紅葉







ひらひらひら。
落ちてくる葉っぱを、ティエリアは手の平で受け止める。
ひらひらひら。
まるで桜の花びらが散るように、ひらひらとと風が吹けば散っていく。

紅葉の秋。
日本を始めとして四季をもつ国は、すっかり山の色を秋の色に染め上げていた。
「見てください、紅葉の葉っぱです」
ティエリアは、手の中に降りてきた葉をつまみあげると、嬉しそうにロックオンに見せる。
「ああ、綺麗だなぁ」
夏も終わり、もうすっかり秋。
また休暇をとって、日本に来ている。
紅葉を見に行くつもりではなかったのだが、公園にいくと紅葉の木があった。
二人で並んでその木を見ていると、ひらひらと紅葉の葉っぱはティエリアの手の中に降ってきた。
「押し花にできるかな?」
「まぁ、できるんじゃねーの」
ティエリアは、地面に落ちていた数枚の他の紅葉の葉を拾う。
「今度、みんなで紅葉狩りにでもいきましょうか」
「いいねー。秋ってかんじで」
「そうですね」
ティエリアは紅葉の葉を手の平いっぱいに集める。

「綺麗な色ですね」
「日本は桜のさく春もいいけど、紅葉がある秋もいいな」
「そうですね」
二人は並んで歩きだす。
遠くに見える山は、すっかり秋の色に染まっていた。