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朝食の時間になっても、フェルトはサラダしか食べなかった。
「どうした?体調でも悪いのか?」
刹那が心配そうに、フェルトの顔を覗き込む。
フェルトはサラダをフォークでつついていたかと思うと、それを食べて水を飲んで、刹那の腰を掴んだ。
「のあ!?」
「刹那、どうして男なのにこんなに腰が細いの!」
後ろに座っていたティエリアのほうにいき、ティエリアの腰も掴む。
「ティエリアなんて細すぎ!もっと食べるべきよ!!」
ティエリアなんて、朝からソフトドリンクにAランチ定食ときた。隣に座っていたニールが、フェルトの頭を撫でて笑う。
「なんだぁ、太ったのか?ティータイムばっかしてるからじゃね?」
「あああ、ニール」
乙女の心を怒らせるニールの言葉に、フェルトは鉄拳を食らわせると、刹那の隣に戻った。
「体重が増えたの。やっぱりティータイムなんかで間食とってるせいかな?」
フェルトの楽しみの時間といえば、刹那とのティータイムだ。紅茶だけにしようかな。そんなことを考えいるフェルトの頭を撫でて、刹那は微笑した。
「どうせ、1、2キロだろう?」
「うん」
「そんなのすぐに戻る。女性は体重が変動しやすいからな。気になるなら、俺と一緒に筋肉トレーニングするか?」
「あ、それいいかも。運動最近してないし」
フェルトは、こうして次の日から刹那と一緒に筋肉トレーニングをはじめた。これがまたはまって、今度は脂肪は落ちたけど無駄に筋肉がついて、体重が増えた。
「あああああ!!」
蛍光色のピンクの髪を振り乱すフェルトの姿を見ては、刹那は顔を覆って床でゴロゴロしている。フェルトの仕草や反応がたまらないらしい。
一歩間違うと変態の域だ。
ライルがやってきて、体重で悩んでいるフェルトに言葉をかける。
「ボインになったんじゃねぇの?その分体重が―――」
即効、ティエリアに蹴り飛ばされているし。
「アニュー!みんなが冷たい」
「あら、そんなことないわ。みんなライル、あなたのことを信頼してるわよ」
唯一いつでもライルの味方のアニューは柔和に、ライルを包み込む。
「アニュー!」
でも、みんなライルを見てこういうのだ。
「チャラ男が、アニューに言いくるめられている」
結局、フェルトは適度に刹那と一緒に筋肉トレーニングをして、食事はちゃんととって、ティータームはチョコレード菓子などさけていると、元の体重に戻ったそうな。
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