「セラフィムガンダム!」 ティエリアは、セラヴィの機体に隠されていた秘密を自分から暴露する。 ナドレのときのようにはいかない。 相手を破壊する。 GNフィールドをつきぬけて、セフラフィムガンダムがイノベーターのブリングの乗った機体に迫る。 (もう少し、あと少し) 歯を食いしばって、反動に耐える。 遥か大空に伸ばされたように伸びた手が、しっかりと相手の機体を掴んだ。 そして、手が消え、GN粒子の光が満ちる。 「僕は人間だ!」 叫ぶ。 誰にでもない、自分に言い聞かせるように。 破壊の光が満ちる。 ブリングは目を見張ってその破壊の光を見つめていた。 虹色に輝く、オーロラのように美しく、そして鮮烈な光。 満ちる。 膨大な熱をともなって、アームから収縮された光が集まり、ブリングの機体を貫いた。 ブリングは、イノベーター独特の金色の瞳で全てを見つめていた。 終わるのか。 イノベーターである俺が、同じイノベーターにやられるのか。 「消えろ!」 ティエリアは呼吸を止めた。 光が満ちる。 太陽の光のように眩しく、そして凄まじい熱量をともなった破壊の光が。 爆破する機体に巻き込まれないように、ティエリアはセラフィムガンダムで爆破区域からすぐに離脱した。 「僕は、人間だ」 完全に相手の機体が沈黙したのを確認して、石榴の瞳を金色に光らせる。 たとえ、イノベーターとして命をうけたとしても、僕は人間なんだ。 誰でもない、刹那と、アレルヤと、ライルと約束したんだ。 人間として生きると。 人間としていき、ガンダムマイスターとして生き続けると。 もう、何も失いたくはない。 ニールを失った時のような孤独感はもう嫌だ。 誰よりも強くなるんだ。 たとえ同じイノベーターを殺しても、立ち上がれ。 ティエリアは、金色の瞳を瞬かせた。 |