雑煮の中に







コトコトコトコト。
コトコトコトコト。

キッチンにたって、エプロン姿で鍋を見るロックオン。
「あとは待つだけだろう。俺が交代する」
「あ、まじ?助かるわ」

刹那が朝食に続いて昼食も作ってくれているロックオンに声をかけた。
メニューは雑煮。
もちとちょっとした野菜などを主に白ミソなどで煮込む、正月の定番メニュー。
ちなみにこの雑煮、これで3回目だ。
はっきりいって飽きる。
同じメニューばかりだと飽きる。
でも正月だしってことで。

コトコトコト。
コトコトコト。

ポチャン。ポチャン、ポチャン。
刹那は冷蔵庫をあさって、具を投げ入れる。

「できたぞ、ロックオン」
「おーサンキュー。昼飯だぞ〜」
ロックオンの声に、皆がキッチンに集まる。
ティエリアは難しい顔で携帯パソコンを片手に株をいじっている。ちなみに株に用いる金はソレスタルビーイングの資本金だ。
アレルヤはハレルヤと会話して一人で変なリアクションをしている。
「だからハレルヤ、僕のことも聞いてよ!!みんなもなんとかいってよ!!ハレルヤがね!!」
箸をもって怒るアレルヤを皆は当然のごとくスルーする。

「こらティエリア。食事のときくらいパソコンとめなさい」
「・・・・・・・ううむ。この株が・・・投資するなら1千万ドルか・・・しかし・・・・」
ペシッ。
ロックオンはテーブルの下に転がっていたジャボテンダーの手を振り上げて、ティエリアの頭を殴った。
「寂しいジャボ」
ロックオンが朝から放置されている自分の心境を、ジャボテンダーを操りながら語る。何気にジャボテンダー語だ。
「ああ!すみませんジャボテンダーさん!」
すぐにデータをセーブしてパソコンの電源を落とした。
そしてロックオンからジャボテンダーを渡して貰うと背負った。

背負った。

いつものことだけど。

ロックオンが紐をとりだして、背中に赤子をしょるがごとく、ジャボテンダーをティエリアの背中に固定する。

「んでさー、昨日の深夜の番組すっげ面白かって・・・・・」
ガリッ。
「あ?」
ロックオンは、歯にあたったものをスプーンでとりだした。
箸を使うのはなれていない。
スプーンとフォークだ。
「えーと・・・・刹那?」
ちょいちょいと刹那をちかくによんで、ロックオンははいていたスリッパを脱ぐとそれで思い切り刹那の頭を殴った。

スッパーン

軽快な音が響く。
「あれほど煮込むものにガンダムのガンプラいれるのやめろっていったのにまだ直らないかお前は!」
「・・・・・・・・・・・つい」
みんな、箸で器用にミニガンダムのガンプラをすくいあげて、テーブルの上におく。
「これはなんだ?」
ティエリアが箸でその物体をつまみあげる。
きざまれたきゅうりが入っていた。
「これは?」
アレルヤがとりだしたのはプチトマト。
いくら雑煮とはいえありえない。

「あー。俺が間違いだった。お前に頼むと、真剣な時以外こうなるんだよな」
「俺はガンダムだ!雑煮もガンダムだ!餅もガンダムだ!!」

スッパーン
スッパーン
スッパーン

ちょうど3人にスリッパで頭を殴られた刹那。
でも、塗料がはげおちたりしていないしろものなので、みんな変なものがはいった雑煮をちゃんと食べましたとさ。
刹那はプチトマトとか食べてまずいとかいってた。
これは自業自得です。