麗しき影









「で、今度のアロウズの高官たちが集う、財政会のメンバーが集まったパーティのことなんだけど」
ミーティングルームに収集をかけられたガンダムマイスター達が、ミス・スメラギの言葉に聞き入っていた。
「ティエリアが、すでに諜報部員として潜入することは決まっているわ。ただ、問題があるのよね」
「何ですか、ミス・スメラギ」
ティエリアが、立ち上がった。
「僕の諜報活動に、ミスが起こるとでも?」
女神を再現したような美貌が、挑戦的な表情でクールビューティなミス・スメラギに食いかかった。
「違うわ。その反対よ。あなたの場合、いろいろ完璧すぎて目立つのよ」
その言葉に、他のガンダムマイスター達も頷いた。
「そうだよね。ティエリアは僕たちガンダムマイスターの中でも一番目立つよね」
ティエリアの諜報活動が心配なのか、アレルヤが漏らす。
それに呼応するかのような形で、他の二名も続いた。
「ティエリア・アーデは完璧すぎる」
「ティエリアは、本当に完璧すぎるよな」
「お言葉ですが…私もそう思います。女性である私の目から見ても、ティエリアさんは完璧すぎます」
「マリー」
マリーが、控えめに声をあげると、そっと寄り添うようにアレルヤがその肩を抱いた。
「アレルヤ」
「マリー」
「アレルヤ、大好きよ」
「僕もだよ、マリー」
「はいはいそこ、ラブシーンなら他所でやってちょうだい!」
ミス・スメラギが、二人の世界に入りかけアレルヤとマリーに水をさした。
「す、すみません。私ったら、なんて恥ずかしいことを」
綺麗に編んだ銀色の髪を尻尾のように振って、マリーが赤面する。隣にいるアレルヤの頬も赤い。
「あー。なんていうか、羨ましいよな」
ぼそりと、ライルが漏らした。
今までソレスタルビーイングにいて分かったことだが、刹那には大分年上だが、マリナ・イスマイールという女性の存在がある。
同じように、アレルヤにも、遭難した時に一緒に保護される形となったマリーという女性がいる。 マリーは、清楚な女性で、アレルヤと相思相愛である。
その点では、刹那とマリナの存在を遥かに凌いでいるが、自分を気にかけてくれる女性というものがライルにはいなかった。
同じようにティエリアにもいないように見えたが、何かとあるたびに、ティエリアはフェルトと一緒にいることが多かった。なんでも、二人はニールを失った孤独感から立ち直ったという点で、 同じ境遇にあるような存在であり、お互いを励ましあって4年間を過ごしてきたのだという。
その間に愛が芽生えていないのが、むしろ不思議であった。

「完璧すぎることに、どこに意義があるというのですか」
苛立ったように、ティエリアが眉を顰めた。
ティエリアは分かっていなかった。皆がいう、完璧という意味を。
それに気づいたミス・スメラギが、仕方ないとばかりに口を開いた。
「ティエリア。あなたの容姿は、完璧すぎるのよ。神が与えた完璧なる美貌。それゆえに、あなたは目立ち過ぎるわ。あなたが無性の中性体とはいえ、あなたの見た目は男性よ。男性が、ここまで美しい美貌を持っていることに普通は誰もが驚いてしまうわ」
「かわいい教官殿は、本当に美人だからな」
冷やかすようなライルの言葉に、ティエリアの白皙の美貌がさっと紅く染まった。
「僕は、好きでこんな容姿に生まれたわけじゃない。できることなら、もっと普通の姿で生まれたかった。だが、僕をこんな姿になるようにしたのはイオリア・シュヘンベルグだ。 僕の容姿に文句があるというのなら、イオリアを責めるべきだ」
「そうは言われてもねぇ。イオリアはすでに死んでいるし、生きているからといってティエリアの完璧な美貌が変わるわけじゃないわ」
「私も、はじめて会ったときなんて美しい人なんだろうかと思いました。てっきり女性と思っていたのに、男性と知って驚きました。」
本当は、女性でも男性でもなく、ティエリアは無性の中性体である。その事実を、最近になってガンダムマイスター他、ミス・スメラギを含めたクルー全員にティエリアは明かした。
皆、とりあえずは納得してくれたのだが、ティエリアが男性としての自我を持っている以上、容姿は別として、ぱっと見た時の肉体的な面でも男性として見えることから、ティエリアは少し変わった普通の男性であると皆は受け止めた。
それに、無性といわれてもイジメージが湧かないのだろう。トレミーにいる誰もが、はっきりとは理解できないでいた。
ティエリアが強く自分は男性であると主張したせいもあり、ティエリアの性別についての論争はなかった。今まで通り、普通に男性のティエリアとして接すればいいだけであって、無駄に彼を苦しめるような行為をする必要はないのだ。

「ティエリアさん、大丈夫ですか?」
女性の中でも清楚な美人として受け取っていたマリーにまで、自分より美しいと言われているようで、ティエリアは天井を仰いだ。
フェルトにも、ミス・スメラギにも、今まで自分より美しいと言われているティエリアである。
男性に美しいといわれるよりはまだましだったが、それでも男性としてのティエリアには納得がいかなかった。
「それにしても、ほんとに細い腰してるよなぁ」
いきなり背後からライルに腰のサイズを測るように手を当てられて、ティエリアが悲鳴をあげた。
「何をする!」
ビンタをお見舞いしようとするティエリアの手を簡単に遮るライル。
「そう怒りなさんな」
「ロックオン、ティエリアがかわいいからといって、セクハラはよせ」
「そうだよ。いくらティエリアがかわいいからって、セクハラはよくないよ!」
刹那とアレルヤの言葉は、フォローになっているようでなっていなかった。
かわいいを連呼されて、ティエリアは頬を染めたまま、俯いた。
ライルは、ティエリアの手をすぐに離したのだが、トレミーにいる鮮やか女性陣の誰よりもかわいく愛しく見えて、思わず抱きしめたくなった。
「教官殿、犯罪レベルだぜ」
「ティエリアかわいい」
アレルヤが、堪えきれずにティエリアの頭を撫でた。
刹那も、無言でティエリアの頭を撫でる。
フェルトに、ミス・スメラギまで、その中に混じってティエリアの頭を撫でた。マリーまで、その輪の中に入っていた。
ライルもティエリアのサラサラした紫紺の髪に触りたくて、手を伸ばすと、さっとフェルトがティエリアを背後に庇った。
「あなたはだめよ。ティエリアが怒るから」
「なんで俺だけ」
一人、いじいじと、ライルは輪の中に入ることができずにいじけた。
ティエリアは、髪を撫でる手を冷たく振り払うことができずに、暖かな仲間の視線を受けながら仕方ないとばかりに、黙り込んでいた。
だが、耐えかねてティエリアは刹那の背後に隠れた。
刹那が、無言でティエリアを自分の背に隠した。
すると、ティエリアに伸ばされていた手はピタリと止み、そして集まっていた視線も普通の状態に戻っていく。
それは、一種の警告のようなものであった。ティエリアが刹那に助けを求めた時点で、それ以上の深入りは禁止になっていた。
他のガンダムマイスターであれクルーであれ、その無条件の警告をきちんと理解していた。
何かあるごとに、ティエリアはよく刹那に助けを求めた。それに呼応して、刹那もまたティエリアを助けた。

「とにかく、何か計画を練らないとダメね」
ティエリアが大人しくしているのはとても珍しいことで、名残惜しいと心の中で舌打ちしながらも、ミス・スメラギがそう切り出した。
「ティエリア・アーデが偵察に出るのであれば、俺も参加する」
刹那が、初めて会議に関することに口を開いた。
「刹那・F・セイエイ。頼めるか」
ティエリアが、刹那の背後から姿を現し、ゆっくりと彼を振り返った。
「じゃあ俺も」
「君は必要ない。刹那だけで十分だ」
手を上げたライルを、ティエリアは冷たくあしらった。
本当に、ライルに対してのティエリアのツンデレぶりは、見ていて周りの者さえ哀れと感じるほどだった。ツンデレといっても、ツンツンしかでなくて、デレがない。それがより一層哀れであった。

「教官殿、冷たい」
「冷たくてけっこうだ」
「じゃあ、僕も行かないほうがいいのかな」
逡巡気味のアレルヤに、ティエリアは優しい表情になった。
「アレルヤは、こういうことには向かない。それに危険が伴う。マリーさんがいるんだ、自重したほうがいい」
「だけど」
「アレルヤ・ハプティズム。俺を信じろ。ティエリアは、俺が守る」
刹那の声に、アレルヤは頷いた。
「分かった」
刹那は、決して嘘はつかない。
ティエリアとの行動は、刹那とのコンビにまかせたほうがいい。この二人は、お互いを信頼しあっていて、衝突もトラブルもなく、 円満に全てを解決する。
それに、視察は少ない人数のほうがいい。

「人選は決まったようね」
満足そうに、ミス・スメラギが頷いた。
「僕の容姿が目立つという点だが、いっそのこと女性として出席してみようかと思う」
ティエリアのその言葉に、ざわめきが広がった。
「ティエリア、本気なの?」
フェルトが、無理をしているんではないかと、ティエリアを心配そうに見つめた。
男性として生きているティエリアに、女装なんて屈辱以外の何者でもないように思えた。
「心配ない。女性としてなら、敵も隙を見せやすいだろう。それに、まさかガンダムマイスターが女装して現れるなんて、誰も思わないだろう」
「確かに、ガンダムマイスターは男性であると知られているからな。女性としてなら、ガンダムマイスターであると悟られる危険性も少ないだろう」
刹那が納得したように腕を組んだ。
「それに、以前ロックオンと、同じように女装して視察をしたことがある。その時もうまくいった」
ティエリアのいうロックオンは、ニールのことであった。

「そういえば、そんなこともあったわね。すっかり忘れてたわ」
「ミス・スメラギ。僕が女性としてパーティーに出席し、刹那は移動のために控えていてもらう。それで問題はないだろうか?」
「そうね。刹那は特に、顔を知られている可能性があるから、表舞台に出るのは危険ね」
4年間の間に、放浪の旅をしていた刹那は、ミス・スメラギを迎えにきたくらいだ。どこで誰と出くわしているのかも分からない。
その点なら、ティエリアのほうが安全である。
それに、過去にあった視察の時のティエリアの完璧なまでの女装は、誰もが舌を巻いたものである。
「ティエリア、覚悟してちょうだいね。完璧なレディーに仕立て上げるわよ」
「私も手伝う」
フェルトが前に進み出た。
「私も、お力になれるのでしたら、手伝います」
「マリー、頼むよ」
「ええ、アレルヤ。あなたの分まで、頑張ってみるわ」

「フフフフフ」
キラリンと、ミス・スメラギの目が光った。
それに、強い決意をしていたティエリアが、少し眉を顰めた。
「ミス・スメラギ?」
「自分から言い出したことよ、ティエリア。覚悟して頂戴ね。そうだわ、マーメイドドレスを着てもらおうかしら」
「マーメイド…?」
「大丈夫、ティエリアなら何を着ても似合うわ」
フェルトが、ティエリアを元気づけた。
ミス・スメラギの怪しい笑みに、早くも自分の身に危機を抱き始めたティエリアであった。
「そうね、絶世の美貌を最初からもっているのですもの、それを最大限に生かすわ。ウフフフフ」
「スメラギさん、楽しそうですね」
「あらフェルト、あなたは楽しくないの?」
「いいえ。ティエリアを着飾らせることができるなんて、夢のようだわ」
「マーメイドドレスって、身体のラインがくっきりと浮かぶあのドレスのことですか?」
マリーが、果たして本当に大丈夫なのだろうが、心配そうにティエリアを見た。
いくら女装とはいえ、身体のラインがくっきりと浮かぶようなドレスを着る場合、女性としての魅力的な肉体を求められるだろう。
目の前のティエリアはとても美人だが、はたして…。
「マーメイドドレスかー。きっと壮絶な美人になるだろうな」
ライルは、ティエリアがマーメイドドレスを纏った姿を想像した。
「うん、悪くないな」
「でしょう。決まりね」
ミス・スメラギの一言で、ティエリアは視察の時に、マーメイドドレスを纏うことになるのであった。





「ほら、ティエリア。恥ずかしくないから、こっちに来なさい」
当日、マーメイドドレスを身に纏い、魅惑的に見せるために、人工バストまで身につけさせられたティエリアは、ミス・スメラギ、フェルト、マリーの手によって 美しく仕上げられた。
「これでは、何かあったときに走りにくいな」
ピンヒールをはいたティエリアは、しきりに足元を気にした。ブーツなら、走るのに支障はないだろうが、ピンヒールだと走ること自体無理かもしれない。
サラリと揺れる髪は長いウィッグを被っており、腰の位置まで届きそうである。
眼鏡は外し、眼球保護のためにコンタクトをした。
極端な肌の露出を嫌うティエリアには、今回の女装は理性との戦いでもあった。
肩や首は露出し、スカートの部分には深いスリットが入っている。
ティエリアは、スリットの入っていない側の太ももにガーターベルトをし、そこに拳銃を忍ばせた。
流石に、ミス・スメラギも驚いたようだ。
しかし、細い肢体の身体のラインを協調するようなドレスだと、他に隠しようがない。だからといって、拳銃を持たぬままの視察も、危険であると ティエリアは考えていた。
ガンダムマイスターの中でも、素手での拳銃の腕はライルをも凌ぎ、圧倒的にティエリアが上だった。
筋肉のつくことのできぬ体では、出す力も限られている。そのせいか、ティエリアはガンダムマイスターとなった頃から拳銃の腕をずっと磨いていた。
「笑ってみて、ティエリア…そう、とても綺麗よ。その自然な笑みを忘れないでね」
フェルトが、最後の仕上げとばかりに、ティエリアの唇に紅をさした。
他に化粧はしていなかった。する必要がなかった。白皙の美しい顔には、紅をさすだけで十分であった。
「本当に、凄いですね、ティエリアさん。ここまで完璧に女性になれるなんて、さすがに思っていませんでした」
マリーが、感嘆の声を漏らした。
仕上がったティエリアは、誰よりも可憐で魅惑的な一人の女性になっていた。
もともと身長が高いせいもあり、細い肢体を強調したのは正解だった。モデルのように均整のとれたプロポーションと、どんな美女にも負けない美しい容姿。

「まずはお披露目ね」
ティエリアは目を閉じて、覚悟を決めた。
そして、練習通りに笑みを浮かべ、歩みさえも女性そのものであった。
「なんていうか…本当に美人だよ、ティエリア」
アレルヤが、他に言葉を見つけられないとばかりに賛美した。
「ティエリア…どうか、一曲踊ってくれませんか」
最初は開いた口が塞がらなかったライルであったが、絶世の美女を前に、それがティエリアであると分かっていながらも、いつものように冷たくあしらわれると理解していても、 そう言って手を伸ばすことを止められなかった。
「ええ。喜んで、お相手いたします」
レディらしい挨拶をして、ティエリアは綺麗な笑みを浮かべてライルの手を取った。
「え?え?えええええ!?」
ティエリアが、そっと寄り添ってくる。
「あら、私とは踊ってくださりませんの?」
甘い花の香りが、ライルの思考を麻痺させた。
ティエリアの腰に手を回し、自分のほうに引き寄せると、赤い紅をひいた唇に自分の唇を重ねようとした。
ジャキリ。
いつの間にか、ガーターベルトから抜かれた拳銃が、ライルの顎に突きつけられていた。
「調子に乗らないでいただきたい」
絶世の美女が、そうドスを利かせた。
「ティエリア、最強……」
両手を挙げて降参したライルに、ティエリアは満足したのかガーターベルトの中に拳銃を直した。
「その胸、一体どうなってるんだ?本物にしかみえねえ」
「人工バストだ」
「しっかし、恐ろしいくらいに化けたもんだな」
「もう少し、マシな表現をして下さい」
人工バストといわれても、胸は本物のように見えた。
肩と首の露出が、赤いドレスから見える白い肌をより際立たせていた。スカートのスリットから見える太もも、目の毒だ。
本当に、どこからどう見ても絶世の美女にしか見えなかった。
背は高かったが、肩幅もないし、腰はコルセットで締め上げていないだろうに、折れそうに細かった。それに、くびれている。
「本当に…無性なんだなぁ」
普段なら、衣服に隠れてしまう体は、確実に男性のものではなかった。
「ティエリアって、本当に細いね」
アレルヤが、ティエリアの肢体の細さに改めて驚いていた。
「だなぁ。腰なんて折れそうだぜ」
「もうちょっと、食べたほうがいいよ、ティエリア」
アレルヤが、その細さを気にしたのか、そうつけ加えた。
「無理だな。僕の体は、これ以上筋肉もつかないし、太ることもない。成長することもない。止まったままだ」
「ティエリア…」
「アレルヤ・ハプティズム、心配してくれてありがとう」

「ティエリア・アーデ、用意はできたか」
扉を開けてやってきた刹那は固まった。
それは、アレルヤやライルと同じ反応であった。彼ら二人は、しばらく固まったまま、動かなかった。
しかし、刹那はすぐに笑みを浮かべた。
「よく似合っている、ティエリア・アーデ」
「刹那・F・セイエイも、その正装が良く似合っている」
自然と会話をする二人は、お似合いのカップルに見えた。

ムニュ。
「うわあああ、刹那!!」
ライルが、悲鳴をあげた。
刹那が、ドレスの上からティエリアの胸を揉んだのだ。
それを、銃をつきつけられるか殴られるかと見守っていたライルだったが、ティエリアはライルの予想した行動を取らなかった。
困ったなというような表情を浮かべている。
「胸は揉むな」
「分かった。拳銃はちゃんと持っているか?」
その言葉に、ティエリアはスリットの部分を捲って、ガーターベルトにさした拳銃を見せた。
白い太ももが露になり、アレルヤとライルは思わず釘付けになったが、刹那は何も感じた様子も見せず、ただ眉を顰めた。
「拳銃は、太ももか。不便そうだな」
「確かに不便だが、慣れればすぐに構えれる」
「ほんと、さっきロックオンにティエリアが拳銃をつきつけたんだけどね、すごく早かったよ」
「そうか。ティエリア・アーデ」
「どうした」
「お前の身は、俺が守る」
その言葉に、ライルが縮こまった。
今にもビンタが飛んできそうな気がして。
「では、刹那・F・セイエイ、僕が君を守ろう」
「あれ?」
ティエリアは、素直に刹那の言葉を受け入れた。
それに、ライルが首を傾げた。
ティエリアの性格からすれば、余計なお世話だと一蹴すると思っていたのだ。アレルヤも、そう思っていた。
ティエリアは、気にした風もなく、練習を兼ねて、レディとしての挨拶を刹那にした。
「どうか、よろしく頼みますね、刹那さん」
「了解した」
刹那は、ティエリアの振る舞いに驚くこともなく、そう返した。

ライルとアレルヤはお互いを見た。
「刹那ってさ、なんていうか、天然か?」
「うーん、どうなんだろう。否定はできないね」
「それにしても、ティエリアは凄まじい美人だな」
「元の容姿が整っているからね」


二人の言葉を耳にしながら、ティエリアは刹那にエスコートされてその場をあとにした。
パーティーの視察に出るために。
そこで、ティエリアはリボンズと運命の出会いをするのだが、それはまた後の話である。