ぐつぐつぐつぐつ。 ぐつぐつぐつぐつにゃー。 ぐつぐつにゃー。 「お前・・・また!!」 スープを作ろうと、湯を沸騰させていたら、また中にフェンリルが入っていた。 「ぐつぐつぐつぐつにゃー」 「ぐつぐつにゃーじゃねー!風呂はいるなら風呂場いけ!」 「この沸騰する湯加減がいいのにゃー」 フェンリルは頭にタオルを乗せて、前足で鍋の中からいい湯だなぁと鍋のふちに前足をもたせかけて、後ろ足で立っている状態だ。 「分からないやつだにゃーロックオン。この、沸騰する100度の熱湯は、ここでしか体験できないのにゃー。ぐつぐつにゃーー」 「分かるか!」 氷の属性であるはずのフェンリルは、普通暑さや熱、炎が弱点のはずだが、ティエリアのフェンリルは母親がハイサラマンダーの精霊であったため、炎の属性ももつ異端児でもある。 フェンリルは、沸騰する湯の中で気持ちよさそうにしている。 熱いだろに、平気らしい。 「またフェンリルのだしかよ!」 「にゃー。僕のだしはおいしいのにゃー」 ロックオンはフェンリルの首根っこをつかむと、火を止めた鍋から出して、ぽいっと捨てた。 「にゃー。捨てるとは卑怯にゃ!」 「フェンリルのだしはいらねーんだよ。もっかりやり直しだ」 「フェンリルのだしはおいしいのににゃー」 フェンリルはぶるぶると体を震わせて、わざとロックオンに水しぶきをかけると、かりかりと前足で頭をかいて去っていく。 「お前はーー!!」 「知らないにゃー」 よじよじと、ロックオンの頭にのぼると、そこでぽんぽんと前足でロックオンの頭を叩く。 「さぁ、働けにゃ。僕が見ていいてやろうにゃ」 「言っとけ」 ロックオンは、また鍋に水をいれて沸騰させると、そこに切り刻んだ野菜をぽいぽいと放り込んで、クリームシチューをつくっていく。 「じゃがいもがおおにゃー」 「そりゃじゃがいもシチューだからだ」 「多すぎるにゃー。中身の半分じゃがいもだにゃー」 「き、気のせいだ・・・・」 こうしてできあがったシチューを、夕飯として出すことになったのだが。 「・・・・・・・じゃがいもばっかりだぜ、これ」 リエットが中身を見て、じゃがいもをスプーンでつつく。 「じゃがいも男爵〜」 ウエマが、歌を歌い出す。 「じゃがいもになりたかったのか、ネイは」 アクラシエルは、シチューを一口で食べ終えてしまった。 「まぁ、味は悪くないやん」 ルシフェールは、じゃがいもをよけている。じゃがいもが嫌いらしい。 「ロックオンは、じゃがいも男爵ですから」 ティエリアは、じゃがいもを先に食べ始める。 「せめて、伯爵にしてくれ!」 「お前なんなじゅがいもの精霊にも失礼にゃ!」 そんな精霊いるのか?みんな首を傾げた。 そんなホームのとある一日。 |