ハレルヤ







歌声が聞こえる。
綺麗で澄んだオーロラか泉のような歌声は、ティエリアのものだ。
じっと、その歌声をきく。

アレルヤ ハレルヤ 神よ永遠に
アレルヤ ハレルヤ 神よ永遠に
神に栄光あれ 我らの父よ母よ
あなたの愛で 私たちは生まれてきた
あなたの愛で 私たちは愛し合う
神に栄光あれ 我らの父よ母よ
無限の愛をあなたに あなたの愛も無限だ
愛することの素晴らしさをくれたあなたに
深い深い感謝と敬意を 誰でもないあなたに
天使たちが踊る あなたの子供たちが
天使たちが歌う あなたの子供たちが
アレルヤ ハレルヤ 神よ永遠に
アレルヤ ハレルヤ 神よ永遠に

歌声がやんだ。
耳を澄ますせていたアレルヤの元に、ティエリアが現れた。
「アレルヤ。泣かないで」
「僕は、泣いてなんか」
ないと言おうとして、自分のオッドアイの瞳から涙があふれ、頬を伝っているのに気づいた。
「僕は、ハレルヤを愛していたんだ」
「ハレルヤも、きっとアレルヤ、君のことを愛していたよ」
「そうだといいなぁ」
頬を伝う涙。
アレルヤは、虚空に向かって手を伸ばす。
今はもういないハレルヤに向かって、伸ばす。

その手を、ハレルヤのかわりにティエリアが掴んだ。
「ティエリア。どうしてだろう。ハレルヤが消えて四年以上もたつのに、まだ信じられないんだ。すぐに戻ってくる気がして」
「僕も、ロックオンが死んでしまったことをたまに信じられなくなる。すぐに笑顔で戻ってくる気がして」
ティエリアも泣いていた。

二人は、お互いに抱きしめあった。
体温を共有するように。
「ハレルヤ、どうして僕をおいていってしまったの?」
「アレルヤ」
虚空に向かって、また手が伸ばされる。
ハレルヤに向かって。
「僕はね、毎日ハレルヤにおはよう、おやすみって言ってるんだ。ハレルヤの存在を忘れたくないから。女々しいかな?」
「悪いことではない。自分の半身を忘れないでおこうとすること、良いことだ」
「ありがとう、ティエリア」
「ハレルヤ、見てる?僕は、マリーを取り戻したよ。君のお陰だ」
窓から見える遠い星空に話しかける。
何百万光年も離れた星たちは、光り輝いていた。

トレミーの廊下で、アレルヤはハレルヤに話しかける。
「ハレルヤ。愛しているよ。ずっとずっと。これからもずっと」
「アレルヤ、眠らなくていいのか?」
「ティエリアの歌声で、目が覚めちゃった」
「すまない」
「ううん。綺麗な唄だった。アレルヤとハレルヤの名前が両方ともあるんだね、もう一回歌って?」
ティエリアは、アレルヤのリクエストのままに、喉から綺麗な歌声を出した。

アレルヤ ハレルヤ 神よ永遠に
アレルヤ ハレルヤ 神よ永遠に
神に栄光あれ 我らの父よ母よ
あなたの愛で 私たちは生まれてきた
あなたの愛で 私たちは愛し合う
神に栄光あれ 我らの父よ母よ
無限の愛をあなたに あなたの愛も無限だ
愛することの素晴らしさをくれたあなたに
深い深い感謝と敬意を 誰でもないあなたに
天使たちが踊る あなたの子供たちが
天使たちが歌う あなたの子供たちが
アレルヤ ハレルヤ 神よ永遠に
アレルヤ ハレルヤ 神よ永遠に

「ハレルヤ、聞こえてる?僕たちは、ずっと一緒だよ」
虚空に伸ばされた手が、ぎゅっと、胸の位置に戻る。
アレルヤのオッドアイの瞳の金色は、ハレルヤの色だ。
「ハレルヤ。愛しているよ。こんなにも、こんなにも」
涙を零しながら、アレルヤはまた虚空に向けて手を伸ばす。
ティエリアは止めない。
「うわあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
悲痛な、アレルヤの叫び声。
「どうして!どうして、ハレルヤ!僕を置いていかないって約束したじゃないか!!どうして!」
ティエリアは、ただ、アレルヤの涙の軌跡を見ていた。
そして、同じように涙を零す。
「人は、いずれ置いていかれる」
「ハレルヤぁ!」
また、虚空に向かって手が伸ばされる。
その手が、決してハレルヤに届くことはないと分かっていながら、アレルヤは手を伸ばす。
「ハレルヤ、愛しているよ」
答えはない。
ティエリアは、押し黙って、泣くアレルヤの背を撫でていた。

こんなにも悲しい思いをするなんて。
引き裂かれるなんて。
想像もしていなかったのに。

辛いよ、ハレルヤ。
君がいなくて、寂しいよ、ハレルヤ。
こんなにも愛しているのに、ハレルヤ。

もう、どこにもいないんだね。

愛しているよ、ハレルヤ。

「ティエリア、もう一回歌って?」
「分かった」
ティエリアの歌声を聞きながら、アレルヤは涙を零す。
そして、また虚空に向かって手を伸ばすのだった。

決して、握り締められることのない手を。

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2009,1.12.23:15のあさひな菜穂様のリクエスト、シリアスなアレルヤ。
やっぱりアレハレだ!どうぞもっていってやってください。
未熟者ですみません(><)