コスモが渦巻く宇宙。 その先に何があるのは、人類はまだ知らない。有史以来、どれだけ科学力が伸びようとも、一つの銀河から先の銀河へいけるかどうか。 宇宙全てを制圧することは不可能だ。 「制圧しました!!!」 ティエリアは、ジャボテンダーを背中に背負って、本物の銃を手に訓練をしていた。 仮想ミッション内のことだけど。 (今日もAIマリアをご利用下さりありがとうございます。マスター、敵の殲滅を確認しました) 仮想空間に降りる装置に備え付けられていた擬似人格をもつ最高クラスのAIが、マスターであるティエリアに話しかける。 「じゃあ、あとジャボテンダーさん20匹追加で!」 (了解いたしました。基地内にジャボテンダーさんを20匹追加いたします) 「ちょっとまてティエリア!!!」 「NOOO!!」 「またか!!」 ティエリアと一緒に訓練をして、仮想空間に降りていたロックオンとアレルヤと刹那はそれぞれ、絶望的な顔になったり顔を青ざめたりしてティエリアに抗議しようとした。でも、遅かった。 シャカシャカ。 手足を高速で動かして、またさっき殲滅したばかりの敵・・・・ジャボテンダーがやってくる。 「ミッションは、ジャボテンダーさんの針万本をよけて殲滅すること!弱点は心臓だ!」 「ジャボテンダーに心臓なんてあるのかよおおお!!!」 ロックオンがもっともなことを言って、銃で針万本に反撃する。 シャカシャカ。 ああ、ここはジャボテンダー天国。 「そこだ!」 刹那が完全にシャボテンダーを振り切って、心臓があるだろうと思われる場所に弾丸をうちこんだ。 「刹那、ジャボテンダーさんの心臓は足にある」 「そんなアホな!!」 「刹那、叫んでも仕方ないよ。設定したのはティエリアなんだから。ジャボテンダーの構造はティエリアにしか分からない。ぐはああ!!」 ロックオンの背中に隠れていたアレルヤは、ティエリアに突き飛ばされてジャボテンダーの群れの真正面に出てしまい、針万本をたくさんうけて撃沈した。 「アレルヤ、隙だらけだぞ!」 だからって仲間を敵の前に突き飛ばすティエリアもどうでしょうか。この行動、実際の現実だったらやばいです。 「針万本!!」 「針万本!!」 「針万本!!」 「ふ、ハレルヤ・・・・天国がみえるよ・・・ガクッ」 「アレルヤ!・・・よし、盾ができた!」 刹那はガッツポーズをして、気を失ったアレルヤを盾にして針万本をよけまくっている。 「針万本!!」 「針万本!!」 「針万本!!」 「俺をなめてもらっちゃ困るぜ!」 ロックオンが次々とジャボテンダーの足を打ち抜いて、敵を殲滅していく。 (敵残数14) 「まだまだ!!」 パァン、パァン! 同じく、構えて刹那もジャボテンダーの足を撃っていく。ティエリアも、愛しいジャボテンダーさんが消えていくのにヨヨヨと哀しみながらも、足を撃って殲滅していく。 スナイパーの一流の腕にかかり、最後の逃げ惑うジャボテンダーたちの足を、ロックオンは正確に射抜いた。 (敵、残数0。殲滅完了です) 「おっしゃああ!!」 ガッツポーズをとったロックオン。 息をついて、刹那も立ち上がる。 「だから、隙だらけですロックオン、刹那」 「へ?」 「何?」 「ジャボ〜伏兵、僕の背中のジャボテンダーの攻撃!全部僕のターン!」 何かがティエリアに舞い降りた。 全部俺のターンっていう、昔はやったカードゲームの非常識なターンだ。 (クリティカル9999がでました。ロックオン及び刹那、ダウン。勝者、マスターのジャボテンダー」 「ジャボ美さん、凄いぞ!!」 ティエリアは、背中のジャボテンダーを下ろして、その頭を撫でた。 心なしかジャボ美さん(いつもティエリアが連れ歩いているジャボテンダーの名前)の頬が紅くなっている。 「ジャボ〜・・・・針万本!!!」 「げふああ!僕は・・・そんなジャボテンダーさんが大好きです」 ティエリアが血を吐き出しながら倒れて、ジ・エンド。 シャカシャカ。 シャカシャカ。 ここはコスモの最果て。 ジャボ美さんは息子のジャボリー君を召還して、いつまでもシャカシャカ、針万本と楽しそうに擬似空間をかけまわっていました。 ******************************* 「ああ、楽しかった」 擬似空間からダイブアウトして現実に戻った四人。 ティエリアは目をきらきらさせて生き生きとしている。 他の三人はどんよりしている。 「またしましょうね、ジャボテンダー退治訓練!!」 「「「一人でやっとけ!!」」」 みんなが声をあわせて叫んだのはいうまでもない。 こんなの、訓練になってない。 でも、結局この後もロックオンはよく付き合わされて、アレルヤも刹那も巻き込んで、またジャボテンダーを敵とした半ば遊び半分の訓練は続くのであった。 |