農家の実りをお届けに(夏季休暇)







ピンポーン。
チャイムがなる。
「はい、今でます」
ティエリアが出ると、配達人は重そうに荷物を抱えて、滴る汗を拭って住所などを確認して、ティエリアはサイン欄にサインした。
刹那なんてかけないので、カタカナでセツナと書いた。
刹那の文字は難しい。日本語を話し、理解し、書けるティエリアでも漢字が苦手だ。
英語やヨーロッパの文字と基本パターンがまるっきりちがう、それが日本語。表記も同じ言葉で4〜5つとか意味するものは多いし。
重たい荷物を玄関から部屋に移動させて、中をあけるとおいしそうなスイカがいくつも入っていた。
これは道理で重いはずだ。
すぐにティエリアは、アレルヤに電話をいれる。
プルルルと音がなって、アレルヤはすぐに出た。
「ありあがとう、アレルヤ。スイカこんなに。みんなで食べるよ」
「うん。今年のスイカはとっても甘いよ〜。みんなで仲良くたべてね。それと、ピーマンも」

ブチッ。
そこで、ティエリアは携帯を強制的にきった。
「ピーマンも〜〜たくさんーーー入ってるのおおおおお」
きられた携帯の向こう側では、アレルヤが悲しみを抱きながら、言えなかった台詞を間延びして言葉にする。
「ま、まさかそんなはずは。あれは・・・そう、例えるなら緑のゴキブリ!」
部屋に入ってきたロックオンは、緑のゴキブリを想像して気持ち悪くなった。そんなのが家の中カサカサしてたらたまらんわ。
「すいかの箱のしたにもう一個は箱あるな?これじゃねぇの?」
ロックオンは、すいかの箱をどけるとその箱をあける。
中には新鮮そうな緑のゴキブリがわさわさ・・・・・ではなく、ピーマンが大量にはいっていた。
「うわああ、緑のごきぶりだああ!!」
錯乱するティエリア。
よほどピーマン嫌いらしい。
「この量は・・・すいかなら分かるけど、明らかにティエリアのピーマン嫌いなおしてくれってアレルヤのお言葉かな」
「殺す、アレルヤ殺す!!」
拳銃を取り出して、アレルヤ殺人事件を起こしそうなティエリアをなだめる。
「まぁ、俺がご近所に配ればいいさ。な?無理に食べなくてもいい」

ティエリアは、携帯を取り出すと、二人並んでいるシーンをとって、アレルヤに送った。
「緑ゴキブリ駆除完了」とメールつきで。
「緑ゴキブリって・・・酷い!ピーマンおいしいのに」

「このすいかはうまいな」
刹那はすいかを食後に食べている。
「ところで、緑ゴキブリってなんだ?」
「どこでその言葉きいた?」
「ティエリアが、昼寝しながら緑ゴキブリの大群があああとか呻いていたな」
「ははははは、夢に見るほど嫌いか。やっぱり、食べさせようかなぁ」
ロックオンは、まだ眠っているティエリアに薄い毛布をかけて、ティエリアの夢を見てみたいと、そんなことを思っていた。