振袖にあってる?







「ロックオン、おかしくないですか?」
着付けの人に、綺麗に振袖を着せられ、でも化粧は一切していない絶世の美貌が、待っていたロックオンをじっと見上げてくる。
潤んだ目が、ガーネットのようでとても綺麗だった。
「ああ、綺麗だよ。美人だ」
「ありがとうございます」
ティエリアは、にこりと微笑んだ。

本当に嬉しそうだ。
振袖を着るということを、一度は拒んだティエリアだったが、ロックオンがそう望んでいるのを知って、快諾したティエリア。

「うわぁ、お姫様みたい」
「ティエリアは何を着ても似合うな」
一緒に待っていたアレルヤも刹那も、感心したそぶりでティエリアの晴れ姿を拝んだ。
「写真、とらない?ほら、みんなでさ!」
アレルヤが荷物の中から写真を取り出す。
写真に写るのがあまり好きでないティエリアだったが、今日ばかりはいいかと思った。
だって、彼が似合っているといってくれたんだもの。

「はいはいならんで〜。とるよ〜」
三脚を出して、自動撮影設定にする。
ティエリアの右隣にはロックオン。勿論着物姿。
左隣には、背の低い刹那がぶかぶかの着物姿で。それで後ろにはアレルヤ。

「はい、笑って〜」
ニヤリ。
ティエリアは、引き攣った頬で無理やり笑みを刻む。
「ティエリア、頬引き攣ってるから!」
「無理だろう、ティエリアは写真が苦手だ。映すと面白い顔になる」
「もう、ロックオンなんとかしてくださいよ!」

「簡単なことだ。ティエリア〜」
「はい?」
「愛してるよ」
そう耳元で囁かれて、キスされて、ティエリアは真っ赤になったけれど、優しい笑みを浮かべた。
その瞬間、シャッターが自動的に切られた。

この写真は、後にトレミーで高額で取引されたとかされなかったとか。
いつにもまして美人なティエリアの珍しい写真での微笑みと、かわいい刹那の姿、かっこいいアレルヤとロックオン。女性陣にも男性陣にも人気のブロマイドとなりましたとさ。