「はい、今日は現代国語の授業です」 がらっと入ってきた変態で名高い、グラハム先生がなぜか白衣で入ってきた。 そのまま出欠をとりはじめる。 刹那はいつ攻撃がくるのかと身構えていたが、何事もなく出席をとっていくハム仮面に、何を企んでいると思いつつも、返事を返す。 「えー、もう冬ですね。寒いですね」 寒いなら厚着でもしろや。 心の中で刹那はつっこんだ。 白衣の下はやっぱり何も着ていない。局部には葉っぱが飾られてあった。 うっ。 またいやなものを見てしまった。 「先生、卑猥です」 学級委員のフェルトがそう講義すると、グラハム先生は葉っぱをずらした。 「おっといけない。見えていたかな。大切な大切な私のぞうさんが」 お前のが象かよ。 象が即死するわ! 刹那は椅子を振り上げて、それをグラハム先生に投げつけるのを必死で我慢していた。 やがて教科書を取り出して、グラハム先生が何事もなかったかのように授業を続ける。 「では、150ページから、刹那君よんでくれたまえ」 「えー。冬の寒い日。私はおじいちゃんを殺すべく砒素を買いにいった。おじいちゃんの薬に混ぜると、逆におじいちゃんはピンピンと元気そうだ・・・・・」 どんな作品だよこれ。 もっと続きを読みたかったが、視界に飛び込んできたものに刹那はふきだした。 ハム先生は黒板にチョークで、教科書にでてくる新しい漢字をかいていた。 それはいい。 なぜ、白衣の後ろがケツの部分でカットされているのか。 しかも丸見えのケツにはいろんな花が綺麗にいけてあった。 どこにって? あそこしかないだろう。 けつにしさしてるんだよ。 けつ生け花だよ。 みんな、青い顔になってハム先生のケツから目を背ける。 「おっと。この薔薇は、刹那君にあげようと思ってけつの間にはさんできたものだ」 白い薔薇をケツから取り出して、いつの間にはハム先生は刹那の隣にきて、白い薔薇を渡そうとして・・・・刹那に椅子を投げつけられた。 「んな汚いものわたそうとするなああああ!!しねええええ」 机も投げて、それから白衣を掴んで、窓際のライルが開け放った窓へと投げ捨てる。 「ああ、その恥ずかしがる仕草がたまらないいいい!!!」 ケツの花を散らせながら、ハム先生はまっ逆さまに地面に落ちていく。 白衣だけが残された。 葉っぱが、悲しくひらりと教室の床に落ちた。 「今全裸だよね、ハム先生」 「全裸だね」 ティエリアとリジェネがこそこそ言い合いをしているのにも、つっこむ気がなくなった。 「やっぱ、警察よんどくか」 「そうしましょう」 ティエリアが警察に通報して、植え込みに落ちたハム先生は、程なくして猥褻物陳列罪などでしょっぴかれていった。 冬の寒い日のできごと。 「風邪ひかねーのかな、ハム先生」 ライルは真面目に、ハム先生の体ってどうなってるんだろうと思った。 消えていくパトカーに、刹那もライルもニールもティエリアもリジェネも、いつもはリアクションが少ないアレルヤまで、笑顔で手を振った。 黒板を消して、フェルトがチョークで大きく。 自習。 その日の現代国語もまた自習になった。 ハム先生がケツにさしていた花は、ゴミ箱いきになったそうな。 |