜中に腹が減ったとかいって飯を食べ出す始末。なんとなくそれに付き合うことも多くなった。 「・・・・・・・・太った」 ズーンと、沈んだまま、壁に手をつく。 「なんということだ・・・・この僕が・・・・このままで豚に、ぶーちゃんになってしまう!!!」 髪を振り乱して、錯乱におちいる。 いやだ、アメリカ人のようにピザばかり食って体重が500キロになって生きることも困難になるとか、そんなブーちゃんになりたくない!! 起き上がったロックオンは、ティエリアの腰をつかんだ。 「ひゃっ」 「太った?ウェスト変わってないだろ」 「太ったんです!!506グラム!!!」 もしも、その場にミス・スメラギがいたら、何を言っているのがこいつはと、酒瓶を手に襲い掛かってきただろう。 「506グラムー?そんなの太ったにもはいらん」 「本当に?本当に?」 ティエリアは、目を潤ませて、ロックオンに縋りつく。 ティエリアの体重が変動することなど、まず体のつくりからありえないことだったのだ。 それが506グラムも増えてしまうなんて。 「あなたはブーちゃんな僕でも愛してくれますか」 「愛するとも」 「そうですか・・・・じゃあ今日からダイエットです。勿論ロックオンも一緒に」 「ええ!?」 506グラムでも、ティエリアには許せないらしい。 結局、体重計が少し狂っていただけだったのが、ロックオンはティエリアの過剰な筋肉トレーニングに付き合わされてへろへろになり、そしてティエリアも運動のしすぎてへろへろになって、ダイエットは1日で終わった。 「ダイエットしたいなら、他に方法あるだろ?」 「どんな、ですか?」 ティエリアはベッドに押し倒された。 「な、何を」 服をつぎつぎにはぎとられて、ついには下着姿になって真っ赤になってティエリアは全身を震わせた。 「あ、あ」 ふとももを吸い上げられ、二人分の体重でベッドが軋んだ。 「だ、めだって」 唇を塞がれ、そのまま、下着を脱がされる。 「あ」 びくんと、体が痙攣した。 敏感な場所に指を這わされて。 「あ、あ」 天井を見上げるティエリアは、ロックオンの柔らかい茶色の髪をつかんで、涙を流した。 「いい?」 「し、らない」 「ぶーちゃんにならないように、SEXで運動!」 「バカ!」 ティエリアが投げた枕を、ロックオンは器用に受け止めて、流れるティエリアの涙を吸いあげた。 次の日、気だるい気分のティエリアはシャワーを浴びて体重計にのった。 元に戻っていた。 それどころか、506グラム減っていた。おかしいと、体重のメモリを調節すると、506グラム+にされていたのだ。体重計が、狂っていた。 「ティエリア、体重は?」 「かわってませんでした。体重計が、506グラム、狂っていたんです。ああ、ぶーちゃんにならなくてすんだ」 「それは良かったな」 にこにこ晴れやかなロックオン。 体重計を506グラム狂わせたのは、もちろん彼。 おかげで甘い一夜が過ごせたのだから、お釣りだって出てくる。 ロックオンは、いつものような飄々とした雰囲気で、手のグローブを交換して、ティエリアの頭を撫でるのだった。 たまには、こんな刺激もいいかもね、と。 |