「あ、俺?俺ルシフェール・アスタルいうねん。よろしゅう」 「あーよろしゅう、じゃねええええ!!!ティエリア、ロックオン、侵入者だあああ!!!」 リエットは、風呂場から戻ったロックオンとティエリアの部屋にかけこんだ。 「お前の方が侵入者だろうが!帝国に戻るんじゃなかったのか!」 ロックオンは、髪をふきながら、ベッドで眠るティエリアを起こさないように声を落とす。 「いやな、アクラが変な男連れてやがるんだ!関西弁の!!」 「こらアクラー!嫁入り前でしょう!!!」 リエットと一緒に、難しい顔になって、リエットの使っている客間に入ると、その怪しい関西弁の男の腕の中で、アクラシエルはまどろんでいた。 「ふにゃ・・・ネイ?」 「う」 「おい、今かわいいとか思っただろ!おい、思ったな!この浮気者!ああ俺も思ったさ!フレアが心にいながら最近のアクラかわいいとか思っちまったよ!!しかもムーンリラ皇女とちょっと浮気してたしな!ああ、でも俺は男がだめなだけで別に百合限定じゃねえんだよ、中性が、そう、中性がすきなんだ!アクラが好きなんだーーー!って言っちまったーーー!!俺のアホー!!!」 「あかんわ。アクラは俺のやから」 「なにー!いつからお前のものになったこらあああ!」 女神アルテナが離れたリエットは、いつものものぐさで破天荒なハイプリーストだった。 関西弁をしゃべるえせくさい青年は、見た目なら21、2あたりだろうか。まだどこか少年くささが抜けない。 水色の髪に、水色の瞳をしている。髪は短めで、肌は白い。 髪は癖毛っぽくて、いろんな方向にはねていた。 「俺はルシフェール・アスタル。よろしゅう、ネイ」 「お、おう・・・・・」 「おうじゃねぇだろ、お前!」 聖書でリエットがロックオンを殴る。 「ルシフェール・・・・堕天使王の名を名乗るとは、いい度胸じゃねーか。種族はなんだ!」 「エゼキアル」 「は?」 「エゼキアル」 「何それ」 ロックオンも一緒になって、聞き返す。 「セエレの孫っていったらわかりまっかー?」 「セエレ・・セエレ・アズラエル・アスタル。堕天使の名を持つ、俺と同じホワイティーネイの、一族の長じゃないか!」 「そうや。その孫。種族はエゼキアルヴァンパイア。ヴァンパイア上位亜種、突然変異個体ホワイティーネイからさらに生まれた高次元存在ヴァンパイア。じいさんが、生み出した新しい種族、まだ帝国の皇帝も認めておらん最上位亜種ヴァンパイア。それがエゼキアル」 「エゼキアルどっかで・・・・・・・ああ・・・・・神には遠く、かといってエルフやセラフィスのような亜種族よりも高位・・・・神話のドラゴン、エゼキアル。神話の天使や悪魔に近い存在」 「そう。神話のドラゴンの名前が種族の由来やねん。例えると、精霊の精霊王みたいなもんや。エゼキアルヴァンパイア。人の血は飲まん。完全な自然のエナジーと人と同じ食物だけで生きとる。じいさんが作った、ホワイティーネイの子孫の個体のDNAをいじった種。それが俺らエゼキアル。種族はまだ認定されてへん。全部で5人しかおらんから、種族いえるか分からんけど。簡単にいうと聖魔。ホワイティーネイと同じ神聖魔法が使えて、なおかつ闇に位置するエターナルの特徴ももっとる。髪と瞳が水色で・・・全員な。俺で三人目・・・寿命は皇族のエターナルよりもあって、3千年生きる、とじいさんは推測しとる。ちなみに俺はまだ74歳やねん」 「74!?ガキじゃねえか、普通!ただのエターナルでも、74だと10歳前後だろうが!」 「だからー。特殊やねんて。成長期は短くて、ゆっくりと最後まで老いる。エターナルみたいに不老やない」 「ふむ・・・あーそういや。セエレ、ね。4千年前にいたヴァンパイアじゃねーか。始めてこの世界に生み出されたホワイティーネイだろ。ちょ、セエレまだ生きてんの!しぶといな!」 「あー、じいさんはコールドスリープ経て、500年くらい前に起きたんよ。一族の長やっとる。癒しのセエレて有名やろ」 「族長に孫いたなんて初耳だぜ」 「俺も・・・・あれ、俺ネイなのに、なんか帝国に詳しくなくなってる・・・ちょ、涙」 「しっかりしろよネイ!」 「( ´Д`)」 「んでな。じいさんが、皇帝に種族認定受けてる間にネイのとこいっとけって。てことでよろしゅう、ネイ」 「はい、よろしくー・・・・じゃねー!まぁ、種族改造か・・・・法律には触れてねーな。でも、俺の許可もなく」 「何いうとんねん。じいさん、3987年前に、許可貰いにいってもらっとるやないか。ほれ、これあんたが書いた許可証や」 「む・・・・間違いなく、ネイの字だ」 「俺の字だ・・・あれ?あれーー?」 「しっかりしろよネイ!お前、ヴァンパイアの神だろ!」 「あれー!?」 「ということで、とりあえずよろしゅう。アクラはな、俺の恋人やねん。町で見かけて美人やなぁ思うてナンパしようか迷うてたんよ。その前にいっぱい人間にナンパされて、ほいほいついていって危なっかしい子やなぁ思うて。人間に襲われてるとこ、助けに入ろうか思うたら凄い魔力で人間粉々になりそうやったわ。内臓吐く上になくすねんな、この子。膵臓無くしたーって泣いてるとこ、膵臓みっけて声かけたらさ、ありがとう言われて微笑まれて。もう胸にばちこーんきたさかい」 「こいつ何言ってんだ。言葉わかりづれぇよ」 「俺も・・・・」 「まぁ、精霊ってのは知ってたけど、無の精霊なんて聞いたこともあらへん」 ルシフェールは誰もいない壁に向かって延々と話し続けた。 「アクラ。アクラの恋人でいいのか?」 「おい、アクラ、どうなんだ」 「私の、友達です」 「ちょ、それないやんけ!恋人になってくれるゆうたやん!」 「あー、アクラは誰にでもこんな調子だぞ。ナンパされると」 「哀れ( ´Д`)」 「ちょ、アクラー。俺のこと愛してへんの?永遠の血族になるって約束してくれたやないか」 「私、は。ネイが・・・・」 ロックオンはやばいと思った。まだ、俺のことが好きなんだろうか、アクラシエルは。 「ネイのアホみたいな顔が、スキ」 「はぁ?何それ。答えになっとらん」 「んと。えと。・・・・フェンリルが、好き」 「答えになっとならん!!」 ルシフェールに接吻されて、アクラシエルは頬を紅くして、小さく呟いた。 「あなたの愛を、信じていいのですか?」 何度となく裏切られ、利用されてきたアクラシエルは、ルシフェールに抱きしめられながら、逡巡する。 「任せとけや、俺に。何があっても守るから」 「そういって、裏切るくせに」 「裏切らへん」 「ルシ・・・」 ラブラブバカップルが増えた。 ロックオンとリエットは、茶を飲んでいた。 「そういうことで、しばらくこのホームで世話になりますさかいに!」 「なんでだー!隣にアクラのホームあるだろ!」 「アクラがここがいいっていったからやに決まってるやんか」 世界の果てでルシエードは月をまた見上げた。 「私が作らせたエゼキアルで、しばらくは遊んでいるといい。ユグドラシルの聖剣、反逆者カシナート、エゼキアル、アルテナ、ネイの血族ティエリア、駒は揃った。あとはウシャスか。フォーリシュ、屑の中の屑。私の可愛い弟よ。ゆっくり歩もうか。我らの歴史を」 彼は、音もなく飛び立っていった。 血と聖水ムーン The End **************************************** 関西弁のキャラ登場させたくて。 伏線の伏線がいっぱい。 滅びの時どうなるんだか(考えてもいない) 次は、ルシフェールも混じった普通のヴァンパイア退治? |