君がいない








「・・・・・・・・・いない」
ティエリアは、温もりのかけたベッドのシーツに手を伸ばした。
いつも一緒に眠ってくれる彼がいなくなっていた。いつの間に起きてしまったのだろう。
彼が起きれば、同じように自分も起きるのに。
気づかなかった。

ティエリアは欠伸を一つすると、ベットから起き上がって制服に着替えた。
そして食堂に足を向ける。
中では、ライルの笑顔に同じく軽い笑顔を見せる刹那の姿があった。よほど面白い話をしているらしい。
食堂ではライルと刹那が一緒に朝食をとっていたのだ。

・・・・あんな笑顔、僕にはあまり見せてくれないのに。

「刹那、なぜ僕を起こさない」

「ライルと朝食をとる約束をしていた」

「僕とよりそんなチャらついた見境なしに年少に手をだす・・・・特に17〜19に手を出しやすい男との食事のほうが大事なのか!!」

目を潤ませて、それから地面に視線を落とす。

「おい、俺どんな扱いだよ!ひでぇ!ちゃらついてるのか俺!?ああ否定できねえええ!!!」

「いや、すまなかった。一緒に朝食をとろう」
刹那はトレイを持って、ティエリアを手招きして違うテーブルに座る。

「それでいい。君は、僕と共に行動すべきだ。あの男のふしだらがうつっては困るからな」

「俺そこまでふしだら!?そんなに酷い!?」

一人で自分にツっこむライルにつっこむ者はいない。
ちなみに、うんうんと周囲にいたアレルヤとマリーはティエリアのライルの評価に頷いて同意している。

「確かにライルってちゃらついててふしだらっぽいよね」

「ティエリアを口説いただけでなくって、フェルトに強引にキスしてビンタもらったって聞いたよ」

「うわー最悪」

「おおおおおおお俺は、俺はーーそんな男じゃねええ!!」
とかいいながら、ライルは朝食をやけ食いしだした。否定できないので。

そんなライルを放置して、今日も仲良くティエリアと刹那は隣同士に座って、ティエリアの分とジャボテンダーの分のメロンソーダを刹那がもってきてやって、そしてティエリアは刹那のトレイからかってにデザートのフルーツをザクっとフォークでさして食べるのであった。