振袖着てください







「振袖、もっかいきてくんね?」
ロックオンのその言葉は唐突だった。
「え、またですか?あれ動きにくいから嫌い・・・・」
ティエリアはジャボテンダーを抱きしめて、ため息を零した。

「いやなぁ。着物なんて着る機会滅多にないだろ?」
「それもそうですけど、またなんで?」
「携帯で写真とって待ち受け画面にする!!」
男らしく堂々とロックオンは言い切った。
「分かりました。じゃあ、着替えてくるのでちょっとまっててください。刹那に着付け手伝ってもらわないと」
「おう。いつまでも待ってるぜ!!」

ウキウキ気分のロックオンの前に現れたのは、ユニセックスな私服姿のティエリア。
「あ、あれ?ティエリア、振袖は?」
「ちゃんと着てますよ、ほら、ジャボテンダーさんが!!」

どーんという登場音と一緒に、ティエリアはジャボテンダーに無理やり振袖を着せて、ジャボテンダーをソファーの上に座らせた。
着せたというか、ただ振袖の中にジャボテンダーをつっこんだかんじに見えなくもない。
「さぁ、好きなだけ写真とってください!携帯待ちうけでもなんもどーんと!」
「いや・・・・俺はティエリアに」
「ジャボテンダーさんのほうが僕より麗しい!こんなに振袖が似合うなんて。ああ、ジャボテンダーさん、罪です・・・その瞳に僕はメロメロ」
ロックオンの話は届いていない。

ちゃんと言わないと、こういうオチになります。
ティエリアに何かを着て欲しかったりしてほしいときは、ちゃんと主語をつけましょう。

ロックオンは、結局その振袖ジャボテンダーを待ち受け画面にしましたとさ。