血と聖水外伝「ホーム」







「財布ずっと前に拾ったんだけど、持ち主現れなくて俺のものになったぜ!100万リラも入ってたんだぜ」
ロックオンは、リビングルームで皆に自慢する。
「100万ですか・・・」
ティエリアは、分厚い財布を見る。
ロックオンが自分で金を稼ぐことはまずないので、これを機会に働いてくれたらなぁとか、ちょっと考えていた。
でも、料理教室なんて開けば若い人間の女の子たちにもてもてだろうし・・・それはそれで、ティエリアの嫉妬の渦が巻いて許さない。
ちゃらんぽらんなロックオン。
ティエリアの間男とか、フェンリルは呼んでる。
ロックオンは、ティエリアのパートナーとして一緒にヴァンパイアハンターをしてるか、ヴァンパイアハンターではない。職業、今のところ無職。
あるとしたら、主夫だろうか?

「おーおー、100万ね。はい、没収」
リエットが、ロックオンから財布を奪う。
「ちょ、何しやがる!」
「お前、忘れてねぇか?俺に5億リラの借金あること」
「うが・・・・」
ロックオンは逃げ出そうとするが、しっかりとリエットがロックオンの腕を掴んでいた。
「おい・・・ちょっとは仕事しろやこの無職があああ!!」
「もぎゃああああああ!!!」
リエットに投げ飛ばされて、ロックオンは床に沈む。
そこに、フェンリルがやってきて、シャキーンと爪を伸ばした。
「仕上げは僕がするにゃ」
バリバリバリ。
顔を縦横斜めに引っかかれ、ロックオンは悲鳴をあげる。
「いってええええ!!」

「なぁ、ティエリア。今からでも遅くないぞ。こんなネイやめて、まともな相手見つけたらどうだ?」
「そうにゃ!ロックオンはアホすぎるにゃ」
「はぁ・・・でも、僕がロックオンを放りだすと、ロックオンは行くあてもなくてこじきになるしか」
キラリと涙をきらめかせるティエリア。

そこまでいう?
愛してるからとか、普通言わない?

「愛してるから、放り出せないだろ、分かってるぜー」
「そ、そんなじゃありません!!」
真っ赤になるティエリアの頭を、リエットがぽんぽんと撫でた。
フェンリルはティエリアの頭によじよじと登って、それからぽんぽんと前足を。
「愛は仕方ないにゃ・・・」

「だってさ、アクラ。愛は相手のだめなところも受け入れる必要があるんやで。俺はいくらでも・・・・ってまた寝てる!!」
格好つけたルシフェールは、キザったらしくポーズまでつけて口説いていたのだが、アクラシエルは立ったまま寝ていた。
「ZZZZZZzzz・・・・」
「立ったまま寝るとは流石アクラにゃ。無の精霊にゃ」
「いや、こいつは寝るのが大好きなだけだと思うぞ、俺は」
フェンリルが、ティエリアの頭の上で大きな欠伸をする。

「い、いつか俺だってちゃんとした大金を手に入れる・・・・・・・予定」
ロックオンは、皆に相手もされない言葉をいって、呆れられるのだった。
予定ってあたりで、終わってる。