勇者なガンダムと魔王な俺様C







「あはははは、待てー」
「きゃー」
「やーん、つめたーい」
「ニール、こっちよー」
南のリゾート地では、魔王が女の子たちを追いかけている。
女の子たちは、人間の他に魔族が大半を占め、魔王であるニールに使えていた。

「あ・な・た・は。死ぬ覚悟はできているでしょうね?」
引きつった顔の、怖いティエリアがその光景を無言で見詰めた後、魔王に問いかけた。
「よう、ティエリア!久しぶり・・・怒ってる?やっぱ怒ってるよな?な、な、暴力反対!魔法も反対!話し合いで解決しようぜ」
「ほざけーー!!」
ティエリアリミットブレイク、コンボ技発動。
100往復ビンタ炸裂。
「ジェノサイドフレア!!」
魔王なニールは地面に沈んだ。クレーターのできた地面で、白目をむいて黒焦げになっていた。
「ぜーぜーぜー。ふん、だ」

勇者PTも夏のリゾートでバカンス気分を味わう。
ティエリアの隣には、魔王なニールもいる。
「浮気者」
「俺にはティエリアだけだって」
「女の子たちと遊んでたくせに」
「いや、あれは魔王の配下とかだし」
「人間の女の子もいましたね。それにセラフィスの女の子と仲良くなったとか手紙に」
「俺が好きで愛してるのはティエリアだけだ」
「ふん、どうだか」
「機嫌直せよ〜」
「なんでまた、魔王なんかに」
「いやー。面白そうだったから」
「今でもまだ面白いですか」
「んー。ティエリアがいないから、あんまり面白くもなかったな」
ニールはティエリアの顎を上向かせてキスをする。
「こんなことで、ごまかされません」
「機嫌直せよ、な?」
「ニールのバカ・・・」
ティエリアはニールを抱きしめて、目を瞑った。

それを遠巻きにみていた勇者PTは、ぼけーっとしていた。
刹那は海岸にあった宝箱をあけまくっている。
ライルとアレルヤは、青春っていいなとかいいながら、遠い目をしていた。
自分たちにもマリーとアニューという彼女がいるのだが、旅に出るということで村においてきた。
ああ、ティエリアとニールが羨ましい。
ガンダムバカな刹那も羨ましい。
「やった、ガンダムのプラモデルだ!」
宝箱からレアのガンダムプラモデルをゲットして、刹那ははしゃいでいる。

「んー。魔王やめようかなぁ」
「そうしてください」
「じゃあ、そうすっかな。魔王やーめた」
そんな簡単にやめれるものなのだろうか。でも簡単にやめれた。
だって、ニールは魔王お試しセットだったので、本気でなる気は最初からなかったのだ。
世界には、違う魔王が幾人が存在する。
「俺も、刹那のPTのメンバーになるわ。ティエリアと一緒にいたいし」
「ニール、大好きです」

「ふふふふ。この時を待っていた」
海岸から現れた縞々模様のだっさい水着を着た男も、魔王だった。変態魔王で有名な人物だ。
「お、お前は!」
刹那は勇者の剣を引き抜いて構える。
「魔王ハム仮面!!」
「少年!!愛してる!!!!!」
がばちょっと抱きつこうと跳躍した魔王ハム仮面を、刹那は勇者の剣でカキーンとホームランにした。
「愛してるぞおおおお、しょうおねええええええええんん!!!」
ハム仮面は星になりながらも刹那に愛を囁き、消えていった。

こうして、仲間にはニールが加わり、ニールはガンスナイパーに転職し、魔王ハム仮面を倒すことになった。
絶対に倒す、ハム仮面!
刹那は燃えていた。
こうして、刹那PTVS魔王ハム仮面のセクハラとの戦闘の物語に、ストーリーはかわるのであった。

                  ・・・・・・・・・・・・・2章へ続く