エリュシオンの歌声C







盗賊団の仲間には、首級をあげたので先にあじとに帰るように命令した。
誰もがそれに従った。
まさか、リーダーが神の巫女に魅入られているなど、誰も信じないだろう。ロックオンは強い男だ。魅了の呪文さえ通用しないほどに、精神も強い。どんな美女が相手でも、彼を篭絡することはできないだろう。

それが、17歳前後の子供相手になんてざまだろうか。

ティエリアを抱き上げて、外に出ると、ティエリアは空を見上げた。
見えない金色の瞳で、空と太陽を映しこむかのように。

(ああ・・・・空って本当に蒼いんですね・・・太陽の光は眩しいのかな?白にしか感じれない)
「ああ、太陽の光は眩しいぜ。じかに見ることなんて、真昼だとできない」
(そうなのですか?そういえば、朝、昼、夜があるのですね。あの空間には何もないから私は始めて、昼を体験できたのですね。嬉しいです。もう、何もいりません。さぁ、僕を神の元へ・・・・)

そっと、手を胸の前で組み、祈るティエリアを地面に下ろして、ロックオンは剣を振りかざした。
(さようなら、会えて嬉しかったです、ロックオン)
ザシュ。
それは、ティエリアを縛るようないくつもの衣を切り裂いていた。
(?)
「あー。なんてざまだ、この俺が・・・・」
ロックオンは、激しくティエリアを胸にかき抱いた。

(何を・・・・)
「俺のものになれよ」
(あなたの、ものに?でも、僕には神が・・・・)
「そんなもの、忘れさせてやるよ」
ロックオンは、用意していた馬にティエリアを乗せ、後ろから手綱をひいて馬を走らせ、兵士が配置されていない国境の森を抜けると、そのまま馬を走らせて隣国に入った。

「ららら〜エリュシオンへの扉は今開く〜神よ我に光あれ〜」
馬の上で、ティエリアはエリュシオンの歌声を放つ。
それは透明で、誰をも魅了する歌声だった。
町につくと、ティエリアを下ろして宿をとった。
背中の白い翼は魔法で隠せるらしく、ロックオンの手に抱き上げられて、ティエリアは宿の部屋の中に入ると、また首を傾げた。
(どうして・・・早く、殺してください。あなたの役目は、僕を殺すことなのではないのですか)
「あー。あーまぁ、そうだったんだけど。なんかなぁ。神の子リジェネみたいな偉そうで生意気な小僧をずっと想像してたんだよ。俺の両親はリジェネの不機嫌のせいで処刑されちまって怨みもある。双子なんだろ?なのに・・・お前はどうだ。目も見えない、耳も聞こえない、歌うことしか許されない、歩くこともできない。あげくに神殿の外に出たのも始めて。黄金なんて見た目はいいが、ベッドの柵に足枷で繋げられて・・・・まるで囚人みたいな扱いじゃないか。幽閉だろ、ありゃ」
(でも、皆はそうしないと僕が逃げ出すと・・・)
「無理だろ。歩けない、おまけに背中の翼も空を飛べないなんて、どうやって逃げ出すってんだ」
ベッドにとさりとおろされて、ティエリアは困ったように微笑んでから、泣き出した。
(だって、だって、だって!神様が僕にはいるから!!)
「いないだろ、神なんて。見えるのかよ。お前の側にいてくれるのかよ。お前を守ってくれるのかよ?」
(だって・・・・・エリュシオンの歌声が僕の全てだから・・・・)
「俺のものになっちまえ。エリュシオンの歌なんて歌えなくなってもいい。俺がお前を守ってやる。俺のものになっちまえ・・・・」
窓からは、すっかり日も暮れて綺麗な星空が見えていた。

ティエリアの唇を自分の唇で塞ぐと、抵抗はなかった。
(神様が・・・・)
「今は俺のことだけ考えろよ」
ぐいっと、また深く口付けた。
(あ・・・あああ)
歌うことしか許されないティエリアの喉から、言葉にならない声が漏れる。

(ダメ、僕は、あなたの思い描いてるような女性では・・・・・)
ロックオンの髪に手をいれる。
抵抗というより、身をゆだねているに近い。
(だめです、だめ・・・・僕は)
「なんだよ。その覚悟があってついてきたんだろ?嫌なら抵抗しろよ」
(僕は・・・巫女とは、名前だけで・・・女性では・・・・)
服を次々と抜かしていくロックオンの腕が止まる。
「あー。男の子?」
ふるふると、ティエリアが首を振る。
平らな胸に、流石のロックオンもどうしたものかと思ったが、自分のものにすると一度決めたら、なんでも自分のものにしてきたロックオンだった。
「男の子でもこのさいかまわねぇよ。男娼買ったこともあるし、平気だ、安心しろ」
平らな胸に口付けて、そのまま下の服も脱がしていく。
また、ロックオンの手が止まった。
「ついてない・・・なんだ、お前?どうなってるんだ?」
(中性です・・・・髪の子、中性)
「中性って・・・伝説の存在じゃないのかよ?」
(いいえ。現に僕が存在します。だから、僕は中途半端なのです。あなたの満足するような体はもって・・・うあああ)
「中性だろうが女だろうが男だろうが、俺のものにするっていったら俺のものにするんだよ」
固く閉ざされていた秘所に指を入れられて、ティエリアはシーツをきつくつかんだ。


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