14話補完小説「僕は人間だ」







「セラフィムガンダム!」
ティエリアは、セラヴィの機体に隠されていた秘密を自分から暴露する。
ナドレのときのようにはいかない。
相手を破壊する。

GNフィールドをつきぬけて、セフラフィムガンダムがイノベーターのブリングの乗った機体に迫る。
(もう少し、あと少し)
歯を食いしばって、反動に耐える。

遥か大空に伸ばされたように伸びた手が、しっかりと相手の機体を掴んだ。
そして、手が消え、GN粒子の光が満ちる。
「僕は人間だ!」
叫ぶ。
誰にでもない、自分に言い聞かせるように。

破壊の光が満ちる。
ブリングは目を見張ってその破壊の光を見つめていた。

虹色に輝く、オーロラのように美しく、そして鮮烈な光。
満ちる。

膨大な熱をともなって、アームから収縮された光が集まり、ブリングの機体を貫いた。
ブリングは、イノベーター独特の金色の瞳で全てを見つめていた。
終わるのか。
イノベーターである俺が、同じイノベーターにやられるのか。

「消えろ!」
ティエリアは呼吸を止めた。
光が満ちる。
太陽の光のように眩しく、そして凄まじい熱量をともなった破壊の光が。
爆破する機体に巻き込まれないように、ティエリアはセラフィムガンダムで爆破区域からすぐに離脱した。

「僕は、人間だ」
完全に相手の機体が沈黙したのを確認して、石榴の瞳を金色に光らせる。

たとえ、イノベーターとして命をうけたとしても、僕は人間なんだ。
誰でもない、刹那と、アレルヤと、ライルと約束したんだ。
人間として生きると。
人間としていき、ガンダムマイスターとして生き続けると。

もう、何も失いたくはない。
ニールを失った時のような孤独感はもう嫌だ。
誰よりも強くなるんだ。

たとえ同じイノベーターを殺しても、立ち上がれ。

ティエリアは、金色の瞳を瞬かせた。