私立ガンダム学園「卒業式」@







私立ガンダム学園に、卒業式の時期がやってきた。
2年であるマイスターの面々は、在校生として出席することになっている。
むろん、次は春休みをあけて桜が散り終わった頃には3年生・・・・なんだけど、ここは筆者の都合でずっと2年でいてもらう予定になっている。

「かったりーなぁ。卒業式かぁ」
1年生は学校は休みになるのに、こういうときだけ2年生ってあまり得にならないとライルは欠伸をしていた。

ぶっつけ本番なので、すでに保護者の面々も続々と体育館に集まっている。
企業のお偉いさんから、市議会議員まで、一応は名門私立進学校に名を恥じぬような来賓の客たち。

「しっ、はじまるよ!」
リジェネが、座り心地の悪いパイプ椅子から立ち上がった。はじまるとか言っておきながら、リジェネはぶんぶんと来賓の席に向かって手を振って、何か言いたそうにしている。

「あはは、ママ、来ちゃった!」
「パパも来ちゃった!!」


リジェネとティエリアの両親であるルージュ夫人とリーダリア侯爵が、堂々と来賓の席でティエリアとリジェネに向かって手を振っていた。
それに、慣れているのでティエリアも、居候として住んでいる刹那、ライル、ニールも手を振る。

「パパ、ママ、執事さんなんとかしてよ!隣の席に座ってる!!」
リジェネは立ち上がって、二人にむかって隣のパイプ椅子に座っていた壮年の男性を指差す。
「は、坊ちゃま、私、執事は坊ちゃまとお嬢様の感動の、門出・・・・ではない、を祝うこのイベントに是非とも近くからお二人を拝見したいのでありまして」
執事さんは、カメラを用意してパシャパシャとリジェネを激写する。次に、ティエリアを。そして友人であるみんなを。
「今日この日だけで、アルバムができあがりそうです!」
「いらないってば!!」
「執事さーん、ここ在校生の席だよ。執事さんは父上と母上のいる、あそこの来賓席ね。はい、ジャボテンダーさんももっていって座らせておいて」
「は、お嬢様」
執事さんは、ティエリアが背中からおろしたジャボテンダーさんを大事そうに抱えて、しゅたっと来賓席まで走ると、空いていた席に座り、そして席が足りないことにきづいて、市議会議員の椅子を奪って、そこにジャボテンダーさんを座らせた。
市議会議員は、席を奪われて逆上して、執事さんにつかみかかったが、ルージュ夫人とリーダリア侯爵という財政会の大物を守るためのプライベートガードマンにつまみだされて、泣きながら来賓席のあった後ろに立つことになった。


ざわざわとざわついていた体育館が、静かになる。
アナウンスが流れた。
「卒業生の入場です」
たくさんの拍手と一緒に、胸に薔薇をさした卒業生たちが体育館に入場してくる。
その入場を、新聞記者らしい人物が写真におさめる。
保護者たちも、涙を流したり拍手をながら、カメラのシャッターを切ったりしている。卒業生の女子の中には、もう涙を流している人もいた。
パチパチパチ・・・・。
拍手はまだ続く。
1学年につきクラス数も多いので、卒業生も多い。
ちなみに、在校生もおおいが、それに来賓や保護者を加えても、大きな体育館は十分に人数を収容できるスペースを兼ね備えているで、大丈夫だった。

「続きまして、同じく卒業生の高校教師なのに実は生徒だった!?現代国語教師でもあり、卒業生でもあるグラハム・エーカー先生の入場です」

パチパチパチ・・・・。
ざわざわざわざ・・・。
拍手と一緒に、ざわめきも大きくなる。

「え?教師が卒業?」
「なんだこれ、ドッキリか?」
保護者たちの言葉に、みんな頷きたくなるが、去年発覚した、実は高校を卒業せずに、そのまま大学に進んで教師免許をとったというグラハム先生。
高校を卒業していない、つまりは過去の学歴詐称だ。
でも、なぜか首にならないグラハム先生

とってもすごいえげつない変態で、フンドシ一枚なのは当たり前、時にはそのフンドシさえはき忘れてフルチンで歩いていたりするけど、なぜか首にならないグラハム先生は、校長の計らいにより、3年生に席を置くと同時に教師も続けることになっていた。
どんな学校だよ、ここ。
え、私立ガンダム学園っていう、濃いメンツばっかり学園です。

2年OO組のティエリア、リジェネ、ニール、ライル、アレルヤ・・・それに刹那は、特に刹那は手が痛くなるだろうくらいの大きな拍手をグラハム先生に送っていた。
「卒業しろ、変態!もうこの学園にくるな!!」
大声をあげるけど、咎める者は誰もいない。
グラハム先生は、刹那のことを少年と呼び、おかずにするくらい大好きだ。他のマイスターたちも大好物。男子生徒は大好きだ。反面、女子生徒はどうでもいい。
男子更衣室に盗撮かめらをしかけるような変態であった、彼は。

そんなグラハム先生が今年学園を卒業し、そのまま去っていくという噂はすぐに広まった。
刹那なんて、感動しすぎてを流したくらいだ。


 



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