チリンとなる風鈴を手に、刹那は部屋に風鈴を飾ってみた。 そろそろ季節としては初夏。 「あら、綺麗な音」 フェルトが部屋に入ってくると、冷房の風に揺れる金魚模様の風鈴を見上げた。 「刹那が買ったの?」 こくこくと刹那は無言で頷いた。 チリンチリン。 聞くだけで涼しげな音が鳴る。 「いい音色ね。私の部屋にも風鈴飾ろうかしら」 さっと、刹那はお揃いの風鈴を取り出した。 「私にくれるの?」 こくこくと刹那はまた頷いた。 「ありがとう」 フェルトはお返しに、刹那の頬にキスをした。 すると、かーっと刹那が紅くなった。 「ひゅーひゅー、いちゃいちゃは人が見ていないとこでやれよー」 扉があけっぱなしだった。 通りかかったライルが冷やかす。 それに、刹那はスリッパを投げた。 「チャラ男はどっかにいけ」 「・・・・・チャラ男」 「ぷっ。その通りね」 「ひでぇ」 ライルはタバコを口にくわえて火をつけようとしたら、背後からティエリアに奪われた。 「艦内は禁煙だ」 「あー!タバコ吸いたい!!」 「だったら外に出て吸うといい。もっとも、宇宙だが。呼吸できるならいってこい」 「教官殿、俺の扱い酷くない?」 「チャラ男にはこれで十分だ」 シュンと、刹那の部屋がしまる。ティエリアも中に入ってしまった。 「チャラ男だってがんばって生きてるんだい!」 ライルはタバコをぐしゃりとつぶして廊下を走っていって、ハロとぶかった。 「チャラ男ライル、チャラ男ライル!」 側にはミレイナがいた。 「お嬢ちゃん。お前が犯人か!襲うぞこらああ」 「きゃあああなのですう!!」 悲鳴をあげて逃げるミレイナ。背後に、何かの気配がした。 「うちの娘を襲うだってええぇぇ?」 いつもは太陽のようなイアンのその時の表情は。 ライル曰く、般若のようでした。 |