「はい、やってきました第1回紅白歌合戦!!!」 「いえーい!」 「ジャボジャボー!」 「ふん・・・・」 アレルヤ、ティエリア、刹那はロックオンの熱い盛り上がりにはそれぞれ個性的な返事を返す。 アレルヤは盛り上げようとがんばっていたし、ティエリアはジャボテンダーを振り回してジャボテンダー語を放っていたし、刹那にいたってはいつものようにぶっきらぼうな返事を返す。 「もっと盛り上がろうぜいぇーい!!」 一人で盛り上がっているロックオン。 紅白歌合戦をTVで見て、それに触発されたのだ。 みんなで紅白歌合戦をしよう。 そんな流れになった。 四人しかいないので、紅白もなにもあったもんじゃないのだけど。 まぁそこは愛嬌だろうか。 ちなみに、紅は超メガドウルトラハイパー音痴な刹那、そして歌姫のように澄んだ声をもつことでトレミーでも有名なティエリアの組み合わせ。刹那の音痴には、ティエリアの上手さでカバーするしかない。刹那の歌は核爆弾だ。人を殺せる。 ちなみにみんな、ちゃんと耳栓を用意した。それにヘッドイヤフォンまで。刹那の歌の防音対策はばっちりだ! そこに何故かハレルヤが入ることになった。 白は残ったロックオンとアレルヤ・・・・それになぜかジャボテンダー。 ジャボテンダーは歌を歌わない。かわりにティエリアが歌うらしい。無論ジャボテンダー曲を。 トレミーで平和なときに、よくデッキから流れてくる変なジャボテンダーを称える歌である。 「ではトップバッター刹那!!」 刹那は乗り気ではなさそうな様子だったわりには、マイクを持った時ニヤリと笑った。 ばっ!しゅばばっ!! ロックオン、アレルヤ、ティエリアは耳栓をした上で、高性能のヘッドイヤフォンをつけた。 「刹那、いけー!」 ロックオンはもうやけくそ気味に叫んだ。 防音対策はばっちりだ。きっと大丈夫なはず。 「OK、カモンベイベー」 低い声で囁く刹那。 「うおおお、いえぇぇい!!」 マイクをもつと人格まで変わるようだ。 「あー、あー、あー。刹那・F・セイエイ、いざ参る!」 ほげ〜〜ほげほげほげ〜〜〜 ほげほげほげ〜〜 ほげげげのげ〜〜 ゲゲゲのげ〜 ほ〜〜〜げ〜〜〜〜 耳栓にヘッドイヤフォンをしても、刹那の歌は三人の頭を背後から鈍器で殴るような衝撃を与えた。 かすかに聞こえた歌声。 それだけでもう即死しそうだ。 「はぁはぁ・・・・パトラッシュ、俺はもうだめだ・・・」 「死なないでロックオン・・・・ほら、パトラッシュなジャボテンダーさんもそういってるから!」 バキ! ティエリアは瀕死のロックオンをジャボテンダーで思い切り殴った。 「ああ、ハレルヤ・・・・お花畑がみえるよ・・・・」 アレルヤの脳裏でハレルヤが叫んだ。 「勝手に死ねやぼけ」 「酷いよハレルヤ!!」 アレルヤは立ち上がって、壁にむかって独り言を続けている。 「ふ〜。すっきりした」 刹那はマイクを握りしめて、壊滅状態の残りの三人を見て、あまりの歌の素晴らしさに痺れているのだと思い、勝手に次の歌を入力する。 「え、チョリース!そんなに俺の唄もっかい聞きたいって?やっべ、俺やっべ!!」 ハイテンションのあまり、擬似人格が降臨したようだ。 刹那はOOのオープニング、ラルクの歌を歌った。 やっぱり言葉に表すとほげ〜〜になってたけど。 ロックオン、ティエリア、アレルヤが刹那の衝撃の核爆弾から復活したのは、2時間後のことである。 みんな、完全に気を失っていた。 「続いてロックオン・ストラトスいきます!」 ロックオンは甘いボイスで、最近発売された人気歌手の歌を歌った。 もうもろに目線はティエリアだけを見つめている。 ティエリアはもうメロメロ状態だ。 最後にロックオンは歌いながらティエリアの手をとって、腰に手をまわした。 「あ、ロックオン・・・・」 「何度も言うよ、愛してるって愛してるって、そう君だけをこの世界で見つめてる。何度も言うよ何千回も何万回も何億回も囁くよ、たとえ引き裂かれたっていつか必ず君とまた出会う、また巡りあう、そしてまた君に微笑みかけるんだ」 歌い終わると、刹那が口笛を鳴らした。変なところで器用だ。 「ヒューヒュー、熱いねチョリーッス!!」 「ほんと熱いね・・・」 歌い終わった二人は、そのまま長いキスをしていた。 はやしたてる二人をそっちのけで、耳元でロックオンがティエリアに何かを囁いて、ティエリアは紅く頬を染めたかと思うと、ロックオンの頬にキスをした後、何かをロックオンに囁く。ロックオンはティエリアの紫紺の髪をかきあげる。ティエリアはロックオンのウェーブのかかった茶色の髪に指を通す。もう思い切りいちゃこらラブラブしている。 しばらく終わりそうにない。ので、次の人が歌うことになった。 マイクを握ったのはアレルヤだった。 「あれ、アレルヤ?次はティエリアじゃ・・・・チョリッス?」 「バーカガキ、俺はハレルヤだ」 すでに、ハレルヤが降臨していた。 ハレルヤも上手い。OOの1期のエンディングテーマを歌った。 気づけば、ロックオンもティエリアも刹那もハレルヤに拍手を送っていた。ティエリアはジャボテンダーの手も叩いている。 「ふ、まぁこんなもんよ」 「ちょ、ちょりーっす。強敵ちょりっす!?」 刹那はライバル心を抱いたようだ。同じOOの歌をうたったせいか。 「じゃあ、次はジャボテンダーさんいきます!!」 「は〜い、ジャボテンダー!ジャボテンダーの学校は〜、川の中〜のわけないし!砂漠の中〜そ〜っと泳いでじゃない、歩いて見てごらん、ジャボテンダーが針万本ってしてくれる。そ〜っと歩いてみてごらん、針万本で出血多量で瀕死になっても、ジャボテンダーの学校は、砂漠の中〜〜♪」 もうわけがわからない。多分もとの曲はメダカの学校なんだろうが。歌詞も何もかも無視して軽快にジャボテンダーを振り回して歌うもんだから、ロックオンもアレルヤも刹那もバンバンとソファーやら壁を叩いて笑い死にしそうになっている。 「どうでしたロックオン!!」 「あひゃひゃちょりーっす!!」 感想をきくティエリアの隣で爆笑している刹那は、まだ擬似人格が抜けないようだ。仮想ミッションをおくってからというもの、この擬似人格は時折発作のように刹那を支配する。 「ああ、面白かった・・・じゃないジャボテンダーの愛に満ちていたぜ」 「当然です!」 胸をはって自慢するティエリア。ジャボテンダーは振り回しすぎたせいか、ちょっとくたびれている。 「次は僕だね〜」 アレルヤはOOの2期のエンディングテーマを歌った。 みんなジュースのおかわりをしたり、メニューを頼んだりして聞いていない。 「酷いよみんな!」 嘆くアレルヤ。 「い、いやよかったぜ?」 「よかったちょっりっす!」 「うまかった。ジャボテンダーさんもそう言っている」 三人とも目が泳いでいた。でも褒められてアレルヤはとても嬉しそうに、マイクを最後のティエリアに渡した。 最後のティエリア。 エンヤという世界の歌姫の歌をうたった。 アンコールをされて、ティエリアが大好きな歌姫オリガの歌をいくつか歌って、こうして紅白歌合戦は幕を下ろした。 そして、勝敗の行方はというと。 そう、肝心の審査員がいなかった。 ので、四人+ハレルヤ+ジャボテンダーで勝手に審査する。自分の曲は審査しないことを条件に。 そして総合で一番点をとったのはジャボテンダーさんだった。いや、ジャボテンダーの曲を歌った愉快なティエリアというべきか。 いつもの澄んだ声とはかけ離れたアホ丸出しの歌声が勝敗を決した。 ロックオンのラブソングはティエリアだけフェロモン丸出しで、アピールもうざかったので普通、アレルヤの歌は 高評価だったが、みんな聞いていなかったので適当に点数をつけた。いじけないように、いい点に。 一番最後のティエリアの歌は無論素晴らしい得点だったが、ジャボテンダーの曲には一歩及ばず。ハレルヤの点も高評価だった。 刹那はマイナス3万点。 どんな点数のつけ方だろうか。 「ちょっりっす、マイナス3万点一番すごいちょりっす!ちょっり・・・ちょり・・・ティエリア、ちょりっすが抜けないちょりーーす!ロックオン、どうにかしろちょりっす!アレルヤ、笑ってないでなんとかしろちょりーーーっす!!」 みんな笑ってカラオケルームをあとにする。 一人、刹那だけがちょりっすと戦っていた。ちょりっす戦士、ちょりっすガンダム刹那、がんばれ。 んで、結局刹那がマイナス3万点というある意味ジャボテンダーの曲を歌った一応ジャボテンダー代表のティエリアを凌ぐ点数に、ティエリアの点数が無論カバーできるわけもなく、勝敗はロックオン、アレルヤ、ジャボテンダー(ジャボテンダーなティエリア)のチームの白が優勝しましたとさ。 「ちょりーっす!!」 それを聞いた刹那は哀しみのちょりーっすを叫んだ。 家に戻っても、寝るまで刹那はちょりーっすってうるさかった。 |