それは、突然のことだった。 あまりに突然で、ロックオンは最初声を失い、茫然とした。 ティエリアが、亡くなったのだ。 疑似太陽炉をもつ機体と、ヴァーチェはキュリオス、デュナメス、エクシアと共に戦場を駆け抜けた。そして破壊の光を敵に浴びせ、戦闘は勝利で終わった。敵が撤退していくのを確認して、それぞれトレミーに帰還した。 それなのに、ヴァーチェから一向にティエリアが降りてこないのだ。 心配したロックオンが、無理やりハッチを開けると、そこには吐血して、微笑んだまま絶命しているティエリアがいた。 「・・・・・・・・」 声を失う。 すぐにドクター・モレノが呼ばれ、救命処置をしたが、無理だった。 ティエリアは、帰らぬ人となった。 「ティエリア?嘘だろ。おい、目を開けてくれよ・・・・」 戦場で、無線の通信もした。出撃する前は笑顔で答えてくれた。 そんなティエリアが、なぜ急死したのかが分からない。 戦闘で負傷した傷はない。ただ吐血して、死んでいた。 「おい・・・・」 アレルヤと刹那は泣いていた。 ロックオンは泣くことさえ忘れて、ティエリアに話しかけていた。 「ティエリア」 信じられない。 あのティエリアが。 さっきまで、笑ってくれていたティエリアが。 ティエリア、ティエリア、ティエリア、ティエリア。 こんな終わりって、あんまりじゃないか。 どうして、何もいってくれないんだティエリア。 なぜ、冷たくなっていくんだ、ティエリア。 ティエリア、ティエリア、ティエリア、ティエリア。ア。 答えてくれよ。 俺を見てくれよ。 もう一度、笑ってくれよ。 どうしてだ、ティエリア。どうして。 「ティエリアに止められていたが、寿命だったんだ。彼自身、いつ死ぬか分からなかっただろう。でも、寿命がもうすぐだとは分かっていたとは思う」 「じゃあなんで、俺に言ってくれなかったんだ!」 「それを知ったら、ロックオンが悲しむからだろう」 刹那が、冷たくなっていくティエリアの紫紺の髪をすいた。 「ティエリアーーーーーーーーーーーー!!」 ロックオンは、あらん限りの声で叫んだ。ポタポタと、ティリアの白皙の美貌の頬に涙の滴が、滴り落ちる。 「ティエリア、目をあけてくれ。こんなの嘘だろ!おい、ティエリア」 「ロックオン」 止めようとするアレルヤを、刹那が止めた。 「好きなようにさせておけ。最愛の人が死んだんだ。取り乱しても仕方ない」 「そうだけど。こんなのないよ。ロックオンだけおいて、いきなりティエリアだけいなくなってしまうなんて」 「婚約したのに!結婚する約束だってしてたのに。全部嘘だったのかよ、ティエリア!」 「それはない。ティエリアは本気だった」 刹那が、泣き続けるロックオンを見る。 「ティエリア・・・・・」 遺体に縋り付き、ロックオンは静かにずっと泣き続けていた。ティエリアの指には、ロックオンから渡された婚約指輪が、光り輝いていた。 NEXT |