朝はボケる







ぼー。
早朝に起きたティエリアは、もぞもぞとベッドの中で寝返りを打って、それからかっと目を見開いた。

「ジャボテンダーさん、おはようございます。そしておやすみなさい」

床に落っこちていたジャボテンダーに、丁寧な敬礼をして、そしてまたベッドの毛布を頭まで被ってもぞもぞする。
もぞもぞ。
もぞもぞ。

「邪魔!」

げし。
ティエリアは、一緒のベッドで眠っていたロックオンを蹴り落とした。ロックオンは深い睡魔の中、蹴り落とされたことにも気づかずに、すーすーとだらしない格好で眠り続ける。
むぎゅ。
はみでたティエリアの足が、ロックオンの腹を踏みつけた。
本当に、どんな寝相をしているのか、この二人。
その足に、ロックオンは噛み付く。

「んーじゃがいも男爵〜ああじゃがいも食いまくるー」

謎な寝言を言い放ち、ティエリアの足に手を伸ばす。
がじがじがじ。
食べようとして、歯だけ鳴らすロックオン。

「んーうざい」

ティエリアが半分だけ目をあけて、床に転がったままのロックオンに、自分の枕を投げた。
それをキャッチして、ロックオンは枕を抱きしめている。ティエリアを抱きしめているつもりなのだろう、本人は。

「くーくー」
「ぐごー」

二人の寝るその寝息だけが、室内を満たす。ロックオンは、枕を抱きしめてドタンバタンと床をのた打ち回っていた。

「だめだティエリア!そんな、みんなが見ているのに」

どんなエロい夢を見ているのだろうか。鼻をおさえて、鼻血がでないようにしているつもりなのだろう。
どたんばたん。
しばらくして、ロックオンは静かになった。
額にでっかいたんこぶができていた。
ティエリアはジャボテンダーを求めて、ベッドの上で手だけ彷徨わせている。それからロックオンの枕を掴んで、ジャボテンダーと思ったのか、静かになる。

「どういう、寝相なの、これ」

二人を起こしにきたアレルヤは、床でブリッジしている状態のロックオンと、ベッドの上で何かを拝むような格好でつっぷしている二人を見て、そう呟いた。
ティエリアの大好きなジャボテンダーは床に落っこちているし。
そのジャボテンダーを拾い上げてティエリアに近づけさせると、ティエリアはまだ寝ているのに、ジャボテンダーだけをアレルヤから奪い取って、それを抱きしめてまた何かを拝むような格好で寝続けた。

「なんか、面白い」
「オモシロイ、オモシロイ」

ハロが飛び込んでくる。アレルヤが写真を急いで取り出してくると、二人の変な寝相をシャッターにおさめた。っして後日その写真を二人に見せると、二人してアレルヤが悪戯したと、アレルヤを攻め立てるのだ。
「こんな変な寝相はしない!」
「僕もしない!」
そう言い張って。