紅葉の押し花







「ロックオン、ほら見てください、紅葉の葉っぱです」
ティエリアは、押し花にした紅葉の葉っぱを見せる。
「お前、押し花好きだなぁ」
「だって、綺麗じゃありませんか。色は褪せても、形をとどめる。朽ちることがありません。ドライフラワーもいいけれど、押し花は自分でいろんな花を好きに組み合わせてできますし」
ロックオンは、ティエリアがつくった押し花を見ていく。
一番おおいのは、忘れ名草の押し花。
いろんな種類の花や草と一緒に、押し花にして。
綺麗にできあがっている。

「忘れ名草、好きだよな。あの鉢植えも綺麗にさいてるよなぁ」
忘れ名草が好きなティエリアに髪飾りをかってあげ、本物の鉢植えもかってあげた。
ティエリアはブリーフィングルームにそれを置いて、いつも世話をしている。
他の植物と一緒に。

「こんなのどうだ。季節っぽくていいだろ」
ロックオンがごそこごそと、引き出しをあけると、そこには小さな箱があった。
「?」
ティエリアが首を傾げていると、ロックオンはその箱をあけて中身を取り出した。
「ほら、紅葉の髪飾り」
ロックオンは、ティエリアの髪に、それをパチンと留めてやった。
ガーネットを集めてできた、紅葉の形をした髪飾り。
「ありがとうございます・・・嬉しいです」
ティエリアは頬を染めて両手を胸の前で組む。
「どうした?」
「この押し花のように、あなたとの愛も、形に、永遠に残せるようにと」
ロックオンはクスリと笑って、ティエリアを抱き上げた。
「わぁ!」
「そんなこと、祈らなくても、おれたちの愛は形になってるさ!見えないだけで。永遠だぜ!」

ロックオンは、ティエリアを抱き上げてくるくる回った。
「め、目が回ります・・・・」
「おう、はしゃぎすぎたぜ」

二人で、とさりとベッドに横になって。
そして、キスをして、二人は目を閉じた。

パラリと、ティエリアの押し花の数々が、床に散らばる。

押し花のように、綺麗な残骸になってしまえばいいのに。
この愛も。
どうか、このまま、形となって残っていって欲しい。
いつまでも。
いつまでも、いつまでも。
引き裂かれることのないように、いつまでも。