翌日。 「おい、大丈夫かティエリア?」 ティエリアはロックオンの腕の中でぐったりとしている。 人工増血剤と人工血液剤を与えたが、どうにも羽目を外しすぎたのか、それとも媚薬がまだ抜けていないのか。ティエリアも阿片には強い。阿片のせいとは考えられない。 「おー、どうしたアクラ?」 ロックオンの前を横切ったアクラシエルが、まるで人形のようにギイギイ動くので、変に思って声をかけると、アクラシエルは顔を真っ赤にしてぶんぶんと首を振った。 「な、なんでもない!」 「顔真っ赤だぞ。熱でもあるんじゃねーの?」 「やっ」 「アクラ?」 「ケダモノ!」 アクラシエルは、それだけ言うとリエットの元に逃げ出していった。 「あちゃー。見られた、かな。まぁ、俺ケダモノだから否定しないもーん」 刹那とリジェネは、また海水浴に浜辺に出ている。 ふるふる震えるアクラシエルは、リエットの側を離れない。 「アクラ、俺これから知り合ったお嬢さんとデートなんだけど・・・」 「や、いかないで・・・・」 うるうると、潤んだ大きな瞳で見上げられて、リエットはぐっと詰まった。 胸がこうきゅんきゅんと疼く。 「あーもう、まじでお前かわいい。中性ってなんでこんなに美人でかわいいんだーー!」 「ひどいわ!あんたら、俺おいて海水浴かいな!」 「あールシフェール?」 いきなり現れた関西弁の青年に、リエットはぼりぼりと頭をかいて、自分の後ろで震えているアクラシエルを差し出した。 「ほい。お前の恋人、なんだろう?一応」 「う・・・ちょ、アクラ。まじて、そんな目で見つめんとって。り、理性崩壊するやない」 「ルシフェも・・・・ああなるの?」 「へ?ああって?」 「私に、ピーでピーでピーなことしたいって思ってるの?」 「げふ!」 鼻血を垂れて、ルシフェールはネイを見た。 「ちょ、ネイ、あんたアクラに何教えた!」 「いや、教えたっていうか、見ちゃっただけだから平気平気」 「平気やないやろ!この子純粋培養なんやから!」 「リエットー!男ってみんなケダモノ?」 「ああ、そうだぜ。男は最低だ。みんなケダモノだぜ!」 「うわああ、無よ、解放されよ!!」 ルシフェールもロックオンも一緒になって、最上階の窓から吹っ飛んでいった。 「ぜーぜー」 「おーおー派手なこって」 「ん・・・・ロックオン?」 ロックオンの腕の中にいたティエリアは目覚めた。 そして、すぐに真っ赤になった。 「あ・・・・その」 「やりすぎ、だろ。寝とけよ。俺はデートに出かけるから。アクラは残るんだろ?」 こくこくと、アクラシエルは頷いた。 ティエリアは、アクラシエルに看病されて、気だるげにベッドの中でまた眠りにつく。 「なぁ。ネイ、あんたちょっとやりすぎちゃうん?ティエリア、調子悪そうやん」 「いや、あれが俺たちの普通だから」 「かー。さいでっか」 砂浜に、頭からつっこんだ二人は、足だけ地上から出してもがいていた。 「ちょ、まじでぬけへんやんこれ!」 「そのうち、誰かが助けにきくれるって」 「そっかー。って、窒息するがいな!」 「俺はネイ。血の一族の神。こんなことではしなない」 「ネイ、かっこつけててもごっつ情けない姿やで。シルフがいうとったがな。あんた、裸でちゃらんぽらんになってたそうやな」 「あああ、言わないでー!お嫁にいけないー!!」 「あー。ネイがこんなアホやとはなぁ。ルシエードも思わんやろて」 二人は仲良く、日が沈むまで頭から埋まっていた。 助けたリエットに、救出代金といって目が飛び出すような金額を請求される羽目になる。 「ふにゃ〜〜ん。僕は海の男にゃー!」 サーフィンを我が物としたフェンリルは、サーフボードを華麗に操り波を支配して、南の島のアイドル状態になったそうな。 みんなで海水浴。 いろいろあるけど、もう少し南の島で、一人増えてバカンスを楽しむバカになるみんな。 たまには、こんなのもいいかもね。 |