ジャボテンダーが揺れる日







ブラブラと、デッキの上でジャボテンダーが揺れていた。
風を受けてデッキの上に影を落として、またブラブラと揺れている。

それは食堂での出来事。
いつものようにぶんぶんとジャボテンダーを振り回していたティエリアは、昼食の時間になって、ロックオンと一緒に手を繋いで食堂に入った。
当たり前のようにジャボテンダーをカウンター席に座らせて、その前にメロンソーダを置く。

「たくさん飲んで光合成してくださいね」

ロックオンは顔を手で覆って萌えていた。

ティエリアは、首を傾げてBランチを食べ出した。
そこにあった、ティエリアの天敵ピーマン。早速、ピーマンをロックオンの皿に移しては、ちゃんと食べろと移し返される。
なので、やはりいつものように刹那の皿に飛んでいくピーマンたち。

「ティエリア、いい加減ピーマンくらい!!」

「ジャボテンダーさんが、メロンソーダを飲むとこを見せてくれたら食べます」

ロックオンは愚かだった。
それならと、ジャボテンダーにぎりぎりの角度でメロンソーダを傾けて、中身を全てジャボテンダーに浴びせた。

「あああ、ジャボテンダーさんがメロンソーダ色に!!」

いや、もとから緑なので色は変わっていません。

こうして結局ピーマンの話は有耶無耶になって、ロックオンはジャボテンダーにかかったメロンソーダをふき取って、風呂場でごしごしと手洗いする羽目になった。
そこに、バスタオルを巻いたティエリアがやってきて、ロックオンは仰天した。湯をはってくれというのは、そういう意味だったのか。

「ロックオンはそのままジャボテンダーさん洗っててくださいね」

1人だけお湯に浸かって、ジャボテンダ−柄のタオルを頭に乗せて、ティエリアは演歌を歌い出す。

その名もジャボテンダー音頭。

ロックオンは笑いを堪えるのに精一杯だった。そして、ティエリアは一緒に干しますとかいって、私服のロックオンにザバーっと湯を浴びせた。

「こら!」

「さぁ、干されにいきましょう!!」

ティエリアはジャボテンダー柄の浴衣に着替えて、ロックオンと洗ったばっかりのジャボテンダーを引き摺って、デッキへ。
こうして、ブラーンと吊るされて干されるジャボテンダーの隣には、浴衣に着替えたロックオンとティエリアも一緒に干されていた。

二人に用があると会いにきた人物は、これ何プレイ!?とか言って去っていく。

太陽が笑っている。

ああ、今日も絶好のジャボテンダー干し日和だね。
ジャボテンダーも笑って風に揺れていた。

ティエリアとロックオンは干されながら、うとうとと居眠りしていたけどね。