獣のように(3期)









R18注意

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獣のような目をしていると、思った。照明がほとんど落とされた部屋の中、ベッドライトに仄かに浮かび上がるエメラルド色の瞳は燃えるような色をしている。
本当に、獲物を狙う肉食獣のような目だ。
残酷なのに、恍惚となるほとに綺麗だった。

「刹那・・・・・見ないで・・・・」

コンピューターの回線は、刹那とコンタクトをとって繋がったままだ。会話の途中だった。突然、照明の電源をオフにして、黙っていたロックオンが覆いかぶさるようにティエリアにキスをした。薄暗い闇の中にコンピューターの画面が、明るすぎて眩しい。

愛しているよと囁かれた途中に、刹那から回線が入って放置したのが、ロックオンの癪に触ったらしい。珍しいが、彼だってやきもちくらいやくし、嫉妬もするし、すねることだってある。

刹那のコンピューターからは、きっとこちら側の画面なんて薄暗いだけで何もみえないかもしれないけど、音は絶対に届いてる。

「ロックされている。切れない。そっちから切ってくれないか。邪魔して悪かった―――」
「いや、いいんだ・・・・ロックオン、やめて!」

悲鳴に似た響きだった。
乱暴気味な彼に、少しだけ恐怖さえ感じた。

「やめて、やめて、やめ・・・・・・んう」

「ティエリア、その、回線を」
向こう側の刹那は、言葉がせっぱつまっていた。

とうのティエリアは、ロックオンに唇を深く重ねられて、言葉を飲み込むしかない。
刹那が見ているのに。刹那が聞いているのに。
でも、ロックオンが大好きで、愛しているから。乱暴な行為でも簡単に受け入れようとする自分の反応が、でも嫌で。
流された唾液を飲み込んで、唇をなめる相手の舌に柔らかくかみついて吸い上げる。口腔を好きなように犯されていると、膝から力が抜けていくのが分かる。
飲み込みきれない唾液が、顎を伝って銀色に光っていた。

壁に押し付けられて、膝を割られて、服の上から押すように、ぐっとそこを刺激されてビクリと体が反応する。

「あう!」

「敏感なんだ。こういうのけっこう好き?」

「ロックオ・・・・・ああああ!」

名前を呼ぶ声は、最後まで呼ぶことができなかった。早急に、愛撫もなしではいていたズボンを下着ごと脱がされて、そのまま一気に貫かれて最奥を抉られる。その反動に、悲鳴が漏れた。

刹那に、絶対に聞かれている。でも、止められない。

「あ、あ!!」

ひくんと、体が痙攣する。
背骨がじんと痺れる感覚がする。
グリっと、奥を貫かれると、頭が真っ白になって何も考えられなくなっていく。
必死でロックオンの背中にしがみつく。

ロックオンは、細いティエリアの右足を限界まで担ぎ上げて、壁に押し付けたまま行為を再開する。

「刹那、見ないで・・・・んぅ、あ、あ、あ」

ガクガクと、揺さぶられるたびに紫紺の髪が薄暗い部屋の宙を舞う。
こねるように内部を擦り上げられて、涙が零れた。

「あうう・・・・」

服を鎖骨の上まであげられて、平らな胸をなで上げられ、胸の先端にきつくかまれると、じんとした痛みが全身を這う。

ぐちゅぐちゅと、結合部から、水音が耳を打った。

「あ!」

びくんと、ティエリアの背がしなった。中で、出されたのが分かる。熱いものが体の奥に弾けた瞬間、ティエリアはロックオンの手に噛み付いた。抜かれていく感覚に、全身が反応する。

「だめ。もっと・・・・抜かないで・・・・」

浅ましい。
飢えていたのは自分だ。
抜かれようとするのをきつく締めて、押し留める。

眩しかったコンピューターの画面が、自動的にシャットアウトされた。刹那側が、コンピューターの電源を落としたのだろう。
絶対に聞かれた。でも、後悔よりも今はロックオンを貪りつくしたい。

「ティエリア・・・・好きだ」
「僕、も・・・・」

舌を絡み合わせて、淫らに戯れあう。
一度抜かれると、お互いの体液が混じったものがティエリアの白い太ももを伝う。
グププププ、ヌププと音をたてて、肉を掻き分けてまた熱いものに貫かれた。内臓全体が押し上げられているような錯覚を覚える。
少女でも少年でもないティエリアのそこは、器官としては未発達で。
中性という性をもたないということにされてはいるが、未熟すぎる少女に似ていて。胸などなく、平らだ。時期によっては僅かなふくらみが出るときもあるが、そんな時はいつもベストを着ていた。

自分は少年なんだと、言い聞かせて。

でも、男に犯されるなんて。それが心地いいなんて。死んでもいえない。
相手がロックオンだから、感じることができるのだ。これが他の男なら、悲鳴をあげて泣き喚くしかないし、体も反応しないだろう。

「あ、あ・・・・・」

言葉になるのは、ただの喘ぎ。
パラパラと視界を泳ぐ、自分の紫紺の髪。
ロックオンの体温と、律動。
平らな胸を弄る指が、しつこく先端を嬲ってくる。未熟なそこもいいように嬲られて、犯されて、抉られる。
ぐちっと、音がしたかと思うと、ロックオンが最奥まで貫いてきた。

「はう!」

視界がスパークする。
少年のように性を出すことでいくことのできぬその体は、女のように、あるいは男娼のように犯されることでいくことを覚えた。
指先が痙攣を起こし、熱くなった息がさらに乱れる。
壁に強く押し付けられて、しなる背が痛かった。

「ひあっ」

終わりだと思ったのに、まだ律動は終わらなかった。
角度をかえて、ティエリアを壁のほうに向かせると、後ろから抉られて肉を擦られて、また頭が真っ白になって、体が震えだす。指先が痙攣して、背が弓なりにしなったあと、ティエリアは今度はロックオンの肩に噛み付いた。それに、ロックオンが苦笑する。

「ごめん、乱暴にしちまって。もう終わるから」
「あ、あ!だめ、中で、中で出して・・・・」

肩越しに後ろを振り返って、ロックオンにキスを強請る。ロックオンは優しくそれに答えてくれる。

「んむ・・・んん・・・・」

舌を絡ませあって、後ろから強く抱きつかれて、ティエリアは強くロックオンを締め付けながら、最奥にまた白濁の体液が叩きつけられるのを感じて、目を閉じた。

満たされる。
幸せな気分になれる。不思議だ。
求められることが、こんなに心地いいなんて。
こんな浅ましい行為で、快感を覚えて、それに満足するなんて。

「イった?」
「ん・・・・イった。2回くらい。ごめんなさい」
「謝るなよ。俺だけなんてずるいだろ」
頬を撫でるロックオンのウェーブのかかった茶色の髪がくすぐったかった。点されたままのベッドライドにぼんやりと浮かび上がる、ロックオンのエメラルドの瞳は本当に宝石のように綺麗で。
石榴色のティエリアの瞳のほうが綺麗だと、何度も言われたけれど。陶酔するようにその瞳をのぞきこんでいると、また舌を絡めあったキスをされた。

「ベッドにいく?それともシャワー?」
足元でもつるように抜き散らかしたままの服を、足で蹴って適当にかき集めてから、ロックオンは甘い声をティエリアの耳元で出した。
そして頭を撫でてくるロックオンの手に、手を重ねてティエリアは微笑む。

「あなたのお好きなように」


その頃、刹那は、かつては恋人であったティエリアの熱を含んだ声悲鳴が、どんどん啼く声にかわっていくのに、コンピューターを電源ごと落として正解だと思った。

「人前で盛るバカップルめが・・・・」

盛大な溜息をつきながら、プログラミングの最中に通信を行い、そのデータをセーブしていなかったことを思い出して、一人頭を抱えてうなるのであった。