マルチーズな二人(夏期休暇)







「ふっふっふ、殺虫剤は用意した。完璧だ!」
キランとロックオンのエメラルドの瞳が光る。
「必要、なかったみたいですね」
「え、なんで」
「刹那が業者を呼んで、家の中の消毒をしてもらったみたいですよ。害虫駆除の。刹那も以外に潔癖ですね。僕もまぁ、その方が嬉しいかな」
「やった!これで安心だ」
ティエリアは、ソファーに座るロックオンを抱きしめて、髪をいじっている。
「んー?」
「暇です。ポニーテールにしましょう。お揃いに」
ティエリアの紫紺の髪は綺麗にロックオンの手でポニーテールで結われていた。
「いや、俺似合わないから!」
「まだ暑さも厳しいし。そんな髪型うっとうしいでしょう。切れとはいいません。似合ってますから」
「そう?やっぱり似合ってる?俺ってかっこいい?」
「はいはい。かっこいいですよ。世界で一番」
ティエリアはブラシをとってくると、ロックオンの柔らかなウェーブのかかった髪をすいていく。
ティエリアはよくロックオンにそうされると、眠たくなって眠ってしまうのだが。ロックオンは平気なようだ。
「あはははは。できた。マルチーズ!」
携帯をとりだして、カシャリとロックオンを写真にすると、それをアレルヤのアドレスの転送した。
「ちょ、頭のてっぺんだけくくるなー!」
「あはははは」
「ティエリアもマルチーズにしてやる!」
ロックオンは、綺麗に結われていたティエリアの紫紺の髪を解くと、頭上で髪をまとめてマルチーズの髪型にして、それを携帯で写真にすると、ティエリアと同じようにアレルヤのアドレスにメールで転送する。

「二人とも、楽しそうだなぁ。かわいいな、マルチーズロックオンとティエリア」
アレルヤは、本物ののマルチーズに囲まれながら、幸せの絶頂を噛み締めている。

ティエリアとロックオンはその髪型が気に入ったのか、そのまま室内で過ごした。
「ん・・・・」
キスをされて、久しぶりの感触にティエリアの肢体が震える。
「その顔、ぞくぞくする」
「は・・・あ、あ」
服の前を肌蹴られて、キスマークを残していく最愛の恋人にティエリアは抗うことはない。
「んっ」
わき腹を撫でられ、鎖骨に噛みつかれ、耳に噛み付かれたところで、ロックオンの動きが止まった。
「お前ら、忘れてるだろう。ここは俺の家だ。非生産的繁殖行動を行いたければ、どこかのホテルにでも行け」
「ごめん、刹那」
「ごめん」

「分かればいい」

ロックオンの後頭部に当てていた拳銃を直す刹那。
これが、このバカップルを大人しくさせるには一番効果があるのだ。

「ホテル、行く?」
「行く」
行かないという言葉だけが返ってくると思っていたロックオンは、涙を流してガッツポーズをとるのであった。