昼食でも(3期)









「あ、これください。これとこれとこれも」

フェルトはオーダーをとりにきた店員に、パフェ系のものやらアイスクリームをたくさん注文した。昼食というよりはデザートばかりだ。

「何もそんなに頼まなくても」

「だって、すごくドキドキして普通の食事なんてできないよ」

「にしては、食べるな」

さらりという刹那の頭をわしゃわしゃとかき回して、フェルトは凄んだ。

「そういうこと、言っちゃだめだよ、刹那。女の子には」

刹那はフェルトが注文したパフェを勝手にスプーンで食べていく。それを見て、フェルトは自分のストロベリーパフェを一口分スプーンですくい、刹那のほうにむけた。

「はい、あーん」

「ちょ」

大人しく食え。そうフェルトの目が語っていた。
刹那は黙って食べた。

そして、二人で笑いあう。何をしているのだと。
映画を見に行く。ただそんなデートなのに。でも、特別なのだ。だって見る映画が映画なのだから。

「DVDはやくでるといいな。買うんだけど」

「映画もまだ見てないだろう。気が早すぎだ」

「そうだね。でもDVD予約しようね」

「ああ」

二人は時間をかけて昼食となったデザートを空にすると、レストランを出て手を繋いで歩いていく。

「まだ、暑いね。もう9月も終わりなのに」

「まだまだ夏だ」

金色の太陽が、二人を照らして影を刻む。じりじりとアスファルトが熱をもっていく。同じように、二人の頬にも熱が少しだけ。
ちょっと紅くなって、でも二人で手を繋いで歩き続ける。

トレミーに帰ったら、みんなに映画の感想を言おう。でも、内容は教えない。
だって、きっとみんなも自分でみたいだろうから。

青空が、落ちてくる。そんな気分。
天気は晴れ。
暑いけど、すがすがしいまでに心地よい。

二人は歩き出す。
空を見上げてから、それから人ごみを掻き分けて。

そして、太陽に少しだけ照れ笑いを返したのだった。