ロストエデン。 失われてしまったエデンの園。 失われてしまった楽園。 いつものように、戦闘訓練のためにバーチャル装置に入る。 ライルと刹那、そしてティエリアで装置を連結させた。 そのまま、仮想空間にダイブする。 (今日もAIマリアをご利用くださり、ありがとうございます) いつもの聞きなれたAIマリアの声を聞きながら、三人は仮想空間に降り立った。 ティエリアはいつものように、背中に六枚の翼をもって、バーチャルエンジェルとなって仮想空間に舞いおりる。 そして、舞いおりた瞬間には、背中の光り輝く六枚の翼は、光の雫となって消えていった。 「ダンガムダブルオーライザー、敵を駆逐する」 ダブルオーライザーに乗った刹那が、宇宙をかける。 「ティエリア・アーデ、セラヴィ発進します」 「ロックオン・ストラトス、敵を狙いうつ!」 ティエリアもライルも、セラヴィムとケルヴィムに乗って、襲い掛かってくるアロウズの紅い機体を破壊しつくすために、機体を操る。 「おおおおおおおお!!!!」 刹那が吼える。 すでに十体以上もの敵を切り裂き、破壊していた。 「刹那、いいぞ、その調子だ」 ティエリアからの通信が入る。 「このまま完全に駆逐する」 「それでこそ、刹那だ」 「俺も負けてないぜっ」 ロックオンが叫んで、ケルヴィムの機体を回転させる。今まさに襲いかかろうとしてきた敵を、装填されたビームサーベルで切り裂いた。 そして、照準をあわせて次々と敵を撃ち落していく。 「ライル、そのままの調子で」 ライルのところにも、ティエリアからの通信が入った。 「ハイパーバーストを解放する。照準領域から離脱せよ」 「了解!」 GN粒子の光が満ちる。 「60%、70%、80%、90%、100%!解放!」 ティエリアの言葉と共に、フルパワーのハイパーバーストが襲い掛かってきた敵を隕石ごと消滅させる。機体を回転させ、トレミーに襲い掛かろうとしていた敵もハイパーバーストで消滅させる。破壊の光がうねり狂う。 あまりの眩しい光。 そのまま、ティエリアはハイパーバーストで敵という敵を消滅させていく。 (敵、生存率35%) AIマリアの声が、求めていた数値を出してくれる。 「ライル!」 「はいよっ」 ハイパーバーストから逃げるように四散していく敵を、ライルのケルヴィムが正確な射撃で撃ち落としていく。 「ハイパーバースト、再チャージへ入る。刹那!」 「分かっている!」 ケルヴィムが撃ち損ねた敵を、刹那のダブルオーライザーが切り裂く。 (敵、生存率22%) 「刹那、そのまま駆逐しろ!」 ティエリアが叫んだ。 「言われなくても!」 ダブルオーラザーで、ビーム砲を発射し、トレミーを狙っていたアロウズの紅い機体を撃ち落とす。そしてビームサーベルを片手に、バーサカーのように次々と敵を切り裂いていく。 「ライル!」 「あいよ!」 ダブルオーライザーで切り裂きはしたが、致命傷にならず鎮まらなかった機体をケルヴィムが撃ち落とす。 (敵のモビルスーツ、援軍30機が到着しました) 「おいおい、援軍設定かよ」 ライルがまいったなと、ハロの頭を撫でた。 「ライルはこのまま、トレミーを守りつつ射撃を。刹那は、前に出えて援軍30機を切り裂け。僕も前に出る) 「了解した」 「おいおい、セラヴィで前に出るってどういこった?」 ライルの問いの答えは返ってこず、かわりに敵のビームがライルを狙い撃つ。 「ち・・・ハロ、いくぞ!」 「リョウカイ、リョウカイ」 ケルヴィムが、ティエリアの指示通りにトレミーを援護しながら、射撃で敵を撃ち落していく。 トレミーからもいくつものミサイルが発射される。それをかわしながら、ケルヴィムはトレミーを援護する。 トレミーを狙うビーム砲の数に、ライルが舌打ちした。 「トランザム!」 ケルヴィムの機体が紅く燃え上がる。 盾を構築しながら、トレミーを狙うビーム砲を受け止める。そして、ビームがきた方角に向かってビームを発砲する。 「ライル、そのままトレミーの援護を続けてくれ」 「了解した」 「ハイパーバースト、完全解放!」 ティエリアは、ダイブルオーライザーごと敵の援軍に照準を合わせて、ハイパーバーストを解放する。破壊の光が宇宙を突き抜ける。 刹那は、ダブルオーライザーの機体を回転させ、ハイパーバーストの照準区域からすぐに離脱すると、新しく装填したビームサーベルを両手にもち、援軍に向かって突進した。 ダブルオーライザーの破壊能力は未知数だ。 ティエリアは、ハイパーバーストを機体に収納すると、ダブルオーライザーの後をついて発進する。 「おいおい、ティエリア、セラヴィで刹那の機体と並ぶにはちっと無理がないか?」 ライルからの通信が入った。 「このまま前進する」 ティエリアが答える。 「駆逐する!全てを駆逐する!」 刹那が、ビームサーベルを振り上げる。 満ちる粒子の光。 ティエリアは、GNフィールドをはって、敵のミサイルやビーム砲をやり過ごすと、瞳を金色に輝かせた。 「ティエリア・アーデ、セラフィムガンダム、発進する!」 ティエリアのセラヴィの機体が、動いた。 背後にある顔を中心として、新しいガンダムが姿を現す。 「セラフィムガンダム!?」 ライルが目を見張った。 「刹那、そのまま敵を切り裂け。残りは僕が破壊する。ライルは、後退してトレミーの安全確保を」 「セラフィムガンダム・・・」 刹那が、ティエリアの新しいガンダムの姿に驚いたようだが、とくに何もいわずに援軍の30機に向かってスピードをあげる。 「駆逐する」 両手のビームの刃を交差させる。 ダブルオーライザーを無視して通り抜けようとした機体も、ダブルオーライザーの餌食となる。 次々と破壊していくダブルオーライザー。 そこに、ティエリアの乗ったセラフィムガンダムが現れた。 「ティエリア!」 二機の機体に、ティエリアのセラフィムガンダムが自由を奪われた。 「万死に値する」 ティエリアは、セラフィムガンダムをそのまま発進させた。敵は、それについていけず、機体が裂ける。 ティエリアはビームサーベルを刹那と同じように両手にもつと、刹那のダブルオーライザーと並んだ。そのまま、ティエリアはビームを発射し、そして両手に持ったビームサーベルで敵を切り裂いていく。 そのスピードは、ダブルオーライザーのほど速くはないが、それでもセラヴィの機体とは比べられないほどに早く、残影を残して移動していく。 「はあああ!!!!」 ティエリアが叫ぶ。 「おおおお!!!」 刹那が叫ぶ。 二人は、互いに背を預けながら、援軍のアロウズの紅い機体を次々に裂いていく。 「ライル、一機そちらに向かった!」 「まかせとけ!」 ライルはビーム砲を敵に向けて撃つが、敵の行動が素早く、かわされてしまった。 そのまま、トレミーの近くにまでこられてしまう。 「なめるな!」 装填されたビールサーベルを手に、ケルヴィムが翔ける。 真っ二つにされた紅い機体にとどめを打つように、トレミーから発射されたミサイルが命中した。 (敵、生存率30%までに減少) 「刹那、母艦を叩け!」 「了解した」 そのまま、刹那はアロウズの機体を無視して、母艦にむけてスピードをあげる。 うねるツインドライブ。 加速する。 そのまま、すれ違いざまに母艦を真っ二つに薙いだ。 (敵機、全て撤退していきます) 「お前で最後だ」 撤退しようとする敵の前を塞ぎ、ティエリアは手にしたビームサーベルで紅い機体の心臓部を破壊すると、ダブルオーライザーと一緒に、母艦に付き従っていた艦船を沈めていく。 (目標、完全に沈黙しました。残存勢力はすべて、戦闘空域から離脱しました。破壊率78%です) 「ありがとう、AIマリア」 ティエリアが金色に光っていた目を石榴色に戻す。 (戦闘バトルフィールドから、通常フィールド、トレミーの格納庫に場面を移転します) 言葉と一緒に、ぱっと場面が変わった。 ライルと刹那とティエリアは、それぞれガンダムをトレミーに収納し、コックピットから降りた。 「ご苦労様、二人とも」 ティエリアがヘルメットをとって、ライルと刹那をねぎらう。 「ティエリア、セラフィムガンダムってのは?」 早速、ライルが口にした。 「ああ、前のガンダムヴァーチェにナドレが備わっていたように、今回もセラヴィにはセラフィムガンダムという機体が備わっている。いずれ、戦闘でも姿を晒すことになるだろう。だが、今のところはまだセラヴィのままでいける。セラフィムガンダムは、いわば僕にとっての切り札だ」 「切り札か。刹那にはダブルオーライザー、アレルヤにもガンアーチャーが備わったし、ティエリアには切り札のセラフィムガンダム。なんか、俺の機体だけ寂しいなぁ」 ライルは、自分のケルヴィムを見上げた。 「そのうち、君の機体にも新しい兵器が備わるかもしれない」 「お、マジか」 「アロウズは次々と新型を投入してくるからな」 刹那が自分のダブルオーライザーを見上げた。 「何はともあれ、戦闘訓練はこれで終了だ。現実空間に戻ろう」 「OK」 「わかった」 (マスターの脳波をキャッチしました。通常フィールドの仮想空間より、現実空間への帰還ルートを開きました。AIマリアをご利用くださり、ありがとうございました。次回のご利用を心待ちにしております) NEXT |