嫌いなものは嫌い







「ひっ」
うねうねうねるその生物をみて、ティエリアは悲鳴をあげて顔を蒼白にした。
「たこ焼きつくるから〜。ティエリア、タコ切ってくれ」
「い、生きてます!!」
「そりゃ新鮮第一だから」
「うねうねしてます!」
「そりゃタコだから」

ティエリアは、長いはしでタコをもちあげた。
触手がティエリアの白い手にはりついた。
「もぎゃあああああ!!」
ティエリアは絶叫して、たこ焼きも焼けるホットプレートを用意していたロックオンの顔にたこを・・・投げた。
ぬめぬめしたタコが、逃げようとあがくが、それをロックオンは手でつかんで包丁でダンダンと足をきって・・・はらわたを出して、ティエリアに見せる。

「ほら、もう死んだぞ?」
細切れにされたタコ。
ティエリアは、ジャボテンダーでロックオンの頬をぶった。

「最低です!はじめから触手プレイを僕にする気だったんですね!?」
ティエリアの思考は、ロックオンが自分にエロいことをしようとしてんだと、勝手にそれで完結していた。
「ちょ、違うから」
「触手だなんて、最低です!!」
ロックオンの脳裏に、触手に弄ばれるティエリアの裸体が浮かぶ。

「ブバッ」

ロックオンはふきでた鼻血をとめようと、鼻にティッシュをつめるけど。
「やっぱり!僕のこと、そんな目で見てたんですね!最低です!触手プレイなんて!!」
「ちょ、違うから!!」
ジャボテンダーをぶんと振り回されて、頭をはたかれた。

「最低だな、ロックオン」
キッチンルームにはいってきた刹那が、でも椅子にすわってまだかまだかとたこ焼きの完成を待っている。
「最低ですねロックオン」
同じく椅子に座ったまま、アレルヤはすでに皿とフォークを目の前においていた。

「お前らあああ!!いるならフォローしやがれ!」
ティエリアは最低と叫んで、キッチンルームを出ていってしまった後だ。
「面白いから、止めるわけがないだろう」
「同意」
結局、そのままたこ焼きは完成した。
ジャボテンダーを引きずって、甲板に出ていたティエリアに、ロックオンはたこ焼きを盛った皿とフォークをもってやってくる。
「なんですか。触手大好き男ロックオン」
「だーから、違うって」
「僕が生の生き物苦手だって知ってるくせに!」
「でも、地上の東京にいたころはよくたこ焼きかって食べてただろ。好きなんだろ、ほんとは」
ほれっとたこ焼きをさしだされる。
「食べさせて、ください」
「はいはい、大事なお姫様」

二人はたこ焼きを食べさせあって、そのままデッキに寝転んだ。
流れていく雲がのんびりとした時間を提供してくれる。
二人は、ジャボテンダーを挟んでそのまま眠ってしまい、会議におくれてミス・スメラギにこてんぱんに怒られたとさ。